そばの歴史・そばの文化    <  サイトへ移動   .
 大坂・砂場のそば猪口  江戸時代 砂場いづみやのそば猪口  

@写真は二種類のそば猪口 

大坂・砂場のそば猪口  小振りのそば猪口は変体仮名で「す 奈 バ」。
 もうひとつは、表側は柳文、裏面に「砂」の文字、
 底部(見込み)は虫が描かれている。
             そば猪口の底部(見込み)

  A表面:柳文に裏面:「砂」のそば猪口と、小振りの「す奈バ」と書かれたそば猪口
 表が柳文、裏が「砂」のそば猪口 「す奈バ」のそば猪口

 一説によると「砂場いづみや」はそば猪口を特注していたともいわれ、この二種類のそば猪口もわざわざ店名入りで作らせた物と考えられる。
「柳と砂」の猪口については、表面の「岩と柳の木、口縁からたれる柳の葉、根元に草花」の図柄と、底部(見込み)の昆虫文までがまったく同じで、裏面の丁度「砂」の字がある場所に鳥の絵が描かれた猪口の例がある。【 注:参照 】
従って元々あった図柄の鳥の部分を店名の「砂」とさせたのか、逆に元々は砂場特注の図柄であったものが一般に出まわったものがあるのかは分からないが、ここに掲載しているのは大阪で見つかった「江戸時代 砂場のそば猪口」である。

「砂」と書かれた そば猪口は砂の少が「メ」と止められている。
猪口の形や技法からは18世紀中頃のものに共通すると思われるが、残念ながら素人で判断が付かないが、いずれにしても江戸時代中期以降のものであろう。

 【 :ベストセレクション 古伊万里 責任編集・中島由美 】
          蕎麦猪口・酒器1000  講談社 

この本の60ページ下段中央部分に見える「柳文」のそば猪口が大坂・砂場と同じ図柄のそば猪口とまったく同一である。
表面の「岩と柳の木、口縁からたれる柳の葉、根元に草花」、
底部(見込み)に書かれた昆虫文まではまったく同じである。
裏面の「鳥の絵」だけが「砂」という文字になっている。

                   
 「柳と砂」の猪口の横に並べた小振りのそば猪口は、「す 奈 バ」と三文字かかれたものである。一見、平仮名と漢字とカタカナの組み合わせのようであるが、当時使われた変体仮名で、「奈」という漢字(字母)をくずした変体仮名であり、「バ」もカタカナではなく(字母の)盤という漢字をくずした変体仮名「ハ」というひらがなに点々を打った「ば」であると解せられる。
「す奈場」「す奈は」は 摂津名所図絵を筆頭に「絵本お伽鑑」などにある砂場和泉屋の暖簾でおなじみである。「砂」を「す奈」としているのは ひとつには「少」の字を避けるためのものでなかろうか。
         【所蔵】  大阪市北区老松町 「生そば・衣笠」
           「衣笠」は 「 そば屋の検索 」のページからアクセス

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