「スタートレック」は、30年以上に渡って、アメリカを始め、世界中でテレビ放送されているSFドラマです。
物語は23〜24世紀の銀河系を舞台として、恒星間国家の興亡や、航宙艦とその乗組員達が未知への冒険や様々なドラマを展開しています。ただ、あまり日本では知名度が高くなく、名前は聞いたことがあっても耳の尖ったスポックしか知らない、という人も多いと思います。スタートレックの魅力はたくさんあります。徹底したリアリズムによる 22〜24世紀の未来描写、個性豊かなキャラクターの人間模様、SFであることを忘れない高度な特殊効果、現代でも抱える問題に挑むクルーの苦悩、長いシリーズに裏打ちれた精密な設定、ちりばめられたユーモア等輝きに満ちた未来の宇宙探検の素晴らしさが随所に表現され、見る者に感動を与えます。


TOS
TOS

タートレックの伝説は1966年からはじまった。最初のシリーズである『宇宙大作戦 /スタートレック』は、全79話が3年にわたり全米で放送された。ファンや関係者の 間では、『TOS(The Original Series)』とも呼ばれ、放送されるたびに新しいファ ンを獲得し続けている。
時は23世紀。人類は近隣の恒星系知的生命体と「惑星連邦」を形成しており、USS エンタープライズ号は、人類未踏の宇宙のさらなる深部へ調査航海中である。 船長は、熱血漢の地球人ジェイムズ・タイベリアス・カーク。副長兼科学主任は、耳の先が尖った異星人、スポック中佐だ。人情家で皮肉屋のドクター・マッコイは、二人の良き友人でもある。自ら率先して異星へ上陸する船長、なによりも論理を尊び感情を否定するスポックが、実は母親が地球人でバルカン人の父親とは仲違いしていたり、個性的なそのキャラクターは、21世紀を迎えた今見ても、魅力たっぷりだ。 SFマインドあふれる斬新なアイディア、ユニークなゲスト・キャラクターたち、意外なドラマ展開など、シリーズの基本的な骨格はすべて、この「宇宙大作戦」にある。これまでに100ヵ国以上で放送され、世界中に熱狂的なファンを持ち、その世界は広がり続けている。


TNG
TNG
ーク船長やミスター・スポックたちエンタープライズ号のクルーによる、伝説の調査航海から約1世紀後の24世紀。地球を中心とする150の文明圏で構成される惑星間同盟“惑星連邦”は宇宙艦隊を組織、未知宇宙の探査と連邦の防衛・パトロールに当たらせていた。新造艦エンタープライズ号は以前より大きく、全長は2倍以上に、内部スペースは8倍にもなっている。乗組員には、クルーの家族、子供も含まれており、総勢2000人を数える。
 これらの乗組員や新しくなったエンタープライズ号を率いるのは宇宙艦隊のジャン=リュック・ピカード大佐。彼は常に冷静であり、困難に直面したときほど優れたリーダーシップを発揮する。そして、彼の下で指揮をとる副長のライカー中佐は、オリジナル・シリーズのカーク船長の性格を受け継ぐ熱血漢ぶりを発揮する。また生物の感情を関知する能力を持つベタゾイド人のディアナ・トロイ、クリンゴン人のウォーフ、人間を超える能力を持ちながら人間に憧れる艦隊で唯一のアンドロイドのデータ少佐など、個性的なクルーたちが素晴らしいチームワークを発揮し、未知なるものを求めて広大な宇宙の旅を続けていくのだ。


 DS9DS9 星ベイジョーの軌道上に位置する宇宙ステーションディープスペースナイン(以下DS9)が主な舞台となります。惑星ベイジョーは長らくカーデシア人という異星人の占領下にあり、DS9はカーデシア人の作ったステーションです。ベイジョーはカーデシアを追いだしたものの、惑星を自力で防衛する力を失ってしまった。それで惑星連邦にDS9の維持と共に協力を求めるわけです。
 惑星連邦、ベイジョー、その他数々の異星人との接触がもたらす悲喜劇がストーリーの中核となっていきます。SFマインドをくすぐるのは、DS9の側にあるワームホールの存在です。簡単に言えば「別宇宙への門」なのですが、それは経済その他に無限の可能性を与えるものとなります。それゆえ争奪戦が展開されるのですが、さて……?
 概要をご覧頂いても解るように、お話は派手なアクションなども少なく、やや地味なものとなっています。心の交流を丹念に描いた作品が多く、ドンパチの苦手な方には打って付けといえます。
 VOYVOY タートレックの根底をなす、未知の宇宙への冒険に主眼を置いたシリーズ。スタートレック最初のシリーズ『TOS』の路線を受け継ぎ、さらにスケールアップ、パワーアップさせている。惑星連邦の最新鋭宇宙船USSヴォイジャーの指揮をとるのはシリーズ初の女性艦長キャサリン・ジェインウェイ。物語は、USSヴォイジャーが任務中に未知の力によって、銀河系の未踏宇宙域であるデルタ宇宙域に運ばれてしまうところからはじまる。
 そこは、地球から7万光年、最高ワープスピードでも宇宙連邦があるアルファ・ベータ宇宙域まで70年以上もかかってしまう距離にある。星図もなにもない宇宙域で、さまざまな未知の驚異に遭遇しながら、地球へ帰還する手段を模索するクルーたち。その波乱万丈の航海を壮大なスケールで描く『VGR』シリーズ。未知なる冒険の結末は果たして?!

 ENTENT 2世紀。2063年に人類が初の超高速宇宙飛行を成功させ、異星人(バルカン人)とのファースト・コンタクトを経験した画期的な出来事から100年近くが経っていた。人類はバルカン人によって、宇宙文明としては未熟であり、宇宙へ乗り出すのは時期尚早と判断されて地球に留められていた。そしてそんなバルカン人に反発する者もいた。しかしその間にも、地球軌道上での宇宙船開発は続けられており、ついに最高速度ワープ5の宇宙船エンタープライズNX−01が完成、バルカン人の反対を押し切り宇宙への初航海が行われることになる。こうして人類は歴史的瞬間を迎える。ジョナサン・アーチャー船長をはじめとするクルーは、人類を新しい発見の時代に導くため、人類未踏の深宇宙へ旅立つ!
 これまでの「スタートレック」シリーズ4作品より時代設定を遡り、「スタートレック」前史を描いた超話題作。これまでのどのシリーズよりも、現在の延長線上の未来として身近に描かれ、「スタートレック」の予備知識なしに充分楽しめます!

スタートレックシリーズは、これまで類を見ないほどの長期間におよぶTVや映画の人気シリーズというだけでなく、アメリカ社会にも大きな影響を与えている。たとえば、ワシントンにあるスミソニアン博物館では、あのライト兄弟やリンドバーグの飛行機と並んで、『TOS』で活躍した USS-エンタープライズ号の11フィートモデルが展示されている。
また、
NASAの最初のスペースシャトルは「エンタープライズ」という名前だった。これは、全米のスタートレックファンからの熱い要望によるものだというエピソードも残っている。未来へ、宇宙へと広がる夢のそばには、いつもスタートレックがあるのだ

スタートレックは、単なる冒険SFアクションではない。
スタートレックが世界中の何百万人もの人々の心を引きつけた最大の魅力は、
壮大なSFドラマでありながら、個々のキャラクター設定などがしっかり練られた、人間ドラマでもあったからだ。特殊効果や斬新なデザインの宇宙船、そして異性人たちも確かに見どころではあるが、スタートレックいちばんの人気の秘密は、やはり魅力的な登場人物たちであり、それらが織りなす人間模様(もちろんその中には異星人もいるが)ではないだろうか。
しかも、未来を予感させるものが時代設定やテクノロジーだけでなく、キャラクターたち心の動きにも現われていることだ。つまり、
キャラクターたちは感情的にも現代の私たちより進化しているのだ。よってこのドラマには、登場するキャラクターたちに自分たちの子孫たちの人間像を重ね合わせて見る楽しさもある。

スタートレックには、リアルな未来が潜んでいる。
スタートレック以前の宇宙SFものには子供向けの作品しかなかった。そこにスタートレックは、
大人の視点と論理的、理知的な設定とストーリー展開を持ち込んだ。時代設定や物語で使われるテクノロジーについて、多くの科学者や技術者に意見を求め科学的に検証し、未来において極力実現の可能性のあるテクノロジーを採用している。たとえば、物語の中で頻繁に登場する、人間や物を瞬時に移動させる転送装置。これは、物質を一時的にエネルギーに変換し、違う場所に送ったのち、再び独自の型と構造に再変換するもので、科学界で長期にわたって議論されていた概念を具現化したものだ。

スタートレックには、人類へのメッセージがある。
スタートレックは、決して昔懐かしのTVシリーズではない。どのシリーズにも、いつも貧困や差別などの今も昔も変わらない社会的なテーマが見え隠れしている。そして、
スタートレックは人類の進むべき未来像を描こうとしている。
それは、戦争や弾圧の愚かさに心底気づき、それまでの愚かさを捨て去ったときの姿かも知れない。いつでも、ひとを思いやる気持ちを忘れず、常に真実を追い求め、知識を深めることに全力を注ぎなさいと、それが人類が進化するための唯一の道だ、とスタートレックは語りかけているのではないだろうか。



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