WISPことReid W. Dunnのファーストメジャーアルバム。いやもうこのジャンルの中だったら世間的にはメジャーもくそも無い気がするけど、とにかく一般流通に乗った初めての作品であり初めての日本でCD媒体が買えるアルバムとなりました。この人は今までCDや12"を出してはいたんだけどそのどれもが日本では入手困難なうえ、大体の音源はオフィシャルで配布してたから今まで形ある音源をお目にかかることすらなかったのよね。もうこの人はずっと自費出版・向こうの国の同人路線でいくのかと半ば諦めてたから実に目出度いことだ。まだフリーで配布してる音源は
公式にいっぱいあるので気になる人は適当に拾ってくれたらいいんだけど、リニューアルに伴っておれ殿堂入りである「
humpelndenBEATS」のリンクだけ無くなっててアレ。
レーベルのページも音源もちゃんとあるのに。
実にすばらしいアルバム。IDMと言う事でμ-Ziqやトムなんかと並列で見られることがしばしばあるみたい(実際似てるところもある)だけど、この人は音楽スタイルこそIDMだけどその中でハッキリ曲の雰囲気に個性を持ってる。徹底した電子音のみの構成とBPM高めの楽曲群、かなり無茶な変調することもあるけど基本のビートはずっと守ってるので物凄いフロア向けで、かつバキバキは鳴ってないから聴覚中枢に優しい音楽。アルバム展開が上手すぎるせいもあって、シームレスには繋がってないはずなのに気が付いたら3曲ぐらい進んでることもしばしば。そう言う意味では「バリエーション」はあるんだけどトムやリチャなんかと比べると「芸の幅広さ」がないからアルバム聴き終わった後の満腹感みたいなのは無いかしら。ずーっと聴き続ける事こそ至福みたいな。
とにもかくにも高速IDM(※drill'nではない)をやらすとすんげー格好良い音楽作ってくれるところにwisp音楽の魅力は集約されてるとおもう。メロディアスなくせにノリが良い電子音なら、そりゃまあおれのスキスキレーダーに引っかからないはずが無い訳なんだけども、ここまで考える事の少ない≒雑念が入らないキャッチーなIDMだったらもっとこうバカスカ売れても良いと思います!オフィシャルで試聴もできるM11
All His Might(※音が出ます)
なんか、もうトムで言うところの
Tetra-sync(※音が出ます)ぐらいちびりそうにすばらしい盛り上がり。この辺は今まで配布されてた音源からも期待しておりある程度素晴らしさを予想していたんだけど、それをしっかり上回ってくれていて実に素晴らしい。
唯一残念なのはCDの録音レベルが若干低めになってて、普段はアンプ出力-40dbぐらいで他のCDを聴いてるのを-36〜-34dbぐらいにしないと丁度良い音量になってくれないこと。まぁもちろん音が小さくても聴けない事は無いんだけど高速IDMなんかになると低いレベルでも高音ばっかしが強調されて音が寂しくなってしまうのよね。文句をつけるとしたらそれぐらい(paypal通販しかないことを声高に叫ぼうと目論んでたのに普通にAmazonでもHMVでも取り扱うようになってたので何も言えず)。なによりCDと言う形でこうして手に入った事が嬉しくて嬉しくて・・・
あとあんまし関係ないけど「wisp」と聞くとロケラン/ホーミングミサイルが思い浮かぶ人種が少なからず居て「取り合えずflash+wispだよねー」とか言う話が思い出されますが、wispは「束」とか「束ねる」と言う意味なのですよ。更に関係ないけどwispは見た目がかなりオタっぽくて、M・パラディナスが理工系と宣伝されるのならばこの人はアキバ系ミュージッククリエイターだなとか思った。でも大好きなのでジャンジャンバリバリ曲を作ってってほしいっすな。