御苑きのこ観察会
2024年10月13日(日)
9:00御苑堺町休憩所9:10−9:11間之町口9:47−9:48京都事務所前
10:12−貽範碑(いはんひ)−賀陽宮跡−11:02白髭神社−凝華洞の跡−
11:13 WC11:25−大宮御所前西側−富小路広場北側−12:14寺町御門西(解散)
京都府山岳連盟自然保護委員会
のきのこ観察会が
京都御苑で開催され、
55名の参加があった。
講師は関西菌類談話会会員の
佐野修治先生。
京都御苑には423種きのこ
があり、新種も発見されている。
きのこの命は人間も含め
どの生物の命とも同じ大切なもので、
きのこを採取して並べて、
説明して後はほかす方式の
観察会は嫌です。
間之町口付近に移動して、
オニフスベの幼菌と老菌
を観察した。
白い幼菌は1週間から10日
ほどでバレーボールぐらいに
大きくなり、子孫を残すために
胞子を出す。
胞子が成熟するにつれて褐色の
臭い液を多量に出し、
乾燥すると外皮は
はがれ落ち褐色の老菌となる。
老菌は持ってみると軽い。
たたくと埃のような胞子がでる。
自分の役目(胞子を出し子孫を残す)
を終え、虫たちに「食べてもいいよ」
と言っているようです。
キノコの体を虫が食べる。
虫が胞子を運び、糞をする
ことで胞子が繁殖する。
次の命の糧となり、命を
つないでいく。
石炭紀(3億6千万年前)には
木材腐朽菌が地球上に存在し
なかったので、倒木などの
植物遺体は分解されなかった。
植物遺体はそのまま堆積し
石炭ができた。
石炭紀が終わる頃(2億9千万年前)
真菌が出現した。
細菌は核をもたないが、
真菌には核がある。
キノコやカビ、コウボ菌は
真菌類に属する。
この真菌が遺体を分解して
掃除するようになった。
植物に共生する菌が地上に
繁殖し腐生して植物遺体を
無機物にしていった。
輪廻転生。
命がつながるようになった。
京都事務所の門前の砂利の中に
コツブタケがあった。
断面にツブツブがあるのが
名前の由来。
きのこ染にすると黄金色になる。
先生は小さなウチワを
ヒイロタケで染めたのを見せた。
植物性繊維は染まりにくいので
シルクを用いたそうだ。
きのこ本来の色は上品な伝統色。
植物と菌類は地下で複雑な
関係を築いて生活している。
今までは、そういうこともある
だろうと思われていたが、
最近では100%連絡しあう関係を
築いていることが分かった。
京都の岩倉は昔マツタケが
たくさんとれた。
「マツタケ山復活させ隊」
(2005年吉村文彦代表)がマツタケの
畑づくりに取り組んでシロを
復活させている。
松に共生する菌は35種、
そのうちマツタケと競合する菌
はマツタケの育成を阻害するので
育成させるのは難しい。
スプーン一杯の土に50億個の
菌がいると考えられている。
菌は有機物を分解し土壌に
保水力や養分をあたえる。
菌根菌は植物と共生し水分や
養分を吸収しやすくするので、
乾燥地帯でも植物が根付く。
このような取り組みが世界の砂漠化
を止めることに繋がる
可能性は非常に高い。
キノコには共生菌、腐生菌、殺生菌がある。
共生菌は生きた樹木の根と共生関係を
保ちながら生育する。
腐生菌は植物や動物などの遺体の
有機物を分解して養分を吸収する。
殺生菌の代表は冬虫夏草で昆虫
から養分を吸収して生育する。
動物には口があるが、
植物には口がない。
キノコにも口がない。
三界説によると生物は動物、植物、菌に
分けられる。
植物は生産者であり。
動物は消費者、菌は分解、
掃除者である。
キノコは樹木の代弁者であり、
森の環境を知る指標でもある。
キノコが木を弱らせるのでなく、
木が弱ってから
キノコが寄生する。
キノコを見て木の状態を知り
キノコを通して地球全体を
見る目を養ってほしい。
移動しながらキノコを観察した。
コフキサルノコシカケ
漢方薬として癌に効くと
言われている
ヌメリスギタケ
杉に付く、饅頭型で光沢あり、
ニクウスバタケ
白色腐朽菌 カサは反巻き
カワウソダケ
サクラの木に発生する硬質菌、無柄。
傘は半円扁平
ニクコウヤクダケ
クスノキの樹皮表面にピンクに群生。
数ミリの超小型
シラゲタケ
白い粗毛がのびた毛むくじゃらの硬質菌
ヒイロベニヒダタケ
傘は小型、赤い
ツガサルノコシカケ
普通横に成長するが縦に成長している。
漢方薬にはならない。
ウラベニガサ
ハラタケの仲間。
成長すると傘の襞が薄い紅色
カイメンダケ
幾枚も重なり合って傘を開く
アズマダケ
アカマツの根から発生、傘は中心部が
へこんだ独楽状
富小路広場北側でパネルを使って
説明があった。
トリフは一生地下で生活する菌。
地下は環境の変化が小さいためだろう。
日本でもトリフは20種ほど見つかった。
ポルチーニの胞子は地下にある。
セコチュウ型 キノコ
ハラタケなどのキノコはカサを
縮めてまるくして地下に
潜るセコチオイド型に
進化している。
セコチオイドは成熟しても
カサが開かないため腹菌化の
途上にあると考えら
れている。
腹菌化はヒダを持たず内部に
胞子を持つキノコの種類。
人気のある黒トリフは地中
にあるため雌豚に探させる。
トリフは雄豚の精子と同じ匂いが
するためその匂いを追っている。
豚はトリフを探し出すと食べてしまうので、
トリフの匂いを犬に覚えさせて、
探させている。
菌が生態系に果たす役割は環境問題
の解決にも役立つと期待されているが、
日本では菌類の研究者が少ない。
講師の先生は菌類を研究する人が
増えてほしいと
訴えて観察会を終えた。
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