内閣総理大臣
 小泉純一郎殿
                                  
     2001年7月21日   
                                         核戦争防止和歌山県医師の会
       



       日本政府はアメリカの「ミサイル防衛計画」に
     
      反対し、迎撃実験に抗議することを断固求めます


       


 
アメリカ合衆国は、今月14日に「ミサイル防衛計画」の一環としてミサイル迎撃実験を行った。また、ブッシュ政権は、アメリカ政府自身が調印していた包括的核実験禁止条約(CTBT)についても批准を拒否し、すでに調印した国に対してこれを反故にするよう働きかけるという乱暴な態度を表明した。
 いわゆる「ミサイル防衛計画」は、アメリカ本土にとどまらず、海外に展開する米軍の「防衛」を理由に、世界的な規模で迎撃ミサイル網を張りめぐらすものであり、それ自体、新たな軍拡であるばかりか、攻防にわたる新たな核軍拡競争に道を開く危険を持っていることは明らかである。
 ブッシュ政権のこうした態度は、アメリカの国益を国連憲章や既存の諸条約、広範な国際法に優先させさせるアメリカの覇権主義的思い上がりに基づくものであり、広範な世界世論はもとより、NATO諸国など同盟国やアメリカ自体の国民世論からの強い批判にさらされているのは当然である。
 世界各国の世論と政府がこうしたブッシュ政権の無法をこぞって批判しているさなかに、小泉首相は先の訪米でも、ブッシュ政権の「ミサイル防衛計画」に「理解」を示し、アメリカの核脅迫と軍事力行使の根源となっている「核拡散対抗」戦略にまで「意見の一致」を表明してきた。こうした態度が、被爆国日本の国民世論にも紛争の平和解決を旨とする日本国憲法にも逆行するものであることは明らかである。付け加えてベーカー駐日大使の「憲法9条の改悪」を示唆するなど許し難い事態を招いている。
 われわれは、小泉首相をはじめ、日本政府が日本国民の安全を犠牲にするこうした対米追随をあらため、アメリカの「ミサイル防衛計画」への加担を直ちに止めること、さらに、アメリカ政府に対し、現在計画中のミサイル迎撃実験の中止、CTBTの批准と、NPT再検討会議でおこなった「核兵器完全廃絶」の約束履行を求めるよう強く要求する。
                                                                以上