ようこう

打ち上げ時期 1991年8月30日

X線観測衛星「ようこう」は、M−3ロケットに搭載されて打ち上げられた。文部省宇宙科学研究所が打ち上げた14番目の科学衛星である。当初はSolar−Aと呼ばれていたが、打上げ成功後、公募したネーミングの中から陽光を平仮名にした「ようこう」が正式名として採用された。
 「ようこう」の科学目的は、1992年に活動の極大期を迎えた太陽をX線で撮像することと、太陽活動で生ずるコロナやフレアなど様々な高エネルギー現象を観測することである。太陽コロナが放出する熱エネルギーは500万℃以上、またフレアは数千万℃にも達し、強いX線やガンマ線が放射される。「ようこう」の観測は、こうした超高熱の太陽エネルギーや温度領域にのみ見られる様々な現象を解明するためでもある。「ようこう」は、こうした目的を持つ世界で唯一のX線太陽観測衛星である。


高度約500〜800kmの楕円軌道に打ち上げられた「ようこう」は、
太陽の極大期の後期にあたる1992年5月、激しい爆発を繰り返し
て燃え盛る太陽の画像の撮影に成功した。
以降、1996年の活動極小期まで、太陽活動の消長を数ヵ月おきに観測した。こうして得られた数々の画像は、迫力に満ちた太陽活動を示す鮮やかな連続画像として完結した。

「ようこう」には、4種類の観測機器が搭載されている。撮像観測を目的とする軟X線望遠鏡(SXT)と硬X線望遠鏡(HXT)、軟X線の特定波長帯のスペクトルを観測するブラッグ分光器(BCS)、X線からガンマ線までの広い領域のスペクトルを測定する広帯域分光器(WBS)である。
 「ようこう」は日米英の国際協力を背景としたミッションである。軟X線望遠鏡はアメリカ、ブラッグ分光系器はイギリスが製作を担当し、衛星の運用やデータの解析もこうした国際的な共同作業により進められている。