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鍋焼うどん
鍋焼きうどんは、幕末の頃大坂で流行し、明治の初めに東京にも伝わった。土鍋を用い、具には海老の天ぷら、鶏肉、かまぼこ、鶏卵、しいたけ、青物などが豪華に入る。元治2年(1865)に、大坂で上演された「粋菩提禅悟野晒(すいぼだいさとりののざらし)」という芝居の中で、四天王寺山門前で夜鳴きうどん屋が、鍋焼きうどんの流行している様子を客に話している台詞が出ている。また、明治13年に、東京・新富座で上演された河竹黙阿弥作の「島鳰月白波(しまちどりつきのしらなみ)」のなかで、夜鷹そばの売り手が少なくなって、鍋焼うどんが増えていると話す夜蕎麦売と客とのやりとりが台詞となっている。
 
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鍋焼きうどん売り
今では、全国のうどん屋の定番になっているが、先ずは幕末の大坂で流行し明治の初め頃東京に伝わって全国に普及した。【明治物売図聚 三谷一馬著 立風書房】の「なべやきうどん売り」のなかで、明治38年「太平洋」から引用した文があり「看板の行燈へ、当り屋とか千歳屋とか延喜の好ひ名を記し屋台の上へ今戸焼の焜炉(こんろ)二個を添へた荷を貸す饂飩問屋がある。これで屋台を借りて売子となったら、何時でも鍋焼饂飩屋となれるのだが・・・」「之を借入れても、付属品の汁注ぎ薬鑵 行平鍋 箸 箸入れ・・・雑具は売子の自弁」また、「普通の鰹節と上等醤油で汁を塩味にして・・・上等に食わせるには、汁と種に存外費用が嵩むもので、夫に夜業だから石油と炭に追はれ・・・」てたいへんだが、そこそこの稼ぎにはなるので、「農業の閑を見て、例年遠国から態々出稼に来ることになって居る。」云々とあって、当時流行った鍋焼きうどん売りの様子などがよく分かる。また売り子の装束などは、外見上では江戸時代の夜鷹そば売とあまり変わらなかったようである。
 
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