本物を知れ! ライトニング編


 ゲームの中では、3種類の中で平均的な性能を持ち、マーカーミサイルも前方に出せるという、使いやすい機体であるライトニング。
 このモデルとなったのは、アメリカのロッキード社が開発し、第二次世界大戦で活躍した戦闘機「ロッキード P−38 ライトニング」。
 ここでは、その実機はどんなものであったか、そしてそのゲームとの繋がりを見ていきたいと思う。



 P−38ライトニングは第二次世界大戦中に、アメリカのロッキード社で開発・生産された戦闘機で、第二次世界大戦中の最優秀機、また敵軍であるドイツからは「双胴の悪魔」とも呼ばれる程のものであり、その生産数は約1万を数えたという。

 この機体の特徴は、何といってもその外観、双胴である事。特にアメリカの戦闘機としては、このタイプは初めてのこととなる。
 そもそも、こういう形になったのは設計段階のときから。ロッキード社は1937年に陸軍より開発の依頼を受けるが、その依頼内容に基づき、エンジンの性能や武装面等を考慮し、この形状にするのが最も適しているとして採用、仕様を固めていったという。

 名称について。P−38と呼ばれているが、正式な型番としては、「XP−38」「P−38D」「P−38E」など、改良(ようするにバージョンアップ)を加えられるごとにそれらの型番が付けられ、その種類は、大まかに分けても20種以上ある。それらを統合して「P−38ライトニング」と呼ばれている。

 ちなみに、その大まかな型番は、次の通り。試作機や武装の無い型番も含む。

XP−38
YP−38
P−38
XP−38A
P−38D
P−38E
P−38F
P−38G
P−38H
P−38J
P−38L
P−38M
P−38K
P−322
F−4
F−5A
F−5B
F−5C
XF4D
F−5E
F−5F
F−5G
FO


 また、「ライトニング(Lightning)」という名称は、P−38Dの頃から付けられたもの。それまでは、“Atlanta”とも呼ばれていたらしいが、P−38を発注していたイギリスで、すでにライトニングの名称で呼ばれていたため、混乱を避ける意味もあり、公式の形で今のものに統一されたという。


 というわけで、ゲーム中では「自機」という感覚でしか見ることがないライトニングだが、調べてみるとまさに「名機」であり、これ1種だけでも、様々な事が見えて来る。実に面白いことだと思う。

参考資料: 世界の傑作機 No.30 P−38ライトニング
第二次世界大戦軍用機ハンドブック・アメリカ篇
航空機名鑑 1939〜45
(文林堂 刊)
(原書房 刊)
(光栄 刊)
(↑参考というか、ほとんど写させてもらいました・・・。私の知識の無さよ)

 さて、ここまで調べていくと、私に一つの疑問点が出てきた。それは、「数あるP−38シリーズの中で、ゲームのモデルとなった機体はどの型番か」ということ。

 私の手元にあるのは、インストカードなどに載っている図と、19XXサウンドトラックCDのライナーノートに載っている、このイラスト(開発者がCGで描いたものと思われる)の2枚。

 あまりにも少ない資料ではあるが、これだけでもおおよその特徴がでている。それは2点。

・エンジンの形状が、下に膨らんだ形になっている(P−38Jからこの形状になった)
・機首には何も取りついていない(P−38Mからポッドが取りつけられている)

 それがわかる実物の写真は、次の通り


P−38Dの写真

P−38Jの写真
エンジンが下に膨らんだ形状になっている

P−38Mの写真
機首にポッドが取りついている


 エンジンの形状の変化はP−38Jからであり、これ以前は該当しない。またP−38Mより取りついている機首のポッドが無いところをみると、恐らくP−38Jをモデルにされたと思われる。
 ちなみにP−38Jは、P−38シリーズの中では最もポピュラーな機体と言われている。

 また、主翼にタンクが取りついている点も、これを見極めるにあたって重要な要素と思われるのだが、どの型番からタンクが取りつけられたか、写真では判断しにくいため(手持ちの資料では、P−38Jからと書かれている)、確認できず。

 まあ、この予想が正しいかどうかは、開発者のみ知る事。


 あと、余談ではあるが、19XXサウンドトラックのCDのジャケットを見てほしい。


 この大きさでもわかると思うが、この絵は、主翼に描かれているマーク(丸印をしているところ)が、インストカードのものと違う。
 さて、これは何を意味しているのだろうか、などと考えてみるのも面白いかも。
(単に開発中に変更になっただけだろうけど・・・、それじゃあ夢が無いので)