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cd review "V.A"

Ar-Tonelico3アルトネリコ3 / Game-soundtrack, Hymmnos

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Ar tonelico 3 hymmnos concert side Blue & Red[2010/KDSD-10042, 43/#11, #11][Amazon][Amazon]
PS3希望の星と名高いままそのまま向こうの星まで行ってしまった感のある脱衣ゲーことアルトネリコ3の歌謡曲集。「サントラ」と言う名目では別途BGM集が発売されており、そっちはそっちでラスボスの曲の一部がそっちにしか収録されてないと言う話もあって需要はあるんだけど、とりあえずおれにとって嬉しさが大きそうなこっちだけ購入。単価3150円なので両方買うと6300円、実はゲーム本編の値段よりも高くなっていると言うことに気付くとなんか妙な感情に。まぁそれはいいか。

アルトネリコと言えば何年か前にPS2で初代が出た時に、どう見てもエロシーンにしか見えないテキストだったり音声だったりシチュエーションにより中学生の心を持つオタクたちの喝采を浴びた事で世間的な評価はほぼ98.5%ぐらい固まってしまっているものの、一応「うた」をメインテーマにしたゲームでもある事は熱心のファンの間でしか知られていない隠された要素なのである。霜月はるか氏とか志方あきこ氏とか、その筋の人しか知らないアーティストと言えばそれまでなんだけど、音楽だけで世界観持ってるってのはそれなりにメインテーマとうたってる本気度が窺い知れる。インターネットの深淵から漏れ聞こえる調べにより1の音楽だけはじっくり聴いて気にいっていたものの、1も2もキャラ絵とかプレイ画面が好きになれなかったので手を出して来なかったけれど、3で3D化とか専属絵師が超進化した事とかヒロインがアグミオンだった事とかが相まってゲーム本編をPS3のっけ買いすると言う暴挙に出てしまい、結局音楽もたいへん気に入ったのでCDまで購入したと言うはこび。ここまで前置き。長い。

2枚で22曲もあるので、特筆すべきを3曲をピックアップ。

「光の中に / KOKIA」
Side蒼に収録されているティリアのノーマルエンド曲(ネタバレ)。KOKIA氏と言えばネットオタク的には「ありがとう」なんだけど、おれはあれがKOKIA氏って知ったのつい最近で、むしろMoonlight Shadowのカバーの人と言う認識。いやどっちみち綺麗な歌声の人って事でほぼ同義だからそれはいいか。この曲の何が素晴らしいかって、作詞作曲がKOKIA氏自身って所。前々からアルトネに関わってきた志方氏や霜月氏と違って今作から飛び込みで参加したってのに、全く完全完璧に音楽世界観を理解した上で本編ティリアとシンクロ率400%な曲になってるって、どんな打ち合わせしたらこうなるんだよ!と突っ込まざるを得ない脅威の完成度。本編の演出と言うかシチュエーション的には咲のエンディング曲の方が心動かされるものの、楽曲の完成度としてはこちらに軍配を上げたい。ストーリーを理解してバックグラウンドを考えるとこのラブソングっぷりはもう、清々しすぎて裸エプロンでも許されるレベル!それはトゥルーエンドや。

「EXEC_ViiBaCi_MjiiRa/. / 霜月はるか」
Side紅に収録されてる中盤のボス戦曲。このゲームの「音楽に気合入れてるっぷり」が伺える演出の一つとして、静かなイントロからスタートして暫くしてからバーッ!っと盛り上がる曲が、戦闘開始とちゃんとタイミング合うように作ってある事が挙げられる(やり方は単純だけど、やろうとしてる事は好き)。この曲もその演出が使われているものの一つで、この「切り替わる」瞬間は何度聴いてもチキンスキンでございます。演出もさることながら曲(←歌ってはいるけど、声はほとんど歌ではなく音の意味で使われてる)も非常に秀逸。不安を煽るメロディラインに変則的なリズム、インドネシア辺りをイメージしたとライナーノーツにある通りガムランっぽくて、ゴアトランスとまでは行かないけどその一歩手前のエレクトロニカ風味。なので、そういう音楽が大好きなおれに取ってこの曲を好きにならない理由がない。おフィンフィン好きと言うのも理由の一つである事は間違いない。もちろん、性的な意味で。

「XaaaCi. / みとせのりこ」
Side紅に収録されてるラスボス曲(の最初)。みとせのりこ氏と言えば盗めない宝石でありクロノクロス(←やった事ないのに曲だけ知ってるパタン)。それはそれとして、1ではシュレリア様を担当して2ではジャクリ担当だった氏は今回はラスボス曲だけと言う扱い。知らない人のために解説しておくと、3部作通してメインの歌い手である志方氏と霜月氏とみとせ氏は共通して出演していて、キャラの声は毎回違う声優があててるのに歌バサラだけはいつも同じ人と言うシステムになっているのです。で、この曲どこが素晴かと言えば歌詞にファンタズマゴリアが入ってる所、ではなく、やけくそ気味なホワイトノイズとか死ね死ね団もかくやな内容の歌詞とかもうアルトネリコじゃないとこの曲をラスボスには使えないだろうと思える所。オープニングの「謳う丘」もだけど、こっちもこのゲームのこのゲームたる部分をよく示してる曲だとおもう。

で、結局このCDは買うべきなのかどうなのかと言う問いには答えにくい。ゲームやれば一通りを聴く事が出来る上に、クリア後のサウンドテストで全部聴けるからCD買ってくる必要ないと言えばないので、コレクターアイテムとか録音しやすいとかそう言う所にメリットを感じる人は買ってもいいんじゃないかなと言う程度。売れなくても赤字が出にくい売り方してるみたいだし、お布施的な色合いが強い。だがお布施を払う事で神様は喜ぶらしいのでご利益を期待する輩はカード決済で支払うがよい(「ブッブー!」「カードが無効ですって出てるぞ」)。

そんなかんじ。

Bonkersバンカーズ / HappyHardcore

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Bonkers X / Hixxy, Sharkey, Scott Brown [2003/REACTCD231/3CD/#49][HMV]
ハピコア御三家と呼ばれている、かどうかは知らないけどハードコア界でも割と有名な3人によるノンストップ・ハピコア・コンピレーション「Bonkers」シリーズの第10作。各人が1枚ずつ担当してキツキツまで録音時間つめて収録されてるのは良いんだけど、BOXとか各CDのジャケのアメコミ絵がやる気ありすぎて笑える。

やってる人がやってる人(いわゆるDJだけでなく自分で曲も作るひと)だけど流石にシリーズ10枚目にもなればあれかなぁとか思ってたんだけど、ハピコアコンピレーションの中ではかなり質が高く、Hixxyはトランスに近いかんじの不思議音楽・Sharkeyはとにかく格好良くて盛り上がり(曲数も一番多い)・Scott Brownはピアノ絡めたりしてメロディ重視かと思いきや後半急にロッテルダムになったり、みたいに三人が上手いこと住み分け出来てるのには感心した。流石に中だるみはあるけどまぁ垂れ流しでBGMに使う(つまり注意して聴かない)音楽だからべつに気にならない。

一応買った目当てはHixxy's mixのM5 Underground/UFO & Marleyでそれは良かったんだけど、特大花火的な曲はそれぐらいしか無かったから全編Elysium級のハピコアが聴きたいと言うひとにはオススメできない感じ。と言うかそもそも純粋な「ハッピー」だけじゃないから、ハードコア全般が好きなひとが楽しめるCD。「Hardcore will never ... die!」

Digital Loveディジタル・ラブ / MusicVideos+Compilation

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デジタル・ラブ(CD+DVD Edition) [2004/TOCP64256/CD+DVD/#19+17][Amazon]
「MVが面白い音楽ばかりを集めてDVDとセットで売ってしまおう」企画盤。Amazonに載ってる収録アーティスト一覧は曲順・収録曲ともにデタラメなので正しくはこっちを参照のこと。リストを見ても分かるとおり基本的にテクノ・ハウス・ミクスチャーなどの電子音楽を中心に収録してあって、それぞれのアーティスト間にはほぼ共通性が無いんだけど、全体として凄く自然な流れのコンピレーションになってる。

最初はPride's Paranoia/Futureshockを高画質で手元に置いときたい、あとPhantom Theoryに収録されてたPride's ParanoiaがMVで使われてるのとは違うMixだったのでRadio Edit音源が欲しいなぁと思って買ってみた(結局このCD収録のはPhantom〜と同じ音源だった)んだけど、CDを聴き・DVDを見たらかなり良い選曲をしてあって発見が多くあった。流石にStar Guiter/Chemeical Bros.なんかは数百回と聴いたしMVが収録されてる媒体を3つ(音源だけでいいなら4つ)も持ってて苦笑せざるを得ないんだけど、Asian Dub FoundationとかGorillazとか「名前は知ってるけどCD買うほどは」な人たちの音楽が凄く良くて(凄くテクノに親和性があって)面白いなぁと思ってたら、DVDに収録されてるそれらのMVがこれまた物凄く面白くてわざわざCD+DVDの形でコンピを作った理由が分かったような気がした。

特にMVが面白かったのはSpace Invaders 2003/Ken Ishii vs Flrで公式(?)ページに視聴リンクがあるからその辺見てくれたら良いんだけど、こう淡々と強烈なメッセージを含む(しかもそれを画でなくストーリーで見せる)映像ってのはたまらなくツボだ。19-2000/Gorillazもこのヌルヌル感と言うかついにアメ公も日本のアニメっ子感覚をここまで習得したのかーけどまだまだ展開がアメリカンだぜおまえら、みたいなノリでたのしめる。Fortress Europe/Asian Dub Foundationは直球で格好よくて、どっちかと言うとユーモア重視の収録曲たちの中で浮いてるけどもうタイトルからしてそれを踏まえても余りある格好よさだった。あとはHot!Hot!/Co-FusionがおもくそRezのステージ4ボスだったり、購入動機でもあるくだんのPride's Paranoia/Futureshockはちゃんと期待通りの音源で安心したりとか。

3600円てのは普通のCDにしては高い印象を受けるけど収録されてる曲の数も種類も豊富なだけにまっとうなラインかなと。殆どがDVD化されてなかったりあってもそのアーティストのDVDを買わないと見られる機会がないものばかりなのでいわゆる「面白MV」に興味がある人は是非どうぞ。

Directors Labelディレクターズ・レーベル / MusicVideos

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Directors Label Special Triple Pack [2004/AEBW-10186/3DVD][公式]

Spike Jonze、Chris Cunningham、Michel Gondryと言う世界三大MV(Music Video)監督の、コマーシャルフィルムや短編映像作品なんかも入ったMV作品集DVD。因みに写真の三本パックになった値引き盤は初回限定。以下日記に書こうとしたものの抜粋なんで文脈は気にしないで下さい。

今クリスのDVD(クリスだけ79分でDVD一枚組み)見終わったんだけど、この人はAphexのMVも良いけど映像作品の方がより面白いと思った。「Monkey Drummer」とかリーバイスのCMとか、特にWindowlickerの台詞修正版は爆笑無しではとてもじゃないが見てらんない。オリジナル版見てるときに「これって放送コード大丈夫なのかなぁ」とか思ってたんだけど、実はむしろ真っ向から喧嘩を売るためにわざとあんなのにしてたんですね。もう、すげぇバカ!!の一言。こんなん

あー、いまやっと夕方からどっぷり夜までかけてスパイクのDVDを見終わった。映像収録時間だけで3時間半ぐらいある上に、各MVにアーティストや出演者の音声解説が何バージョンも入ってるから表記されてる時間よりはるかに長く楽しめて嬉しいやら大変やら。色々あったが特に面白かったのはやっぱりFatboy Slimの2本+1本。クリストファー・ウォーケンがアレなのは爆笑モノだし、「Preise You」は見たことあったけど「TORRANCE RISES」は初見だったんだが、いやぁーこれはもう泣いた笑った。この作品(とMTVの様子)に限ってはどんな説明をしても楽しみをスポイルしてしまう気がするので何も言えない。何も知らないままに出会えた俺は幸運だったし、こうやって俺が面白いと言ってるのを聞いてしまったあなたは不幸としか言いようが無いけど、MV自体はユニーク・その後はまさしく「痛快」だから解説を読まずに観てください。

ミシェルの作品で特に面白かったのはChemical Brothersの2本とBjorkの96年以降、ついでにSugar Waterかなぁ。いや、La Tour De Piseの実写文字コラージュアイデアには感嘆したし、ミック・ジャガーがぐにょぐにょ動くRolling StonesのLike A Rolling Stoneや、ミシェル節?が無茶苦茶良く出てるLucasのLucas With The Lid Offなんかにも凄く感動したんだけど、やっぱり前述の作品が発想でも技術でもセンセーショナル過ぎたと言うか。もうこの人には言う事ないよホント。

ようやくこのDVD3本(映像だけのトータルタイムにして500分近くあるらしい)を見終えたんだけど、これは全部をボーっと眺めてると「ミシェルはユーモア・ビックリ系の天才肌、スパイクはとにかく楽しい気分になるおバカ映像、クリスはドキっとするような恐怖のインテリ(そう言う意味ではクリスだけ異質なのかも)」みたいな、各監督の個性と言うか傾向が何となく見えてくるのも面白い。

日本のいわゆる「PV」が全部が全部つまらないとは言わない(電気グルーヴとか宇多田とか、クリエイターでは宇川直宏とか面白いのもいる)し、海外のいわゆる「MV」が全部が全部面白いとは言わない(ビルボード上位を占めるブラックミュージックはどれもつまんないのばかり)けど、この人達は確かに世界一と呼ばれて然るべき手腕を持ってるので、国内のPVしか見たことが無いと言う人はどうやってでも良いからこのセンスに触れて欲しいなぁとか何とか。しかしこれだけ色々詰まって1万ちょいとは、久しぶりにDVDを安いと思った。

初音ミクはつねみく / LiveVideo

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ミクの日感謝祭39's Giving Day / V.A [2010/VGDV60001/BD/131min][Amazon]
あー、うん、期待してたものとちょっと違った。ライブの空気は伝わってくるしサラウンドもしっかりしてて(音質は普通だけど)楽曲自体に文句はない。あとルカさんのJust Be Friendsの振り付けがすばらしすぎる事とかPSPモデルのミクが表情豊かでローポリを感じさせない美しさなのはいいんだけど、肝心のハイポリモデルがジャギジャギのガクガクで、なんじゃこらと言うかんじ。平たく言えば「アップの絵は正視に耐えない」。なまじBDで会場の空気感まで伝わる高解像度なだけに、生演奏してるバンドメンとミクのアップが切り替わる度に余りのうんこ画質にゲンナリさせられる。いや、このBDを作ったスタッフの誰が悪いって訳じゃないんだろうよ、元のモデルだって会場で見てる分には相当に臨場感あってヌルヌル動いて素晴らしかったんだろうよ。あとニコニコ動画とかネット中継される画質だとここまでディティールが見えなかったから、「あれはあれでよかった」んだろうよ。
ジャギデス
けどこれはBDで、絵の粗さがそのまま浮き彫りになってしまうような解像度で、きっと当日の映像もプロジェクタで半透明ガラスへ投影だから中央から離れるほど明るさも低下してしまうし、ひょっとすると撮影カメラと投影機のリフレッシュレートのズレみたいなのが悪影響してしまった部分もあるんだろう。そのどれもが複雑に作用しあって、結果の映像を絵として捉えるとただ哀しさだけがそこにあるものになってしまった。でも、俺はこれに金を払わなければいけない。今日はダメでも明日はでっかい花が咲くかもしんないのだ。オタクなんだからそう言うワケの分からない技術にお金を投資して、ワケの分からない技術がいつか開花することに加担して、そしてその「いつか」の時にステージの中央には初音ミクの孫娘辺りが胸を張って立っている姿を見てみたいのだ。
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・・・でも、やっぱこのBDにお金を払うのは躊躇った方がいいといわざるを得ない。ハイポリモデルよりPSPのローポリの方が断然ディティールが美しいと言う意味不明なライブの生映像を手にしたビデオ編集担当が途方に暮れた姿は容易に想像できるものの、何とかして映像コンテンツとして売りに出さなきゃならん使命を負ったがために血の滲むような編集テクを駆使して引きのカットを多用して出来上がったこの映像を観ていると同情の涙を禁じえない。そしてローポリの曲になった途端にミクのアップを使いまくる辺り、この人血尿でも出してんじゃないかと思ってしまったのは俺だけではないはず。
ローポリデス
話が逸れた。あと何が不満って、トップメニューが2秒で作ったような簡素さなのもだけど、映像特典がブートレグもかくやと言わんばかりのしょうもない映像で、舞台裏でもなければリハーサルでもなく(いや確かにリハなんだけど、あんな映像が欲しかった奴が居るとは思えない)、ちっとも「映像特典」になっていないと言う事に、チェックした奴は絶対気付いたはずなのにそれをそのままにして売り出した所が大変気に食わない。色んな試行錯誤した結果がこれなんじゃなくて、何も考え無かったからこれになったんだろ、と。特典として舞台動画素材そのまま収録して欲しいと要望だしたのが通らなかったのはそれとしても、例えば投影装置がどうだとか、モーキャップの過程とか、ハイポリモデルの作成とか、演奏メンバへのインタビュとか、俺でも思いつくぐらい幾らでも特典にふさわしい物があったはずなのに、なんで何も考えないんだ。ついでにブックレットもギャラ200円ぐらいで専門学校生に作って貰ったような内容で、作業者にも管理者にも「少しでも良い商品にしよう!」と言う気が全く無い事を教えてくれる。
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と言うわけで、ライブ本編は引きの映像の時はちゃんと見て、アップになったら目を細めてモデルの粗さを見えないようにして、映像特典は最初から無いものと思って、と言うことが出来る人は買えばよろしい。それ以外の人は、多分中古市場に流れまくるのでそれを買うか友人から借りて観ればOK。少なくとも、俺のようにハイポリモデルをちゃんと高画質で見たいがためにBDをチョイスした人にとって、このBDに対する評価はとても低いものになるだろう。

巧妙な編集で作曲者陣のトークを割愛したのは高評価。あれはライブ映像には不要だから正しい判断と思う。あとドラムの人が物凄い楽しそうなのも大変よろしい。おっさんがあまりに楽しそうなので久々にスティック引っ張り出してきて適当に自分の足をバシバシ叩いてしまった。足痛い。
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ミクのライブ映像がおれの求めるものと一番かけ離れてた点ってのは、結局映像の解像度不足による「その場にミクが居ないことが分かってしまう」点なんだよな。あの場に居た人も、ネット中継で見た人も、あの場にミクが実在することを信じられるからこそあれだけ盛り上がれたと言うのに、その思い込みが間違っている事をしらしめられてしまうあのぼんやりした像ってのは、おれの求めているものと違う。そこにミクが居た映像がみたいのに、そこにミクは居なかった映像を観させられても困る。

とは言うものの、実は映像の粗さが分からなくなる程度のロングショットだと結構それっぽく見えて、特にAliceでミクが左奥に映ってる斜めショットなんかは正におれの要望通りで「実在物の客と非実在少女のミクが同じ空間に存在する」と言う大変素晴らしい絵になっている。そういう瞬間も確かに何度かはあるんだけど、アップになると急に「これは映像です」ってテロップを叩きつけられてしまって大変辛い。ミクが実在しない事なんか百も承知なんだからそんな事わざわざ説明してんじゃねーよと。前も言ったけど、これって別にBDの編集者の責任でも当日のカメラマンの責任でもなくて元ソースの、あるいは投影装置のハードスペックの問題なので、いずれテクノロジーが解決してくれることだと思ってるし、そこにこのBD収益の何パーセントかが使われれるなら無駄ではあるまいと自分を納得させる事もできる。植木鉢の芽も明日には出てくるんだよきっと。

WARPワープ / MusicVideos
Warp Vision The Videos 1989-2004 [2004/BRCDVD-1/#34][HMV]
電波系電子音楽を中心に扱うWARP RECORDSに所属するアーティストたちのMVを収録しまくったDVD。流石にAphex TwinのMVが34本中5本を占めてはいるけれどほかは大体1アーティスト1〜2本なので、いくら理念みたいなのは同じ方向向いてるとは言え楽曲はばらけまくっていると思って間違いは無いかんじ。また、Aphex TwinやSquarepusheなんかは有名監督がMVを作っていてそのテのDVDに収録されたこともままあったんだけど、殆どのWARPアーティストにとって初(そしておそらく最後)のDVDリリースなので色んな意味で貴重なのが盛りだくさんな内容。

基本的にdirectors labelのような「有名アーティストと有名監督が作った有名MVコンピ」ではなく、WARP印がついてはいるし有名監督も紛れてるけどバラバラな作品群をぼんやり眺めるためのDVDだから、これはこれで面白いMVコンピレーションの形だと思うけどWARP音楽を聴いた事がないひととかには全く全然完全にオススメできない。そりゃ両手で数えるぐらいはパッと見でも凄いと思えるであろうトラックはあるけどやっぱりタイトルにもあるようにクロニクル的な意味合いで楽しんでこそこのDVDだと思うし、今まで日本では映像を見ることすら叶わなかった作品が山ほど見られる事への感動みたいなのもありつつ、あとこの集団の音楽は「求めてない状態で聴いたら二度と触れたくないと思われる」だろう危惧が。まぁそれはいいか。

前述の通り監督が同じとかアーティストが同じとか言う一貫性がある訳でもないんだけど、騙し絵とポップアートとポリゴンが融合したようなTr26とか、人類=ウイルス説のエージェント・スミスさんを思い出させるTr27などWARPのMVはたいがい見たと思ってたのに初めて見る面白いMVやら、頭では理解できるんだけど生理的に気分が悪くなるTr15とか(※そう言えば結構そういう描写あるんで赤色が苦手な人は遠慮したほうがよさげ)、見るからに低予算時代でNINのHead like a holeをほうふつとさせるTr3などが織り交ざってて非常に混沌としていておもしろい。またAphex TwinのOnやNannou、AutechreのGantz_Grafなどの「大変素晴らしいけれど今まで見る手段が限られまくっていたMV」も収録されているので、史料価値は十分高いんだけどレーベルコンピとしてちゃんとかゆいところにも手が届いている。

あと、Freak / LFOのMVで普通に小学生ぐらいの幼女がパンチラ(パンモロ?)しててびっくりした。web公開版のを何度も見てるんだけどこれに気付かなかったのはまだまだおれのレベルが低い事の証明だなー。精進せねば。
こどもぱんつ!

Sound Trackサウンドトラック / no genre

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THE ANIMATRIX THE ALBUM [2003/5046.66895/#12][HMV]

アニメDVDとしては初動で売れに売れまくったANIMATRIXのサウンドトラック。参加アーティストをズラっと挙げてみると、Peace Orchestra、FREE*LAND、Layo & Bushwacka!、Supreme Being Of Leisure、Meat Beat Manifesto、Photek、Death In Vegas、Junkie XL、Overseer、Juno Reactor、Tech Itch、そしてマトリックスの音楽を担当しているDon Davisと、中々マニア受けしそうな面子が集まっておりそれだけでも魅力十分。

映画MATRIXのサントラでは他所から持ってくる楽曲はロックが主体で、まぁ申し訳程度にテクノちょっとと言う配分になってたけれど、ANIMATRIXは映画的ウケを狙わなくて良かったから(かどうかは分からないけど)テクノ分100%で、本来スコア担当のDon Davisまで完全変調テクノを作ってる辺りかなり良い一枚に仕上がっている。

一曲一曲は良い曲も悪い曲もあってそれだけを見ればまぁ「普通」なんだけど、なんと言うかアルバム構成での盛り上げ方が秀逸で全体的な曲の流れが非常に良い。「マトリロ」のあの、一曲一曲は非常に評価の高い曲を使っていながら残念な感じになってしまったサントラと比べたら断然聴き応えが違う。本チャンより良いサントラってどうなのよーと突っ込まずには居られないけども、それはそれとして。

買った動機は「Supermoves/OVERSEER」のリミックスを聴くため(俺の大好きな「Master of the Universe/Juno Reactor」は入ってないと知っていたので)だったんだけれど、これだけ濃いアルバムで輸入版2000円なら良い掘り出し物だと思う。でもSupermovesのリミックスは作中で使われたのと違う気がする。強いて言えば作中ではノンミックスだったのかなぁ。