ユリシーズ・ミッション

打ち上げ時期 1990年10月6日
軌道上の重量 370.00kg

太陽極域軌道探査機ユリシーズは、スペースシャトル・ディスカバリーから打ち上げられた。地球からの観測や独宇宙航空研究所(DFVLR)が1975年3月15日に打ち上げた初の近接探査であるヘリオス(1号及び2号)と異なり、太陽の極地を含む高緯度地域の観測が出来ることであった。打ち上げ以来、安全な距離を保ちながら太陽の両極地域を超えて飛びながらデータを送ってきている。

 ユリシーズ・ミッションの主な目的は、太陽自体の活動、太陽風の特性、星間磁場の特性、宇宙線及び中立星間ガスの特性及び活動粒子の組成とその運動速度の加速状況の観測である。当初、NASAとESA(ヨーロッパ宇宙機関)の双方が別個に探査機を打ち上げを計画したが、最終的にはESAが開発したユリシーズを米欧協同で打ち上げる計画に切り換えられた。

 打ち上げの58分後、ユリシーズはIUS(慣性上段ロケット)の推進により太陽の黄道面を通って木星へ向かった。1992年2月、先ず木星のスウィングバイを利用して太陽軌道に乗った。1994年6月、ユリシーズは太陽の南極上空1億9446万kmに到達し、1995年6月に北極上空の約3億km上空を通過して太陽観測を行った。更に、2000年に南極、2001年に北極上空を通過して観測を行なう予定である。

 科学観測機器(総重量55kg)として、磁力計2台、太陽風プラズマ測定器2台、無線波・プラズマ波測定器1台、活動荷電粒子測定計(3台)、星間中立ガス感知器(1台)、太陽X線及び宇宙ガンマ線のバースト検出器及び宇宙塵感検出器が搭載されている。探査機の通信装置を利用して、太陽コロナの調査や重力波の探査も行なわれる。パラボラ・アンテナは、地球へ正確に向くよう2日に1回の割合で修正されている。ユリシーズ・ミッションの総予算は、7億5200万ドルである。


ユリシーズの前頭