御所・キノコ観察会
2023年10月15日(日)
地下鉄丸太町−間の町口―9:00堺町休憩所9:20−9:24南に 9:39-
建礼門前道路横断−10:26WC-10:47大宮御所西側11:05−
11:23バッタが原−11:29森の文庫−11:40母と子の杜 11:56解散
参加者55名 晴れて暖かい。昨夜の雨でキノコは多そう。
講師は佐野修治先生。京都御苑でのキノコ観察会を
始めて48年目になり今年は442回目。
観察会の参加者にはキノコの先端の研究者になった人もいる。
御苑の中には貴重な新種のキノコもあるそうだ。
また先生は介護関係の仕事もされ、
車いすキノコ観察会をおこなっている。
堺町休憩から少し南に歩くと、
大きなクスノキがあった。
クスノキに「ニクコウヤクタケ
(ウロコタケ科)」が付いていた。
とても小さくあまり目立たないが、
肌色の小さいツブツブのキノコ。
振り向けばキンモクセイの花が盛り。
建礼門前道路横断して、松などの植え
込みに入った。
キノコは樹皮を更生させる。
コウヤクタケは
共生者である。
腐生菌や木材腐朽林は悪者扱い
されているが、新しい命をめばえさせる
ために、材を食べる。
木が枯れるようになると、土に変える
お手伝いをする。

石炭紀(3億6千万年前)には
木材腐朽菌が地球上に存在しな
かったので、倒木などの
植物遺体は分解されなかった。
植物遺体はそのまま堆積し
石炭ができた。
石炭紀が終わる頃(2億9千万年前)、
真菌が出現した。
細菌は核をもたないが、真菌には核がある。
キノコやカビ、コウボ菌は真菌類に属する。
この真菌が遺体を分解して掃除する
ようになった。
植物に共生する菌が地上に繁殖し
腐生して植物遺体を無機物に変えてた。
輪廻転生である。命がつながるようになった。
菌類の胞子が飛んできて雨の核はできる。
キノコが雨をコントロールしている。
オオウチワタケはキノコ染めに使われる。
カキシメジによる中毒も多く,ツキヨタケ,
クサウラベニタケと、ともに
キノコ中毒の御三家。
キノコには共生菌、腐生菌、殺生菌がある。
共生菌は生きた樹木の根と共生関係を
保ちながら生育する。
腐生菌は植物や動物などの遺体の有機物を
分解して養分を吸収する。
殺生菌の代表は冬虫夏草で昆虫から
養分を吸収して生育する。
動物には口があるが、植物には口がない。
キノコにも口がない。
動物は消費者である。植物は生産者だが、
キノコは植物遺体などを溶かして吸収する
ことによって、有機物を無機物に変える
自主栄養生物であり、命の循環を行っている。
このことから菌類を別の
グループとする新しい分類法
である、三界説が生まれた。
三界説によると生物は動物、
植物、菌に分けられる。
植物は生産者であり、動物は消費者、
菌は分解、掃除者である。
干しシイタケは天日干しのシイタケ
と乾燥機で乾かしたシイタケは違う。
キノコから森林の健康を知り、
ひいては地球全体の健康を
推し量る「キノコ目」で見てほしい。

フクロシイタケ。
切り株一つを観察ポイントにして何回も
見ると色んな事が分かる。
「機会は一度だけ」一合一会。
キノコ観察には味覚は大事。
キノコにも?油味、胡椒味などがあり、
識別に重要な手がかりになる。
カイメンタケ
木材腐生菌(アズマタケ)
松を好む。松に思いを馳せるように感情の
伝達もあるらしい。内面まで見届ける。
エノキ
エノキの根に共生菌がいて、多くのキノコが
かかわって情報を交換している。
モミの木は下草を生やさない。
ヒメホコリ
モミの木にベニタケ
マツカサチャワンタケ

名のわからないキノコが多い。
キノコの同定は傘のヒダ、ツバ、ツボ、
などでするが、科や属までは
分かったとしても
種までは分からないことが多い。
DNA解析でやっと種までたどり着く
ことができるようになった。
ホウライタケ
トリフは一生地下で生活する菌。
地下は環境の変化が小さい。
日本でもトリフは20種ほど見つかった。
ポルチーニの胞子は地下にある。

セコチュウ型 キノコ
ハラタケなどのキノコはカサを縮めて
まるくして地下に潜るセコチオイド型に
進化している
セコチオイドは成熟してもカサが
開かないため腹菌化の途上にあると考えら
れている。
腹菌化はヒダを持たず内部に胞子を
持つキノコの種類。
人気のある黒トリフは地中にあるため
雌豚に探させる。
トリフは雄豚の精子と同じ匂いが
するためその匂いを追っている。
豚はトリフを探し出すと食べて
しまうので、トリフの匂いを犬に
覚えさせて、探させている。

フェアリーリングは菌糸が花を咲かせ
輪になって広がる現象。
花一輪がどれほど広がっているか。
DNA解析で菌糸は5km先まで広がって
いることが分かった。
アメリカ、オレゴン州で発見された
オニナラタケは総面積約10km2
(965ha東京ドーム206個分)、
推定重量約600t、推定年齢は約2400歳。
シロナガスクジラの比ではない
ジャイアントセコイア より大きい
地球上で最大の生き物。
図鑑で調べるとキノコの一生の一部分
しか分からない。
マッシュルーム ハラタケ。
ナカモリモリノカサは毒がある。
こげ茶になるが、これは胞子の色
成熟した胞子の色が分からない。
キノコの体を虫が食べる。
虫が胞子を運び、糞をすることで
胞子が繁殖する。
アズマタケ
ナラタケモドキ 螺髪のような
キヒダタケ。
イグチの類 共生菌。
イグチ科の仲間にイタリアや
ヨーロッパで好まれるポルチーニ
(ヤマドリタケ)がある。

大宮御所西側で写真を使っての説明。
キヌガサタケ
純白のドレスをまとったかのような
レース状の菌網を伸長させる。
ヒトヨタケはエミール・ガレの
「ヒトヨタケのランプ」で有名。
成熟した子実体の傘は周縁より中心部に
向かって自己消化により次第に
液化し、ついには柄のみ残し、一夜で
溶けて黒色の胞子(担子胞子)を
含んだ黒インクのような液と化してしまう。
自らを溶かすことによって胞子を
分散している。
キノコは食べ頃がある。
古いものは危険。保存時期にも気を
付けてほしい。
ムラサキナギナタタケは松林などに束生。
素麺のように細長い。
キノコ染
木材腐朽菌のヒイロタケは朱色の
キノコ染めができる。
先生がキノコ染めしたポケットチーフを
見せてくれた。
カワラタケはピンク色に染まる。
媒染に銅などを使うが、無媒染
でも染まる。
ハナビラタケ、コツブタケもキノコ染に
使われる。

タマゴテングタケ 致命的な猛毒をもつ。
チチアワタケ 皮がめくれる。
イグチ 白い乳が出る。
シロハツモドキは地面からどんどん出ている。
ハナビラタケ。アカハツ、ナラタケ、
ナラタケモドキ。
ナラタケとナラタケモドキ
ナラタケモドキはツバが無い。
切り株についたキノコ
ネンキンタケ、サルノコシカケ、カワラタケ、
スエヒロタケ。
ツノマタタケ、キクラゲ。
スエヒロタケ病
人間の足からキノコ
が生えてきた
という童話がある。
人の肺に寄生して感染を引き起こす
キノコだといわれている。
母と子の森に来た。
本棚には先生の恩師吉見昭一氏の本もあるそうだ。
お昼に解散になった。