間ノ岳(2016108日)

 百名山、97座目をめざす。休暇が予定より1日取れずに、12日の強行スケジュールになった。夜行バスで甲府に着くも、平日で登山バスは9時発、広河原には、11時に到着、大樺沢から八本歯コルの最短コースを進む。広河原では、紅葉はまだまだだった。少し登っていくと色づきはじめるものの紅葉が全然きれいじゃない、色も悪いし、台風のためかすでに葉が落ちている。標高2000Mくらいは、樺が黄色になっている程度だった。快調に登り、2股まだ2時間、その後もがれた沢を根気よく登っていく、バットレスを取り付きあたりから見上げるがルートまでよくわからない、八本歯コルに出る手前で、沢から尾根に取り付き、はしごを少し登ると目の前にバットレスの大岩壁が真近に見える。ルートもなんとなくわかる、上部に登攀者もみられた。「よくあんな怖いところを登るな」と他人事だと思う。数年前に四尾根を計画したもの取り付きまでで雨天中止だった。やり残した課題ではあるが、こうしてみるとスケールがあり、登ってみたい気持ちと怖さも感じる。

 小屋泊まりで軽量化した荷物ではあるが、一気に標高差1500m登ると、夜行バス明けのためか疲れを感じる。コルには、コースタイムを短縮したものの3時を過ぎていた。北岳頂上経由だと北岳山荘には5時過ぎになる。天気もガスが出たり、切れたりではっきりしないので、明日に備えて、トラバースで小屋をめざした。5時間の登行だったが結構堪えた。

 食事は自炊、快適な自炊部屋もあり、小屋も金曜日だったが空いていた。ひとりでの食事はあまり楽しくはなかった。

 8時消灯だったが、その前から寝ていた。夜、風の音で何度か目を覚ます。天気予報は悪いのは承知で入山したもののあわよくば間ノ岳は往復しようか、雨が小雨なら濃鳥岳から奈良田まで抜けるかと思案しながら寝た。4時に、天気の状況を確認しに小屋の外に出る。風が強い、雨はぱらついている程度、しかし、ガスが濃く視界はない、風はかなり強い、3000mの稜線で強風にあおられて、4時間も歩くのはしんどい、とりあえず、天気待ちで寝直すことにした。それでも5時に起き、朝食はすませて待機していた。日の出が540分、天気がよければ5時出発で、10時間のコースタイム、奈良田最終バス1555分をめざす予定だったが、この悪天でヘッドラン行動はないと待機、日の出の時間が過ぎるとあたりの様子がわかる、視界も30m以上ある、とりあえず555分に出発した。雨は降っていない、風も冬山のことを思えばそよ風程度である。まず、間ノ岳をめざす。コースタイム1時間40分のところを1時間20分で到着、まずまずのペースであり、天気は良くも悪くもならない、少し視界が広がってきた。引き返すのは面倒なので、そのまま抜けることにする。その日のうちに、大阪に帰るにはコースタイムを1割以上、1時間は短縮する必要があったが何とかなると判断し、どんどん進む、間ノ岳から濃鳥小屋の下りは結構急だったが、駆け下りる。すると目の前に西濃鳥岳が大きく聳えてみえる。南アルプスの縦走はひとつひとつの山のスケールが大きい、このアップダウンの大きさに心が折れそうになるが一歩一歩登るしかない。小屋まで40分、20分短縮できた。

 そこから急登だった。ゆっくりと登っていった。意外とあっさりと岩峰の下に出て、回り込むように登るとすぐ前に西濃鳥岳のピークだった。ここから、にわかに天気が荒れだし、雨、風も出てきた。西濃鳥の下りは悪い、スピードどころか、慎重に下っていく、ガスの中、やっと濃鳥岳山頂にたどりつくも展望もなく、通過、あとは6時間50分、標高差2000mの下りだった。稜線のすぐ下あたりは、今回の山行で唯一、真っ赤に紅葉した灌木をみつけたが、カメラも出さずにどんどん下降する。稜線の下降点から下は急傾斜の下り、道もあまりよくない、下りで大幅時間短縮できると思っていたので、気持ちが焦るが仕方ない、急な下りのため疲れるも出てきて、30分で休憩した。しかし、ここで気を緩めたらバスに乗れないと気を入れ直し、下りに集中した。道も結構悪い、大門沢小屋にはなんとか12時前に到着、ここからコースタイムは3時間40分、ぎりぎり射程内に入った。コーラでパンを1つ流しこもうとした疲労からか半分しか食べられなかった。雨がまた降ってきた。小屋からは傾斜も緩くなり歩きやすくはなったが、行動時間も6時間を越えて疲れを感じながら、ペースを落とさずに進む、もう少し早くつければ、第1発電所前から奈良田行きのバス、1439分にも乗れると思い足を早めるが、丸木の徒渉やワイヤーにつり橋など雨で濡れていて怖いところもあった。最後の林道2キロを急ぎ足で抜けると1425分、バス停に立てた。風雨の中でコースタイムを1割短縮して走破したということしか残らない山行だった。次は、好天の中で、ゆっくりと楽しみながら歩きたいと思った。

 もうひとついいことは、下降で何度か、一緒になって前後して歩いていた方と、奈良田の里の日帰り温泉で一緒になった。甲府百名山を今回の濃鳥岳で達成したとのお話もしていたら、「甲府から車で来ているから、バスまで時間もあるし、駅まで送ってあげますよ」と声をかけてもらった。ありがたく,乗せてもらった。山での出会いもひとつの思い出になる。おかげて、1時間に一本しかない身延線に飛び乗れ、静岡駅ビルで生1杯のんで、新大阪駅のひかりに乗り、日本酒2合とまぐろの盛り合わせ寿司を食べているうちに大阪に2115分に到着、予定より2時間早い帰宅ができた。お名前も聞かずに失礼しましたが、いつか、どこかの山で出会えたらと思う。

広河原11:00−二股13:00−八本歯のコル15:00−北岳山荘16:006.0q)

北岳山荘5:55−間ノ岳7:10−濃鳥小屋7:50−濃鳥岳9:30−大門沢小屋11:50 12:05−第1発電所14:2515.6q)

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