★★★★★Collinder の散開星団カタログ

 2009P1彗星が、りゅう座からおおぐま座へと移動したが、Guide8でその位置を調べていると、こぐま座にCol.285散開星団があることを知った。Col.285は、ネットで調べると、なんとものすごく大きな星団で、北斗七星のいくつかもメンバーに入っている。76光年と太陽系に近い所にある星のグループで、固有運動が同じであるからグループだとされているのだが。まあ、400光年あまりにあるスバルでももっと近い所にあるとバラバラになって見えるのかなあと想像してみるが、散開星団とは何かという定義はおいといて、星を楽しんでみようと調べた。
 とりあえず、Col.285とはどんな星団なのか。SEDSのページには17個の星がリストされている。赤経10時から15時、星座ではこじし座からかんむり座にかけて大きな範囲に分布していて、1.8等から8.4等まで。ほとんどは北斗七星周辺にある。
北斗七星の写真で星団のメンバーを調べてみたが、これでは観望の対象とならないなあ。

 コリンダーの散開星団カタログで有名なところは、コートハンガーがCr399だ。399という番号だから多くの星団がリストされているはず。Cloudy Nightsに Thomas Watson がカタログを載せていて、471個の星団が載っている。NGC,IC,Melなどのカタログと重複しているのだが、Cr独自のものもある。
 コリンダー(Per Arne Collinder 1890-1974)は、スウェーデンの天文学者で、1931年に博士論文として書いた「On structured properties of open galactic clusters and their spatial distribution」で散開星団のカタログを発表している。彼はFranklin-Adams星図で星団を調べてカタログにしたのだ。
 John Franklin-Adams(1843-1912)は、英国のアマチュア。南アフリカのヨハネスブルグと英国のGodalmingで1903年から1912年にかけて撮影したものをもとに1913-14年に出版した。Flanklin-Adams cameraで知られる口径25cmの広視野の屈折望遠鏡を使い、1枚の視野は15x15度で、206枚の写真で全天をカバーして16等まで写っているらしい。
 コリンダーは、スウェーデンのまわりの海や北極圏の調査を行った。退職してからは、故国の天文学史の研究に専念し、1970年に"Swedish Astronomers 1477-1900"を出版した。彼がスウェーデン語で書いた本が英語に翻訳されたものが”A history of marine navigation "で、オーストラリアの図書館のデータに出ていたりする。
 Collinderのカタログは、ネット上ではCloudyNightsにThomas Watsonが調べたものを見ることができる。彼もコートハンガーがきっかけでこのカタログに興味を持っていたそうで、2005年にNancy Thomas がアマチュアの天文雑誌に書いた記事を読み、さらに調べてその471個の星団を調査してカタログにまとめたようだ。471個のうち、70個ほどはメシエやNGC番号などが付いてないもので、これら星団はCr***として呼ばれている。
 Collinderのが番号で呼ぶ有名な星団は、コートハンガー、Cr399で、ブロッキ(Brocchi)の星団とも呼ばれる。ブロッキはアメリカのアマチュアで、1920年代にAAVSOの測光の基準を作るためこの星団の星図を描いたので、このように呼ばれるようになったとか。

...AA238 2012 Apr.17