Robert J. Trumpler
★Trumplerの散開星団カタログ 2011年5月15日にさそり座を観望したときにトランプラーの星団がいくつかあったので調べてみた。
 これは散開星団の研究者、Robert J. Trumplerが作ったカタログであると思っていた。34個の散開星団にTr20というようにトランプラーのカタログ番号が
付けられているからだ。トランプラーカタログを以前からずっと探していたのだが、ネットを探していて、彼が書いた有名な散開星団の論文、
「Preliminary results on the distances, dimensions and space distribution of open star clusters」というのを見つけた。pdfで36ページにも及ぶ
長い論文だが、その中で彼は第16表に334個の散開星団をリストしていた。その表の第1列にNGCやMelという番号のところにAn1からAn37とい
う見慣れない番号があった。説明には
「An to anonymous clusters not previosly listed or newly discovered by the writer」と書かれていて、その位置を確かめると、現在Trという符号が
ついている星団であった。これこそTrumpler星団のルーツだ。この論文は、トランプラーが多くの散開星団を調べ、その結果から遠くの星団ほど星間吸収
のために暗くなっていることをつきとめた有名なものだ。当時は銀河系の大きさについてカプタインは星の分布から直径5万光年、シャプレーは球状星団の
研究から直径25万光年と考え、大きく食い違っていた。トランプラーの研究によって双方のデータが修正され、銀河系の大きさは直径10万光年となったので
ある。

 

2000年分点の位置を知りたいので、Guideで調べてみた。Trumpler catalogue ●は2011年8月3日までに見たもの
No. α(2000.0)δ 星座 dia. 集中 形態 距離 見たか
 1  01h35.4m +61.3 Cas  4.5'  I  3p   2290  ●
 2  02h36.7m +55.9 Per 18    II  3p    680  ●
 3  03h11.2m +63.2 Cas 17    II  3p    690  ●
 4  06h04.1m +24.0 Gem  5.5  II  2p   2130  ●    =  IC2157 ←M35の西にある小さな星団で、既に見ている。
 5  06h36.7m +09.6 Mon  9   III  1r   2490  ●
 6  07h26.1m -24.3 CMa  5.5   I  2p   1870  ●
 7  07h27.3m -24.0 Pup  5.5  II  3p   2130  ●
 8 <09h50.8m -17.5>     9    II  1p   1300  ●      =  NGC2479
 9  07h55.1m -25.9 Pup  5    II  3p   2340  ●
10  08h47.8m -42.5 Vel 30    II  3p    350  ●
11  10h04.6m -61.5 Car  4    II  2p   2920  ●
12  10h05.6m -60.2 Car  4     I  2m   3440  ●
13  10h23.8m -60.1 Car  4    II  2m   3770  ●
14  10h42.9m -59.5 Car  4     I  3m   3440  ● イータカリーナ
15  10h43.9m -59.4 Car  3.5   I  3p   2940  ● イータカリーナ北端
16  10h44.9m -59.7 Car 10    IV  3m   3550  ● イータカリーナ中心付近   = Collinder 234
17  10h56.0m -59.2 Car  5.5   I  3p   1870  ●
18  11h11.1m -60.7 Car 12    IV  3m   2960  ●
19  11h14.2m -57.6 Car 13    IV  2m   2730  ●
20  12h38.9m -60.6 Cru 10   III  2r   2240  ●
21  13h31.4m -62.8 Cen  5     I  2m   1960  ●
22  14h30.8m -61.1 Cen  7   III  2p   2210  ●
23  15h59.9m -53.4 Nor  5   III  2p   3090  ●
24  16h56.5m -40.6 Sco 60    IV  3m    580  ●
25  17h24.4m -38.9 Sco  5     I  2p   2000  ●
26  17h28.2m -29.4 Oph  7.5  II  2p   1560  ●
27  17h35.3m -33.4 Sco  8     I  2p   1290  ● Guideで表示はされない
28  17h26.2m -32.4 Sco  7.5  II  2p   1560  ● 
29  17h41.5m -40.0 Sco 14    II  2p    830  ●
30  17h56.4m -35.4 Sco 15    IV  3m   2370  ●
31  17h59.2m -28.1 Sgr  4.5  II  2m   3360  ●
32  18h16.8m -13.3 Ser  5.5   I  2p   1870  ● M16のすぐ北
33  18h24.0m -19.7 Sgr  5.5   I  3p   1870  ●
34  18h39.7m -08.5 Sct 10    II  2p   1170  ●
35  18h42.6m - 4.1 Sct  5    II  2m   3020  ●
36  20h09.7m +41.1 Cyg  6   III  1r   3740  ● = IC1311<WEBDAによると、Tr36は、IC1311である。>
37  21h38.6m +57.4 Cep 60    IV  3r    730  ● = IC1396
  I. 集中が強い散開星団
 II. 集中が弱い散開星団
III. 集中がほとんど認められない散開星団で、メンバーはまばらに弱弱しくほとんど一様に散らばっている星団。
IV. あまり集中していなくて、周囲にだんだんと溶け込んでいて、フィールドがそこだけちょっと濃くなっているような星団。

1. 構成する星のほとんどは同じような明るさである。(NGC7789)
2. 中間
3. 星の明るさは明るい星から暗い星まで幅広く、明るい星は少しである。(Pleiades).

p: メンバーは50個以下の貧弱な星団
m: 50-100個のややリッチな星団
r: 100個以上のリッチな星団

 

次に、2011年9月発行のAA236 に星団それぞれの印象を付けているので、転載する。
No. 星座 dia. 集中 形態 距離 見た印象
 1  Cas  4.5'  I  3p   2290  40cmでは明るい星がぎちっと密に集まって素敵だ。真中に4つの明るい星がまっすぐ並ぶ。
 2  Per 18    II  3p    680  5cmファインダーで数個見える。40cmでは中央にオレンジの星がきらりと光るまばらな星団。
 3  Cas 17    II  3p    690  5cmファインダーで見える。40cm65倍でかなりまばらな大きな星団で、フィールドスターがここだけ多い。
 4  Gem  5.5  II  2p   2130  =IC2157 M35の西にある小さな星団で、40cmでは20個ほど見える。
 5  Mon  9   III  1r   2490  暗い星が密集してすばらしい。明るい星の配列により星団の中央あたりが少し暗く見える。
 6  CMa  5.5   I  2p   1870  小さくメンバーは暗い。割合まばらで、130倍では28個数えた。
 7  Pup  5.5  II  3p   2130  Tr6と同じ視野に見える。ちいさな「や座」のように見える星のまわりに十個あまり。
 8  Pup  9    II  1p   1300  = NGC2479 12.5cm48倍でぬか星の群。明るさがそろった30個ほどの星がサンゴ礁のように丸く並ぶ。
 9  Pup  5    II  3p   2340  小さい星団で、まっすぐに並ぶ6個の星等でV型に見えるが、暗い星は少ないようだ。
10  Vel 30    II  3p    350  3.5cm双眼鏡で明るい星がばらばらとあり、20個ぐらいは見えている。
11  Car  4    II  2p   2920  大きくないが星数は多い。フィールドの密度を高めたよう。40cm130倍で30個ぐらい数えた。
12  Car  4     I  2m   3440  ものすごく小さくて密集している。130倍では真中に5個の星がまっすぐ並び全部で25個数えた。
13  Car  4    II  2m   3770  40cm130倍で20個ぐらい数えたが、小さくて星が多い星団。オタマジャクシのように細長く並んでいる。
14  Car  4     I  3m   3440  イータカリーナ星雲の中にあって、40cm130倍で乱れる暗黒星雲に30個ほどが透けて見えてすばらしい。
15  Car  3.5   I  3p   2940  イータカリーナ北端で、南北に7、8個の星が並び、北はずれの二重星の周囲に20個程度の星が見える。
16  Car 10    IV  3m   3550  イータカリーナ星から噴出する物質が作るこぶを取り囲み南のほうへばらばらと30個ほど集まっている。
17  Car  5.5   I  3p   1870  20個あまり暗い星が集まっているが、その南側にキノコの傘のように暗い星がいくつもある。
18  Car 12    IV  3m   2960  65倍の視野の1/4程度の大きな星団で30〜40個は星がある。南西端の2星へビューっとのびる列が目立つ。
19  Car 13    IV  2m   2730  目をそらすと微光星が多く、大きな星団が隠れているようだ。ちょっと南北に細長く、数えきれない。
20  Cru 10   III  2r   2240  7×50で何かあるように見え、40cm65倍ですばらしい。ぬか星の大集団。
21  Cen  5     I  2m   1960  40cmで明るい星が20個ぐらい半円形状に並んでいる
22  Cen  7   III  2p   2210  Trにしてはあまりぱっとしない。20個程度の星が動物の耳のような並びだ。
23  Nor  5   III  2p   3090  東西にやや楕円でぬか星が非常にたくさん集まる。フクロウ星雲のように星が少ない部分が2つ。
24  Sco 60    IV  3m    580  25cm38倍で大きな星団だ。このあたりものすごく星が多くて...エッフェル塔の脚だ。
25  Sco  5     I  2p   2000  40cm65倍で、暗い星がたくさんあって良い。カシオペヤの7789の小型版だ。
26  Oph  7.5  II  2p   1560  40cmで割合大きくてまばら。ちょうちょのようだ。明るい星から暗い星までそろい、約50個。
27  Sco  8     I  2p   1290  40cm65倍で割合まばら。中くらいの大きさの星団だ。十数個の星が見える。
28  Sco  7.5  II  2p   1560  40cm65倍で中くらいの大きさ。北西へ3つの明るい星が角のようにピンと飛び出している。全部で20〜30個。
29  Sco 14    II  2p    830  40cm65倍で三角を作る明るい星の南側に暗い星がたくさんぶらさがっていて、40個は数えられた。
30  Sco 15    IV  3m   2370  M7をさす矢印の形で暗い星がいっぱい絡み合う。南東へ連なる部分は微光星がたくさんあって興味深い。