「効率」について

05/7/10

皆さんは「効率」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
言葉は良く聞くけれど、意味までは考えたことがない…
そんな人も多いと思います。
そこで、「効率」という言葉について考えてみましょう。

「効率」という言葉の意味は、
@得られた成果に対して費やした労力や時間の割合。
A機会によってなされた仕事の量と、それに使われたエネルギー量との比。
(旺文社 国語辞典[第八版]より)です。

一般的に「効率を上げろ」と言われると、
1時間かかる仕事を50分で済ませるとか、
二人でやる仕事を一人でやるとか、
そんなイメージがあると思います。(@の意味)
しかし、実際に効率が上がったかどうかは疑問が残るはずです。
1時間かかる仕事を50分で済ませているが、ただ忙しく動いてるだけだったり、
二人でやる仕事を一人でやっているが、2倍の時間がかかっていたり、
それでは効率が上がったとは言いがたいと思います。
ただ、経済的(会社的)に見れば、
同じ人件費でこれまでより仕事をしてもらえば、効率が上がった事になります。

と、ここまでは一般的なお話。
最近では電化製品などの工業製品でも「効率」という言葉を聞くと思います。(Aの意味)
効率を比較して、効率の高いものを買ってみたりする人がいるかもしれません。
しかし効率とは「入力に対する出力の比率(出力÷入力)」で表される場合が多く、
入力が何であるか、出力が何であるかによって値が違い、
単純にあれこれ比べることは出来ません。
これが、「効率」という言葉の落とし穴なのです。

例えば、商品Aの効率が80%、商品Bの効率が70%と聞くと、
商品Aのほうが効率がいいから、商品Aを買おうとする人がいるかもしれません。
しかし、入力は何ですか? 出力は何ですか?
そこが重要なのです。

具体的な例を挙げてみましょう。
私たちの生活に欠かせないテレビですが、
テレビ番組を見るという出力を得るために
普通のブラウン管テレビなら90W必要(入力90W)だけど、
液晶テレビなら70W(入力70W)で済むとします。
この2つについて効率を求めると、
ブラウン管テレビ:(効率)=(出力)÷(90W)
液晶テレビの:(効率)=(出力)÷(70W)
となります。
出力は数字で表されていないので計算は出来ませんが、
ブラウン管テレビも液晶テレビも、テレビ番組を見るという同じ出力なので
分母(割る値)が小さいほうが効率が大きくなります。
よって、効率は液晶テレビのほうが上であると言えるのです。
つまり消費電力の小さいテレビを選ぶことが、
効率の良い物を選んだことになるのです。

このように、まず出力(目的)を考え、
その目的を達成するために必要なエネルギーの大小を比較すると
効率の良いものが簡単に探せるはずです。





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