CIMMYTを訪れて

山田 勇雄

●青空に映える施設

 メキシコシティからCIMMYTの車に送迎され一時間、どんなところだろうと思いをめぐらせ、CIMMYTに着いた。センターの玄関門にあるCIMMYTの大きなロゴマークに感激しつつ車に乗ったままセンター内に入った。建物の前で車を降り、きれいに生える芝生、農場のトウモロコシの青々とした姿に胸を躍らせ、センターの建物に入った。

 



係の人にCIMMYTの概容にふれたビデオを見せていただき、資料までくださった上に飲み物まで…。

そして、センター内を案内さしせていただいた。センター内は新しく、きれいだった。館内には、世界の情勢やCIMMYTの活動などを載せた来客用の説明看板が要所要所にあり、それをめぐり歩きつつ説明を受けた。CIMMYTの施設はここだけでなく、メキシコ各地や世界各地にあるらしい。ノーベル平和賞を授与されたボーログ博士の部屋もあり、CIMMYTに来たことを実感した。

 CIMMYTでは交配による品種改良にとどまらず、遺伝子組み換え技術を用いているが、そこにも案内してもらった。途中にすごく良いにおいのするところがあり、その暖かい香りに心ときめかずにはいられなかったが、どうやら収穫した小麦から焼いたパンの食味をみているとか何とかと、館内では様々なことを行っていた。

●鍵を握る種子保存

 次に案内されたのは種子保存施設だ。CIMMYTでは耐病、耐乾燥や農業の成り立ちにくい悪環境でも生育する品種を改良しているが、伝統種の中にある形質を用いそれを可能にする。結局は品種改良を行うにも現存する品種を利用しての掛け合わせであるので、その遺伝資源の保存というのが最重要なのである。育種の根元はその遺伝資源の多様性にあるのだ。そのため多様性の保存こそが急務であり、CIMMYTは伝統種の保全にも力を注ぐ。

 ここのセンターだけでもほにゃららにも及ぶ膨大な種類の種子の保存を行っている。その数の多さにも多様性の大切さがわかる。

マジで最高っすわ岩永所長

そしてついに所長との対面です!あいさつもそこそこにして、農場を見せに連れて行ってくれた。問題の遺伝子組み替え作物はビニルハウスで隔離されて育てられているらしい。その後、一緒に昼食をごちそうになり、貴重な話をいただき、お忙しい中オフィスで話を伺いましたが、質問に答えるのも+αの回答でとても有意義な時間をすごせた。

 その後も所長宅での夕食に呼んでいただき、更には長時間に及び話を伺わせていただいた。恐縮です。

 岩永所長には数々のアドバイスをいただき、所長の話は一ヶ月間のメキシコでの生活を吹き飛ばし、その何倍ものバイタリティに変えてくださった。とてつもない勇気を与えるその話からは国際機関を束ねる長のオーラをひしひしと感じた。


● 印象に残った“きれいさ”

センターは道も整備されメキシコの一般の道路にはゴミが捨てられてあったりするが、センター内はとてもきれいで広い(日本に住むので広さは際立って見えるかも)。芝生の敷き詰められたグラウンドや、バレーボールコートそしてバーまである。センターから車で10分くらい行くと所長宅に着く。すこし山の手にあるが、まぁ大きいこと。庭はきれいでお花も咲き、数十人がパーティを行えるようにもできている。私たちはセンター内のホテルに泊めさせて頂いたが、そのホテルにはプールもあったし、部屋の洗面台の水道は飲み水であり、お湯も良く出た。私たちはまぎれも無くお客扱いだったわけなのだが、接客に対しての設備が良くできてるなぁと感じた。

やはり、それはセンターの館内を案内されたときの説明看板に顕著に表れている。

CIMMYTは世界の行く末を左右しうる機関であるが、その存在や活動を知ってもらう事は非常に大切である。世界の要人であれ一般の人であれ、その人々や組織の協賛を得ることは一番の力となる。岩永所長の話を聴いて、世界でのアピール、政策の大事さと組織のあり方を痛感させたれた一日だった。



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