村の一番外。……とは言ってもどこが変わったのやら……。
たどり着いた先は、まだ森の中だった。
「ここから先は、村人に出ることを禁じておる。もう大丈夫じゃ。
それではアイリス。これを渡しておこうかの」
長老が差し出した物それは……、3つの玉?なんだこれ。
「すべて持っていってよい。ただし気をつけて使うのじゃぞ」
「ありがとうございます!」
アイリスが全部受け取った……。で、それはなんだ。
「なあアイリス。その玉は何なんだ?」
……ただの変わった玉のように見える。
「あれ!説明してなかった?フィソラを変身させるアイテムよ」
「こんな玉がか!?」
そういえば俺が駆けつけたとき、フィソラの姿が変わっていた。あれは……そういうことか。
「それと昨日渡し忘れておったのじゃが、これを渡しておこう」
長老がローブのポケットから取り出した物……一枚の紙?
「本来教えるはずじゃった、水属性ドラゴンの泳ぎ方じゃ。
わしなりにまとめておいた。これを参考に練習すると良いじゃろう」
そんなのがあるのか……確かに水属性のドラゴンは泳げない者が多い。
泳ぐというよりも、長い時間息を止めるなどの能力が発達し、水中を歩くように移動するからだ。
種族によっては水辺にいるからというだけで、水に入れない者もいる。
フィソラの姿を見る限りでは、たぶんそっちだ。
泳げるドラゴンは、ほとんどが大きく長い体を持っている。
「ありがとうございます。ウロボス様……今までお世話になりました」
「……いつでも帰ってくると良い……と言いたい所じゃが……そうもいかんか。
また会えると良いな」
「はい!」
笑顔の別れか……その方がいい。
後はレグルスが、はっきり別れを言ってくれれば最高だが……あれから下を向いて黙ったままだ。
仕方ない。このまま出発だ。レグルスと仲良くしているのを見られるとまずい。
アイリスに何かしようと、村人が捜している可能性もある……時間がない。
「アイリス……そろそろ行こう。あまり時間がない」
「ええ、そうね……。レグルス……、さよならは言わないわ。また会いましょう!」
「………」
黙ったままか……、無理もない、あれだけの事があったんだからな。
……草の揺れる音!まずい!
「早く行くのじゃ。後のことはわしに任せよ!」
レグルスの返事を待つアイリスの腕を掴み、走った………。
アイリスは、残念そうにレグルスのいた方向を見ていた。
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