兵庫陸水生物 71号 目次    

40周年講演要旨

言い残しておきたいこと−特に地域自然研究をめぐって−西村 登・・・・・・・・・・1

原著

神戸市北区の2地点における希少種ミゾゴイの記録・・・・・・

                     青山 茂・神戸自然史同好会こだま・・・・・・7

望遠機能付きカメラを持って自然散策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青山 茂・・・・・・10

六甲山地に所在する再度公園周辺で確認した両生類・・・・・・青山 茂・・・・・・・・11

藍那の2公園で確認した両生類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青山 茂・・・・・・19

神戸市西区で見られたヌマガエルのアルビノ幼生・・・・・・土井敏男・・・・・・27

神戸市北区で発見されたヌマガエル幼生の色彩変異個体鈴木夢奈・土井敏男・・・・・・29

植物の登はんによるダルマガエルの水路からの脱出事例土井敏男・・・・・・31

神戸市におけるウシガエルの水田への侵入事例・・・・・・土井敏男・青山 茂・・・・・・35

秋に観察された産卵巣内のミシシッピアカミミガメの幼体‥竹田正義・・・・・・37

京都府丹後半島の砂浜海岸で確認されたニホンイシガメ・・・・・・竹田正義・・・・・・41

兵庫県西宮市津門川の魚類相・・・・・・田井魁人・三宅凛太郎・山本義和・細谷和海・松沼瑞樹・・・・・・45

兵庫県南西部(西播磨地域)のヘナタリ産出状況について・・・・・・増田 修・・・・・・51

神戸市域におけるアカテガニの確認例・・・・・・土井敏男・大嶋範行・山本勝也・・・・・・59

九州で再発見されたタジマニンギョウトビケラ Goeran tajimaensis Tanida and Nozaki. 2006

                        ・・・・・・青柳正人・多田竜祐・野崎隆夫・・・・・・63

喜界島の河川で採集した水生昆虫の記録・・・・・・・・・・・・・・・・司村宜祥・中島 淳・・・・・・67

久米島からシオカワヨコエビを記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・司村宜祥・・・・・・69

与那国島から淡水海綿とミズカゲロウ科の記録・・・・・・・・・・・・・・・・司村宜祥・・・・・・71

兵庫県たつの市の井戸で採集された淡水性ヨコエビ‥・・・・・・・・‥稲田和久・・・・・・74

久米島から淡水海綿の記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・司村宜祥・・・・・・75

ブルーギル有効利用の可能性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・服部賢志・・・・・・78

アユの脂質代謝I(不完全神経間韓部脂肪組織の観察)・・・・・・・・・・・・服部賢志・・・・・・79

アユの脂質代謝U(脂質組成の調査)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・服部賢志・・・・・・81

 

図書紹介

環境アセスメントセンター編 天竜川上流の主要な魚2020北原佳郎・・・・・・・・・・・・・・83

洪水と水害をとらえなおす一自然観の転換と川との共生−』西村 登・・・・・・・・・・・・・85

〈表 紙〉

淡水性カメ類幼体の産卵巣内のようす(左:ニホンイシガメ、右:ミシシッピアカミミガメ)

ニホンイシガメ、クサガメ、ミシシッピアカミミガメなどの淡水性カメ類は、5月〜7月にか

けて土中に巾着型の産卵巣を掘り、卵を産み落とす。卵は産卵巣の中で成長してふ化

し、やがて幼体が地表へと這い出る。ニホンイシガメの幼体はその年のうちに、クサガメ

とミシシッピアカミミガメの幼体のほとんどは翌年の春に這い出ると言われる。しかし、産

卵巣内でふ化した幼体が、いったいどのような行動をしながら地表に這い出るのか、今ま

でまったく研究されてこなかった。そこで、近年になり筆者が産卵巣内でふ化した幼体の行

動を観察したところ、幼体は集団で地表へと掘り進んだあと地表近くでいったん留まり、夜

間から早朝にかけていっせいに這い出ることが分かってきた。その行動は、多くの研究で

明らかになっているウミガメの例とよく似ており、どのような生存戦略上の意味があるのか

興味深い。淡水性カメ類にはまだまだ分かっていないことが多い。 (写真・解説 竹田正義)