電子辞書選定 2006年7月6日

 ちょうどいま、ハリーポッターの第4巻(原書)を読んでいるところなのだが、英語の本を読んでいると、にわかに電子辞書がほしくなる。本を読み終わると「やっぱりいらないかな」という気分に戻るのだろうけど。でも電子辞書を買うことで、つねに何か1冊、英語の本を読み続けるという習慣をつけることができたら、それもいいかなと思い、この際、電子辞書を買ってみようと思い立った。

 私はどちらかというと「辞書は紙のものが一番」という考えの持ち主だ。時間のあるときに大きな英英辞典をゆっくり繰って読みふけると、これがなかなか楽しい。そうはいっても、いま英語の本を読むのはもっぱら電車の中。電車の中に大きな辞書を持ち込むわけにはちょっといかない。そんなわけで、最近はほとんど「辞書は引かず」に、わからない単語は「想像しながら」読んでいるのだが(文の前後関係から単語の意味を想像するというのは、これはこれでよい訓練になる)、分からない単語を調べなかったら語彙も増えないし、大事な話の筋を読み違えることもある。やっぱり辞書は必要だ。

 電車の中で使うということでいうと、ハンディな辞書を買うという手もあって、実際、ポケットサイズの英英辞典を持っているのだが、ハンディな辞書は説明が少なく、特に英英辞典なんかでは結構つらい(大きな英英辞典なら例文や図も豊富で理解しやすい)。電車の中で辞書のページを繰るのも結構大変だ。となるとやはり「電子辞書」だ。
 
 電子辞書の選定に当たっては、電車の中で使うのが主となので、なるべく小型軽量のものを選ぶことにした。重さは200g以下。それと、もうひとつこだわりたいのは画面の解像度。QVGA(320x240)か、それ以上の解像度がほしい。辞書は最低限、和英、英和、英英が入っていればいい。そんな条件を挙げて、一覧表を作ってみた(下の表にはソニーが入っていないのだが、この一覧表を作ったときはソニーが電子辞書を作っているとは知らなかった)。
 
表1 電子辞書の比較(ウェブ調査)
品名解像度サイズ重量その他価格判定
カシオ      
XD-GT9300480×320150.5×107.5×20.4290g 39,289×
XD-ST9200480×320144.5×99.0×20.1250g 34,333×
XD-M900320×240120×83×12.8170g 21,917
XD-E800128×64128×77×13.5120gリチウム8,433×
SII      
SR-E10000320×240141.5×95.4×23.0240gカイテキー42,489×
SR-E8000320×240141.5×95.4×23.0240gカイテキー30,646×
SR-MK4100320×240110.7×83.5×22.5172g音声対応24,000
SR-MV4800320×240110.7×83.5×22.5163g音声対応29,000
SR-M7000320×240110.7×83.3×15.2135g 25,625
SR-M4000320×240110.7×83.3×15.2135g 16,397
CANON      
G70480×240148×104.5×19.7288g 41,285×
G55320×240140×99×18.2228g 23,849
C50320×160126.3×76×22166g 17,498
IDF-2200E240×112117.5×74×18.5140g 11,838×
Sharp      
PW-V8900320×240140×106.8×19.5259g 29,865×
PW-A8800320×240140×106.8×??223g 24,756×
PW-S7200320×240120×90×(9.9)160g 22,040
PW-M850320×120118×73.5×(12.3)111g 17,146×
PW-M100159×80125×79.4×16.7148g 8,512×
 
 この中から、CASIOのM900、SIIのM7000、M4000、MK4100、MV4800を候補と決め、実際に電気店に赴いて操作感を確かめることにした。電気店には仕事の帰りに2回ほど立ち寄った。特に購入を決めた2回目は1時間ほど店頭で粘った。
 
 実際に触ってみてわかったのは以下の通り。

表2 電子辞書の比較(店頭調査)
機種良い点悪い点
CASIO DX-M900操作が軽快
英語系辞書が充実
価格がやや高い
SII SR-M7000軽くて薄い
英語系辞書が充実
反応速度がやや遅い
価格が高い
SII SR-M4000軽くて薄い
価格が安い
反応速度がやや遅い
SII SR-MK4100音声が出る
操作が軽快
起動が遅い(これは耐え難い)
いらない辞書が多い
SII SR-MV4800音声が出る
起動が速い
操作が軽快
高校生用と銘打っているのが
気に入らない
価格が高い

 上記の中で何を買おうか、かなり悩んだ。音声機能にはかなり惹かれた。なんたって紙の辞書にはない、電子辞書ならではの機能だから。でもMK4100もMV4800もスピーカが付いてなく、音声を聞くときはヘッドホンを付けなくてはならない。
音声というのは、発音の難しい単語を引いたときにとっさに聞きたくなるものであって、わざわざヘッドホンを取り出してまで聞かないのではないか?
すべての単語の音声が入っているわけではないので、自分が聞いてみたいと思うような難しい単語の音声データはほとんど入っていなかったりするのではないだろうか?
などといろいろ考えて、結局、音声機能にはこだわらないことにした。

 英語系辞書が充実している機種にもかなり惹かれた。たとえばcovariance(共分散)などのような専門用語は、リーダース英和辞典など大型の辞書でないと載っていない。ただ、この手の辞書が入っているものは確実に1万円近く値段が上がる。しかし、たとえ立派な辞書が入っていても、電子辞書の電気的な性能は数年で陳腐化してしまうのだから、なんとなくもったいない気がしてしまうのだ。というわけで値段の高い英語辞書充実系は候補からはずす。

 ところで「高校モデル」のMV4800に関しては、入っている英英辞典がもうひとつ気に入らなかった。英語学習者向けと銘打ったコウビルド英英辞典というのが入っているのだが、「もし〜すれば、〜という意味」という形式で書いてあって、これが非常にまどろっこしい。たとえばforgetという単語を引くと、
 If you forget something or forget how to do something, you cannot think of it or you cannot think how to do it...
 という具合に説明してある。これこそがこの辞書の売りのひとつな訳だが、このはじめの部分がどうしても不要に思えてきて、「いいから早く意味を説明して」という気分仁なってしまう。これがLongman現代英英辞典なら
 to fail to remember or keep in the memory ...
 とダイレクトに意味の説明が書いてある。
 Oxford現代英英辞典でも
 to be unable to remenber something that has happened in the past or ...
 という具合で、まあOK。単に好みの問題なのだが、自分が慣れ親しんだ表記と異なるとかなり抵抗がある。
 そんなわけで最終的に、軽くて小さく、値段も比較的安いM4000を選択することにした。
 
 実際使ってみると、小さくて軽いというのは非常にありがたい。電車の中で立って本を読んでいても、開いた本の、いま読んでいない方のページに電子辞書を載せて、辞書を引きながら読むなんてことができるのだ。
 というわけで、なかなかよい選択をしたと思っている。

SII SR-M4000
購入した電子辞書




This page was last updated on July 6, 2006.