2025年10月04日(土)
三宮駅前9:20=(市バス25系統)=北へ=加納町左折=
山手幹線=中山手3丁目北へ=トーアロード=左折=
9:30山本通3丁目53m左折=再度山ドライブウェイ=
諏訪山=碇山285m=堂徳山=再度公園=9:57五辻=
10:10森林植物園正門450m10:50-あじさい坂-
芝生広場-11:53長谷池-青葉トンネル-西門-
沢の池-12:50森林展示館(昼食)-
14:20森林植物園正門=(市バス25系統)=15:00三宮駅前
雨の中、コケの観察会に出かける。
市バスは曲がりくねった再度山ドライブウェイを
喘ぎ登った。

神戸市立森林植物園は入場料無料の日。
コケ観察会の講師は
兵庫県立人と自然の博物館の元館長の
秋山弘之氏。
手拭いで頬かむり、ザックとカバン、傘を
腰にぶら下げて、長靴を履いていた。
メタセコイアの足元についているコケは
フルノコゴケ
和名は古鋸苔(ふるのこごけ)で、
湿って開いた葉のようすが古いノコギリの
歯のように見える。
黒い球のようなものが朔
(さく、胞子をつくる器官)で、
花のように見えるものは、朔が開いたもの。
コケの観察にはルーペが必須。
エゾスナゴケ
砂地などの乾燥する場所に良く生育し、
アカマツ林の尾根筋などにも出現する。
平地や斜面に広がって群落を
形成するので、コケ庭にも
良く使われる。
水分を含むと葉が広がって緑となり、
乾燥すると葉を上方に巻き込んで、
色は白くなって光を反射する。
別々に見るととても同じ植物とは
思えないほどである。
このような水分状態に対応して植物の形を
変えることができる能力が、
乾燥しやすい立地における生育を
可能にしている要因のひとつである。

クリーニング屋の自動車(こけちゃっっかー)は
屋根がコケで覆われている。
泉原一也氏の苔テラリウムとか。
「アクアリウム」が水生の動植物を
育成するのに対して「テラルウム」は
陸性の動植物を育成する意味。

ホソバオキナゴケ
丸みを帯びた半球状の塊を作り、
乾燥すると白っぽく、湿ると緑色が
濃くなる。
和名は、白髪の翁の姿から。
葉緑素を含まない透明細胞と
葉緑素を含む細胞が挟まった
特殊な構造により、乾燥時に
光を反射して白く見える。
育てやすくテラリウムにも適す。
あじさい園に着いた。
ここで苔(蘚苔類)と地衣類の違い
について説明があった。
苔が水分や養分を光合成で得る植物
であるのに対し、
地衣類は菌類と藻類が共生した
複合体である。
苔は鮮やかな緑色だが、地衣類は銀色、
青緑、灰色、黒など多様な色を
持つことが多い。

ツヤゴケ
(艶蘚) 蘚類ツヤゴケ科
林床の倒木や岩上に自生、コケ盆栽や
苔玉としても利用される。
乾燥するとツヤツヤと光沢があるように見える。
チャボヒラゴケ
樹幹に生える扇状のコケ。
一次枝は這う、二次枝は立ち上がって
まばらに枝をだす。
長谷池に近づくとにょきにょき頭を
だしたラクウショウの気根があった。
落羽松は別名で沼杉(ヌマスギ)。

メタセコイアとラクウショウ
メタセコイア(アケボノスギ)は葉の
つき方が対生(葉が左右同じ位置に付く)
ラクウショウは互生(交互に葉が付く)
ヒロハツヤゴケ 広葉艶蘚
葉に艶がある。
樹幹、岩上、コンクリート上などに
普通に見られる。
茎は羽状に平らに分枝し、葉が顕著に
扁平について、ふわっとした
マット状になる。
ハマキゴケ 葉巻蘚
葉が乾くと葉縁が巻き込む。
人里でよく見られる。
植物体は小形、茎は直立し、普通は
長さ5㎜ほどであるが、
長くなると1.5㎝になるものもまれにある。
中心束がある。
葉は上部に集まってつき、乾いて
巻いた葉が濡れて開くと、葉の縁が
鮮やかな黄緑色になり、
小さな美しい葉のように見える
ことも多い。
ノキシノブ
シダ植物 花は咲かず種子もできない。
葉の裏の胞子嚢から胞子を飛ばして
増える。
イワイトゴケ
蘚類 シノブゴケ科
乾いた状態は緑色の細い糸状、
水を吸うと葉が茎に放射状に展開する。
枝は葉を含めて幅0.3-0.5mm。
枝葉はふつう長さ0.5-1mm。
秋山先生はコケの専門家だが、
子供たちが見つけたキノコ
も丁寧に説明した。
チチタケ、ナラタケモドキ、
ホウロクタケ、コンイロイッポンシメジ、
ツチグリ

ホウロクタケ
焙烙茸はサルノコシカケ科 硬質菌
傘に環紋が現れる。
イボ状の突起がランダムに現れる。
ヒトクチタケ
煮干しのような臭み
ヒトクチタケは、主に枯れたマツの
幹に発生するサルノコシカケ科の
きのこ、傘の下面がクリーム色の
膜で覆われ、成熟するとそこに
丸い穴が1つ開くのが特徴。
木材の腐朽菌。
ヒトクチタケは、大きさも、形も、
クリの実そっくり。
空いた穴の中にたくさんの昆虫がいる、
ヒトクチタケの胞子拡散戦略として、
ハネカクシ等の昆虫も利用している。
ヒトクチタケが生えていたら、
枯れてから1~2年である。
ハイゴケ
鎌状にまいている くるくる巻く
強い乾燥耐性があり、苔球によく使う、
地面に沿って広がることから
「ハイゴケ」と名付けられた。
明るい岩の上にふかふかの
群落をつくる。
オオスギゴケ
庭園の代表的なコケ 葉は卵形の
葉鞘から披針形(ひしんけい)
林床を好む。
ミヤマサナダゴケ
葉は弱く扁平につき、平らなマットになる。
やや光沢があり卵形で先端は尖る。
乾くと強く捲縮する。
ヒメトサカゴケ
ウロコゴケ科フジウロコゴケ属
樹木の根元近くによく見られる
小さなコケ。
しばしば葉のフチに粉のような
無性芽をたくさんつけることが
大きな特徴。
カラフトキンモウゴケ
樹幹にクッション状の群落をつくる。
帽子には毛が多い。
乾くと捲縮する。
石垣に生殖していたコケ。
ハマキゴケ ラセンゴケ ハリガネゴケ。
ラセンゴケ
樹林基部に生える。枝先が強く湾曲する。
ハリガネゴケ
岩やコンクリートの上にクッション状に生える。
道端にハチの巣があるようで、
スズメバチが飛んでいる。
溝には短いヘビ、よく見ると
マムシだった。
誰も気が付かないようで、
騒ぎにならず良かった。

青葉のトンネルを歩く。
全長約90mのトンネルはLEDで
ライトアップされている。
青葉のトンネルの内部は、
秋の七草をイメージした紫や赤紫、
緑などの色でライトアップされていた。
ヒヨドリバナ
オミナエシに似ている。
花は小さな筒状花が多数集まって、
散房状の大きな花序を形成。
アサギマダラが好んで集まる。
ハナノキ
葉が開く前に深紅の小さな花を
枝いっぱいに咲かせる、
日本固有種の落葉高木。
別名「ハナカエデ」とも呼ばれ、
秋には鮮やかに紅葉する。
オランダボダイジュ
集散花序に淡黄色の花をつける。
花期は6月ごろ。
ナメリチョウチンゴケ
滑り提灯苔 さく(胞子が入っている袋)は
卵形で枝から垂れる様子が提灯に似ている。
中肋葉の中の中央脈が滑らか
ではっきりしない。
ヒメナギゴケ
葉が扁平、葉の全周に歯がある。
中肋の背面上端が1個の歯で終わる。
ナミガタタチゴケ
波形立苔 スギゴケ科 波打つ葉が特徴。
スギゴケと比べると葉が透き通っている。
乾燥すると葉が丸まる 細長いサク。
樹木はカツラ、サンザシ クマノミズキ。
など観察。
最後に蘚類と苔類の違いについて
蘚類は「茎と葉」がはっきり
分かれた茎葉体(けいようたい)が
一般的で葉に中肋がある。
胞子を包むさく(蒴)=(胞子嚢)が
丈夫で長持ちする。
苔類は「茎と葉」が分かれていない
葉状体のものが多い、
胞子を包む(蒴)はもろくて一時的。