二酸化炭素の分解法

05/9/25

二酸化炭素の分解法として有名なのは植物の光合成ではないでしょうか。
植物は大気中の二酸化炭素を取り込み、酸素を出す。
厳密には、植物が持つ葉緑体では
二酸化炭素と水からブドウ糖と酸素を作る化学反応が起こっている
となります。
化学反応式にすると
6CO2 + 6H2O → C6H12O6 + 6O2
となります。
もちろん無条件で起こるわけではありません。
この反応を起こすためには光エネルギーが必要です。

さきほどの式を良く見てください。
「分解」しているはずのに、より大きな分子であるブドウ糖ができてます。
「分解」というのは少し不自然な気もしますね。
こういった違和感を感じさせない言葉があります。
「炭素固定」です。
大気中を漂っている二酸化炭素に含まれる炭素を
ブドウ糖という形で植物体内に固定するという意味です。
二酸化炭素についてはこの言葉が良く使われているようです。
二酸化炭素から酸素を取り出すという意味では「分解」、
二酸化炭素からブドウ糖を作り出すという意味では「炭素固定」となるでしょうか。

分解ではないけど、二酸化炭素から違う物質を作り出す方法もあります。
表にまとめてみました。

二酸化炭素 + アンモニア → 尿素
二酸化炭素 + フェノール → サリチル酸
二酸化炭素 + エチレンオキシド → エチレンカーボネート
二酸化炭素 + 水素 → メチルアルコール

これだけ利用方法があるなら二酸化炭素問題も解決するだろう
なんて思わないでくださいね。
光合成の説明でも述べたように、無条件で上表の反応が起こるわけではありません。
例えば、一番下のメチルアルコールを作る反応では、
温度を約200〜300℃、圧力を3〜7MPaにする必要があります。
そのためにはエネルギーが必要となりますが、
そのエネルギーを得るために二酸化炭素を排出したのでは意味がありません。

また、大気中にわずかしか存在しない二酸化炭素を集めるのは非常に困難で、
二酸化炭素を利用する場合、二酸化炭素を製造することが多いと思われます。
つまり、結果的に二酸化炭素を増加させるだけなのです。
上表はあくまで”参考”ということです。

ここまででお分かりのとおり
今のところ二酸化炭素の減少が望める二酸化炭素分解法は
植物が行う光合成だけです。
エネルギー消費の象徴ともいえる二酸化炭素の増加は、
エネルギー消費を抑えることでしか解決できないでしょう。。
ここでも省エネの重要性が浮き彫りになってくるわけです。

ちなみに光合成は主に太陽から届く光エネルギーを利用するため
地球上における二酸化炭素は増加しません。

       



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