撮影用 30pF4 ニュートン式反射望遠鏡 2021年9月完成
Deepskyの撮影は、これまで焦点距離500oのε180メインで撮影してきましたが、2・3年前からより大きく写すために20cmF5反射を使っていました。
しかし20pはF5と若干暗いので、赤道儀を少し大きくした機会に撮影用の望遠鏡も大きくしました。
もともと30cmF4の主鏡は買ってあったし、2004年にそれを使ってフレーム鏡筒を作ってあったので、今回はその流用もあります。
こちら、2004年製作のもの
EM200に載せたところで、このときの鏡筒は9kg弱と軽いものでしたが、赤道儀に対してやはり大きすぎると感じていたところにε180が発売になってそれを買ってしまっていました。
懐かしいオートガイダーST4を付けた6pマクストフガイド鏡が付いています。
主鏡は購入から17年過ぎていて、メッキが痛んでいたのでジオマテックさんで再メッキしました。
2021年7月ごろから製作を始め、2021年9月9日にファーストライトを迎えました。
めざしたのは、
1.軽く小さく作ること。
強度を保ちつつできるだけ軽い材料を使いました。トップリングは2004年に作ったものの流用。中央の枠と主鏡のセル部分は新たに作りました。
トップリングは2.3kg、主鏡部分はセルと合わせて5.6kgで、全体の重さは11kgほど。黒いフレームパイプはカーボンでとても軽いものです。
遮光は段ボールを8角形にしています。全長は106pほどで、デリカD5に立てて積むことができます。
2.長時間の撮影中にピント移動が無いようにすること。
3時間露出を設定してほったらかしということがよくありますが、以前のε180では途中からピントが変わってくることがありました。
それで2019年に作った20pは熱膨張をしないカーボンパイプでフレームを作り良い結果でしたので今回も採用しました。
カーボンは高価だし加工が難しいが熱膨張がないという利点があります。
3.便利な運用。
ガイド鏡やファインダーが出っ張っていると収納などに不便です。それでガイド鏡は中央枠の中に付けています。ファインダーはもともとは中央内を
考えていましたが低い位置となるため接眼部近くに移動しました。あと、主鏡後ろには冷却ファンを付けています。
それでは各部詳細
トプリングはほぼ全部2oのアルミアングル(緑色矢印)で作っています。できるだけ小さくするために8角形になるように組み合わせています。
2つの8角形を接続する部分は1oのアルミ板を135度に曲げています(黄色矢印)。
斜鏡を付ける金具は、2oのアングルから切り出しました。(水色矢印)
8角形の外寸は33pで、開口部は直径31pしかありません。写真鏡としては小さいのですが、周辺減光はフラットで補正できると割り切っています。
このトップリングの写真は2004年撮影のもので、今回は中央の斜鏡を付ける部分を厚さ4oのアルミで作り、3点の光軸修正に変更しました。
接眼部は、タカハシのμ210用のもので2016年に48000円ほどで購入したものを使いました。
各部はこのように3oのネジでとめています。相手方にタップを立て、ナットは使っていません。
2021年に改造したトップリング 中央のアルミ板を4o厚で光軸修正ネジ3本に。斜鏡スパイダーは赤線のように直行するように調整。
緑色矢印は、スパイダー金具の取付部補強のため追加。
内部の黒は植毛紙。その外側はスーパーマーケットの発泡スチロールトレイ。
斜鏡はカサイの短径88oを購入。円筒の金具を作るのがめんどうだったので45度に作った台に両面テープで接着
金具はイラストのようにアルミアングルとアルミ板で45度に傾斜した台を作りました。アルミアングルは2o厚のもので、ネジは3o。
主鏡部分
8角形の枠は、トップリングと同じ外寸33pに作りました。緑矢印は厚さ3oの30x30アルミアングル、水色矢印は厚さ3oで25x25アングル。これらはコーナンで購入。
接合部は4oねじどめです。
主鏡を載せて傾きを調整する台は、写真のように三角の形です。黄色矢印は厚さ1oの12x12角パイプで、強度をもたすために2本並べてねじ止めしています。
黄色〇印の穴は、主鏡の18点支持金具を取り付ける部分。
赤色矢印は厚さ4oアルミ板で、黄色矢印の角パイプを裏側からねじ止めしています。赤○は、光軸修正引きネジ用の6oタップ。
黒い三角(青矢印)は、主鏡の18点支持の金具です。1辺10pほどの正三角形で1oのアルミ板で、頂点部分に直径2pほどの1oのゴム板を貼っています。1oの厚さは薄いのですが、この板は歪んでもよいのではないかと考えています。
2枚の黒三角板は3o×30oのアルミ材でつなき、その中央を上の黄色○印に付けています。
上の画像で、オレンジ矢印は主鏡の横方向の位置決め金具で、6箇所あります。主鏡のガラス材とこの金具の間には1oのゴム板を入れ、さらに紙1枚の余裕をもって隙間を調整しています。
これらオレンジ矢印の金具は、望遠鏡が下の方に向くと主鏡の重さがもろにかかってくるので、変形をおさえるために紫色矢印で示した金具で連結しています。
底には10oほどの杉板を付けていて、これは鏡筒を置いたときに押し引きネジを保護したりするものです。
中央枠
緑色矢印は厚さ1.5o、15×25oのアルミ角パイプです。2004年に作ったときはこのパイプだけで中央枠をつくっていましたが、今回は少し重くなってもよいので水色矢印の12o角パイプを追加しています。
というよりこの中央枠の構造は下のような計算をしてから決めたものです。
なお、ガイド鏡は有り合せの3pがありましたので、写真のようにフレームの内部に付けています。
これは、ラックピニオンの繰り出しが3o程度と少ない状態でピントが合うように鏡筒の長さを決めるとともに、長さが1mのカーボンパイプを無駄なく使うためです。
まず、トップリングと主鏡セルができた段階でそれらを適当な長さの木材でつなぎ、実際の星でピントが合う位置を確かめます。
これによってトップリングと主鏡の距離をどのように設定すればよいかわかります。図では@です。
次に、Aのように赤道儀に取り付ける部分の中央枠はバランスが合う位置にするため、計算を行いました。
ここでトップリングの重さ3.3kgはカメラ1kgと合わせて実測したもの、主鏡の方も実測5.6kgです。
それぞれの重心位置は、トップリングは接眼部の位置、主鏡の方は主鏡上面から18o下ですがこれは適当です。
計算結果からBが決まります。ここでは570.5oとなっています。
カーボンパイプは長さ1mのものを入手したので、半分の50cmに切って使うためにネジ穴の間隔は最大で47.5cmとしました。これがCです。
(トップリング側のフレームは長いので13o角のカーボンパイプ、主鏡側は短いので10o角を使っています。)
それらの数値から鏡筒全体の重心位置とトップリング側のフレーム(カーボンパイプ)のネジ穴の距離Dが決まります。
ここでは65oとなりました。
これで中央枠で上下のフレームを繋ぐ金具(図で緑色、上の写真では赤矢印と黄色矢印)の長さを決められます。
この金具は熱膨張によりピント移動に影響するため、少し重くなるが鉄のアングルで作りました。
写真で赤矢印は3o厚の40x40鉄アングル、黄色矢印は同30x30で、いずれも長さ18p。
上の写真左側はこのようにして作った中央枠を用いて仮組したところで、下部のフレームはカーボンパイプを使っていません。
これはピントの最終確認のためで、計算ノートのようにして求めた長さで仮にフレームを作り(ここでは竹を使っています)、
実際に星でピントを確認しました。
その後に下部のフレームをカーボンパイプを切って作りました。
カーボンパイプの切断は普通の金ノコで切りましたが、切粉が飛ばないように泡状の石鹸水を吹きかけて行いました。穴あけも同様です。
なお、カーボンを切ると歯は切れなくなってしまいますが、金ノコの替え刃は安いので使い捨て、ドリルの歯は研ぎなおします。
最終的にはラックピニオンの繰り出しが2oでピントが合う状態になりましたが、これは主鏡の位置を前後させることで少しは調整できます。
主鏡の光軸修正ネジはここでは6oのネジを使っているので、1回転させると1o移動できます。
これで鏡筒の主要部分ができたので、あとは遮光だけ。軽くするために段ボールで作りました。
全体でカメラを除いて11kgほどです。これはガイド鏡も含みます。
最後に経費のまとめなどを付けておきます。
なお、補正レンズはビクセンのコレクターPHを使用しています。