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23.年賀状を作ろう

23.1 年賀状を作る方法

年賀状は、表の宛名と裏の絵柄より構成されますので、宛名を作成/印刷する方法と、絵柄を作成/印刷する方法に分けて考えます。

●宛名の作成/印刷

宛名を作成し印刷するには、幾つかの方法があります。

@ 年賀状作成ソフトを使う
A 宛名書きソフトを使う
B 全枚数をワープロで作成する

個人的にお勧めするのは、@の年賀状作成ソフトを使うです。
フリーの宛名書きソフトは幾つもありますので色々と試してみましたが、残念ながら痒いところに手が届くような作りとはなっていません。

・ 住所が長い場合には、自分で折り返しを定義しなければならない
・ 宛名の連名がサポートされていなかったり、連名で印刷すると印刷がずれてしまう
・ 宛名毎に印刷位置など細かい設定を行わなければならない
・ 差出人の連名がサポートされていない
・ 複数の宛名を一度に印刷できない

などの問題があるようです。

市販されている年賀状作成ソフトでは、そのような問題は解決されていますので、手間が掛かりません。
「年賀状の作成ごときにソフトを購入するのも勿体無いような」と思われる貴方は、年明け早々に購入することをお勧めします。
年賀状作成ソフトの定価は5000円前後ですが、年が明けると1000円程度で投売りされてます。
年賀状作成ソフトには、翌年の干支の絵柄が多数収録されており、それ以外の干支は少数しか収録されていないことが多いようですが、その年にしか使えないようには作ってありませんので、年明けに購入してもさして問題ではありません。

最近では、プリンターを購入すると、そのようなソフトが同梱されているようですので、それを使われても良いでしょう。

試しにフリーの宛名書きソフトを使ってみたいという方は、Vectorや窓の杜などから、「宛名書き」というキーワードで探してください。

全枚数ワープロで作成するというのでも良いのかもしれません。
どれを選択するにしろ、一度は宛名と住所全てを入力しなければなりませんので、ワープロで最初作成してしまえば、後々の手間は大して変わらないと思います。

●絵柄の作成/印刷

絵柄を作成するにも、幾つかの方法があります。

@ 年賀状作成ソフトを使う
A 画像編集ソフトを使って自分で作成する
B インターネットから絵柄を取得する
C インターネットから絵柄を取得し自分で編集する
D 手書きの絵柄をスキャナで取り込む
E 手書きの絵柄をスキャナで取り込み自分で編集する

個人的にお勧めするのは、Cインターネットから絵柄を取得し自分で編集する と E 手書きの絵柄をスキャナで取り込み自分で編集する です。
他の方法がいけないとは言いませんが、 @の年賀状作成ソフトを使う Bのインターネットから絵柄を取得する と、他の人と絵柄が同じになる場合があり気恥ずかしい思いをする Aの画像編集ソフトを使って自分で作成する Dの手書きの絵柄をスキャナで取り込む と、手間が掛かりすぎる と思われるからです。

Cのインターネットから絵柄を取得し自分で編集する これは、毎年年末になると、プリンターメーカ(キャノンやエプソンなど)から、何十種類もの年賀状用の素材というサイトが無料で公開されます。
この素材は、干支だけのもの、文字だけのものなどと分類されていますので、お好みの素材をパソコンに取り込み、画像編集ソフトで自由に組み合わせれば、オリジナルの絵柄を作成しようというものです。
年末に検索エンジンで、「canon 年賀状」や「epson 年賀状」などというキーワードで検索すれば見つかるはずです。
プリンターメーカ以外でも、素材を公開しているサイトが沢山ありますので、検索してみてください。

Eの手書きの絵柄をスキャナで取り込み自分で編集する これは、手書きの絵柄をスキャナで取り込み、色付けをパソコンで行ってしまいましょうということです。
パソコンですと、何度でもやり直しができますし、レイアウトの変更や、面倒なグラデーションなども間単に作成できます。

23.2 画像編集ソフトを用意する

絵柄を作成(編集)するには、画像編集ソフトが必要です。
画像編集ソフトとして以前 PictBear を紹介しましたが、葉書のような固定サイズの枠に様々な大きさの画像をはめ込むには、PictBear では少し力不足ですので、別の画像編集ソフトを使用します。
その画像編集ソフトは、 GIMP という名前で、これもフリーソフトです。
使い方に少し癖があるのですが、非常に多機能で「これでフリーなの??」とビックリする程です。
ほぼ同じ機能を持っていると言われる Adobe Photoshop CS の価格が10万円前後ですから・・・・
GIMP は、Vector から GIMP をいうキーワードで検索し、インストールしてください。

但し、GIMP を快適に動かすためには、貴方のパソコンでWindowsXPがストレス無く快適に動作する程度のスペックが必要です。
スペックの低いパソコンだと、GIMPが立ち上がるのに1分以上必要となってしまい、余程気の長い人でない限り使えないと思われます。

23.3 宛名の入力

年賀状作成ソフトでもフリーのソフトでも同じなのですが、差出人と宛名情報を入力しなければなりません。
人数の多い場合には入力に結構な時間が必要です。
年賀状作成ソフトと一部のフリーソフトの場合には、郵便番号を入力すればそれに該当する住所を自動で検索してくれる機能がありますので、便利な機能をフル活用して手早く終わらせましょう。

23.4 絵柄の取得

キャノンのホームページより年賀状無料素材を取得することにします。
2006年12月21日現在のキャノンホームページの年賀状無料素材のURLは以下の通りですので、以下のURLをブラウザでアクセスします。
http://cp.c-ij.com/japan/otasuke/nenga/
このURLより、文字や絵などお好みの物を選び、パソコンにダウンロードしてください。
ダウンロードしたファイルが圧縮されている場合には、解凍します。

私は、以下の文字と絵を取得して絵柄を作成することにします。

 

 


絵柄の完成品は以下のようになります。


23.5 絵柄の編集

上記で取得した文字や絵を葉書サイズの中にレイアウトしていき、完成品となるまでの手順を解説します。
レイアウトを行うには、画像編集ソフトが必要ですので、先ほどインストールしました GIMP を起動します。
GIMPが起動されると、下図のような画面が表示されますが、初期状態では編集に必要な画面全てが表示されていませんので、必要な画面を表示させます。


●GIMPで必要な画面の表示

GIMPで最低限必要なのは、レイヤー画面ですので
ファイルメニュー → ダイヤログ → レイヤー
でレイヤー画面を表示します。

●レイヤーとは

アニメーションを作成する様子などをTVでご覧になったことがあるかと思いますが、アニメータの書く手間を省くために、動く部分と静止している部分それぞれを別々のセルという透明のフィルムに書き、それを重ね合わせて、動く箇所のセルのみを入れ替え一コマづつを作成しています。
こうすることにより、背景など殆ど変化がないセル画は一枚書けばよいということになります。

大抵の画像編集ソフトはこれと同じ仕組みを取り入れています。

アニメーションで言うセルを画像編集ソフトではレイヤーと呼びます。
複数のレイヤーを重ね合わせて、それぞれのレイヤーに一つの画像を貼り付けます。
画像を編集/拡大/縮小/移動させる場合には、そのレイヤーの画像のみを編集すればよく、他のレイヤーの画像には影響しません。
またその画像が不要になれば、レイヤーを削除すればよいだけです。
レイヤーの重なりの順序を入れ替えれば、画像の重なり具合を自由に編集できます。

余談ですが、出来上がった画像を保存しながら、少しずつ特定のレイヤーを移動させれば、アニメーションの作成も可能となります。

●背景を取り込んで葉書サイズのキャンバスを作成

画像を編集するには、編集するためのキャンバス(レイヤー)を作成しなければなりません。
しかし、葉書に合わせた縦/横の比率を設定したり、解像度を設定したりするのは面倒なので(面倒という程のことも無いのですが)、素材として提供されている背景を取り込むことにより、その手間を省いてしまいましょう。

方法は簡単です。無料素材より背景をダウンロードして、その画像ファイルをGIMPより開くだけです。
ファイルメニュー → 開く を選択すると、「画像を開く」画面が表示されますので、ダウンロードした背景画像を選択します。

すると、下図のようにレイヤーが作成され、そのレイヤーに背景が取り込まれます。

背景を編集する場合には、ブラシやグラデーションなどを使って編集することも可能ですが、私はこのまま使用しますので、間違って編集しないようにロックをしてしまいます。
ロックを行うには、レイヤー画面の下図のカーソルが指す部分をクリックすると、鎖マークが表示されます


●操作の取り消し

GIMPで作業中に、思っていた画像とは違うものを動かしてしまったとか消してしまったという場合には、その操作を無かったことにすることができます。
先ほど背景を取り込んで、背景画像が表示されている画面(これをキャンバス画面と呼びましょう)を見てください。
その画面の 編集メニューの先頭に「〜の取り消し」というメニューが表示されているはずです。
そのメニューを選択すると、今までの操作を一つずつ取り消すことができます。
このような操作の取り消しのことを、UNDO(アンドゥ)と言います。
また、調子にのってUNDOを実行していて、取り消さなくても良いところまで、取り消してしまった場合、編集メニューのUNDOの次の行に、「やり直し」というメニューがありますので、それを選択します。
すると、取り消した操作を一つ有効に戻してくれます。
このような操作のことを、UNDOの反対語としてREDO(リドゥ)と言います。

●大量な操作の取り消し

上記のUNDO操作で一つ一つUNDOしているのが面倒になる程、大量の操作を取り消ししたい場合には、先ほどのキャンバス画面の
編集メニュー → 取り消し履歴
を選択しますと、取り消し画面が表示されます。
その画面には、今までの操作履歴の古いものから順番に一覧で表示されますので、戻したい箇所をクリックして、取り消し画面の「取り消し」ボタンをクリックすると、その位置まで一気にUNDO操作ができます。

●絵/文字の取り込み

ダウンロードした絵や文字をGIMPに取り込む順序はどの順番でも構いませんが、結果的に下になる画像から取り込んだ方が手番が少なくなります。
絵や文字を取り込むのは簡単です。取り込みたい絵や文字をドラッグ/ドロップするだけです。
今回使用する絵や文字全てを取り込んでしまいましょう。

●サイズの変更

画像のサイズを変更する場合には、先ずその画像が張り付いているレイヤーを選択します。
レイヤーの選択は、レイヤー画面で、編集したい画像を貼り付けたレイヤーをクリックします。

次にGIMPのメイン画面で「拡大・縮小」ボタンをクリックします。

そして、編集したい画像をクリックしますと、下図のように画像の四隅に四角のマークが表示されると共に、拡大・縮小画面が表示されます。
 


画像の四隅に表示された四角マークをドラッグして移動させれば、画像サイズが自由に変化しますが、縦よ横の比率が変わってしまいますので、比率を変えたくない場合には、GIMPのメイン画面で下図の位置にある 「制約」 の 「縦横比を維持」を選択します。


画像の四隅に表示された四角マークを移動させると、元のサイズの画像と新たなサイズの画像2種類が表示されますので、新たなサイズでよければ、拡大・縮小画面の「拡大縮小」ボタンをクリックして確定します。



●位置の変更

各画像のサイズが思い通りのサイズに変更できたら、次は画像の配置を行います。
画像の移動は、下図に示すGIMPのメイン画面で「十字」のようなボタンをクリックします。
そして、移動したい画像が貼り付けてあるレイヤーを選択後、画像をドラッグして移動させます。
移動には、拡大・縮小時のように、確定するようなボタンはありません。


●文字の作成

任意の文字列を作成することもできます。
文字列を作成する場合も後々編集することを考えて新しいレイヤーを作成し、そこに貼り付けましょう。
新規レイヤーを作成するには、画像を表示しているウィンドウの
レイヤー → 新規レイヤー
を選択します。
すると、下図のような画面が表示されますので、「レイヤーの塗りつぶし方法」で「透明部分」を選択し、「OK」ボタンをクリックします。


レイヤー画面で新しいレイヤーが作成されていることを確認してください。

文字の作成は、GIMPのメイン画面の「T」ボタンをクリックします。


そして、文字を追加したい位置をクリックすると、下図のような文字入力画面が表示され、GIMPのメイン画面の下方が文字設定用に変化します。



GIMPのメイン画面の下方の文字の大きさ、文字の色や調整による文字位置などを設定してから、文字入力画面に任意の文字を入力します。
文字入力画面に任意の文字列を入力し「閉じる」ボタンをクリックします。
文字列の位置を調整する場合には、画像の位置の変更手順と同じです。

●文字の縦書き

残念ながら GIMP は、縦書きの文字には対応していませんので、別の画像編集ソフトで縦書きの文字を作成し、画像ファイルに変換してから、GIMPに取り込む必要があります。
PictBear Second Edition は縦書きに対応していますので、PictBearで作成してください。
文字列の作成方法はGIMPとほぼ同じです。

●余白を透明に

各レイヤーの画像の余白が白色の状態のままが重なった状態では見栄えが悪いので、余白を透明にしてしまいます。
それを行うには、先ず余白を透明にしたいレイヤーをレイヤー画面で選択します。
次に、キャンバスを表示している画面の
レイヤーメニュー → 透明部分 → 色を透明度に を選択します。


すると下図のような画面が表示されますので「OK」ボタンをクリックします。
他の画像に関しても同じ作業を繰り返すと、完成品の画像となります。



●レイヤーの順序変更

画像や絵の重なる順序を変更したい場合には、レイヤー画面の下方に上下矢印がありますので、移動したいレイヤーを選択後、この矢印をクリックして、上下に移動します。
上に移動する程前面に表示され、下に移動すると後方に移動します。

●情報の保存

完成すると、その情報を保存しましょう。
これは、明日になると直したい部分が出てくるかもしれないですし、来年流用するかもしれないからです。
情報を保存するには、キャンバス画面の
ファイルメニュ → 保存
を選択します。


すると、下図のような画面が表示されますので、「エクスポート」ボタンをクリックします。


これでデフォルトのフォルダに保存されます。

フォルダを指定するには、 ファイルメニュ → 別名で保存
を選択し、表示される画面の「他のフォルダ」をクリックしてフォルダを指定します。
そして、「ファイルタイプの選択」をクリックして、GIMP XCF image を選択します。


●画像保存

完成した画像を画像ファイルとして保存する場合も、 ファイルメニュ → 別名で保存
を選択し、「ファイルタイプの選択」をクリックして、任意の拡張子(gif、jpg、bmp、tiff、pngなど)を選択します。


どの形式で保存するかは貴方の好みなのですが、それぞれの特徴を解説しておきます。
取りあえず、bmp、gif、jpgで保存して貴方の好みの画像になっている物を印刷するようにしてください。
よく見ると、それぞれ微妙に色調や輪郭のシャープさが異なります。

拡張子読み説明
GIFジフ扱える色数が最大256色なので、使用する色数の少ないイラスト画像などを保存するのに向く。
JPGジェイペグ圧縮によって画質とファイルサイズが変化し、圧縮して劣化したものは元には戻らない。
BMPビットマップ画像を圧縮しないのでファイルサイズが大きくなるが元の画像を忠実に保存できる
TIFFティフ画質を劣化させることなく圧縮できる。
PNGピングGIF形式と似ているが、扱える色数は最大280兆色とはるかに多い。

23.6 絵柄の印刷

完成した画像を印刷するには、キャンバスを表示している画面より
ファイルメニュー → 印刷
を選択します。
そして、表示される印刷画面の「プロパティ」ボタンをクリックすると、貴方のプリンターの設定画面が表示されますので、印刷用紙から「はがき」を選択し、印刷の品質を「きれい(プリンターによって表現が異なります)」に設定します。
お疲れ様でした。これで準備完了です。
後は印刷部数を設定し、「OK」ボタンをクリックして印刷が完了するのを待つだけです。




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