全国雪崩講習会:千畳敷2009213日)

 日本勤労者山岳連盟主催の全国雪崩講習会にはじめて参加した。場所は中央アルプス木曾駒の千畳敷カールで3日間の講習会だった。宿泊はホテル千畳敷で、快適な冬山を体験できると思っていたが、低気圧の通過、しかも、標高2600mなのに雨という最悪の気象条件の中での講習会になってしまった。1日目は、午前中、強風とガスで視界がない中、雪庇観察に向かうが雪崩の危険を判断し撤退、それでも、午後からは悪天の中でもホテル直下の斜面で弱層テストの実地講習がされ、円柱テスト、シャベルコンプレッションテストをじっくりと教わり、できるまで3回ずつ実習した。夕食後も、DVDをみながら雪崩について学習した。ビールにありつけたのは午後9時を過ぎていた。

 2日目は、深夜の寒冷前線の通過があり、朝食前の野外の実習は室内でのビーコン訓練に切り替えられた。朝食後、まだガスの濃いカールでビーコン訓練、断面観察、午後からは埋没体験などを行う。昼からやっと天気が回復してきて、カールの全容が見渡せ、宝剣岳の見上げることができた。そこには、昨夜の雨で水分を大量に含んだために、湿雪全層雪崩があっちこっちで発生している景色が広がっていた。雪崩直後のデブリの観察を大学の専門の先生の解説でできたことは悪天に感謝したいくらいだ。

 夕食後は、レポート作成と3日目のセルフレスキューの初動捜査方法についての学習、班での役割分担やシュミレーション、ヒューマンチェーンでの搬出の練習などを午後10時過ぎまで熱心に取り組んだ。ビールも飲まずに、こんなに熱く真剣な議論をしたのは久しぶりの体験だった。

 3日目は、早朝6時からブローブ(ゾンデ)訓練を1時間みっちりと行い、やっと朝食に、その後、初動捜索のシュミレーション練習をホテル直下の斜面で実地訓練、前日の打ち合わせどおりうまく行った部分と雪の中での作業は難しい部分もよくわかった。役割分担を変えながら3回行った。最後は、6人の班だったが、ひとつのパーティーとしての結束力もでき、「熱いコーチ」の「熱い指導」に応えることができたと思った。

 コーチが「『雪崩』には科学的に対処していくこと。山登りはオフェンス技術の習得も大切だが、スポーツならデフェンス技術ももっと磨くべき」という言葉が印象的だった。毎年開催される講習会ということで来年もぜひ参加したい。
















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