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cd review "T"

高木正勝タカギ・マサカツ / Electronica

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pia [2001/CRPK010CD/CD+DATA CD/#13+#5][HMV]

邦人エレクトロニカってだれか居ませんか?と先輩に聞いたらこのCDが出てきた。元々映像アーティストとして世に出てた人らしく、何の因果かは知らんけど気が付いたらアレゲな音楽を作っていたとかどうとか。

予備知識全く無しで聴いてみた感じ「中間音が大好きな人」と言う印象を受けた。アナログ指向と言うかハッキリした音を殆ど使ってない感じで、自然音サンプリングは勿論なんだけど、それ以上にこうツマミを回して調節してるような音が多くてそれが実にアンビエントらしい雰囲気を出してて素敵。決められた音階や決められたスコアなんかクソ食らえ思想の人なのかなぁ。

Disc2はデータCDになっていてPV(イメージビデオか?)が収録されている。極度に不安定な映像とアンビエントな音楽があいまってかなり理解に苦しむ物が多いんだけど、子供が草原を走り回る「fround」と水の飛沫にフォーカスした「pia」の二つは実に良い映像作品に仕上がっていてオススメ。これはこれで一つの音楽のあり方なんだなぁ、としみじみ。


滝田樹里タキタ・ジュリ / Rap, J-POP, '80s

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THE IDOLM@STER MASTER ARTIST FINALE 音無小鳥 [2007/COCX-34521/#15][Amazon]
7月ごろから2週間おきぐらいで2枚ずつ出てたマスターアーティストシリーズの番外編。ゲームに出て来ないで公式HPのFAQとかライブとかドラマCDにだけちょろっと出てくる小鳥さんがメインでOSSAN大喜びなCD。おれとしては小鳥さんに全然思い入れとかなくて、そもそも滝田樹里がほかになんの仕事してるかすら知らんのだけど、塊魂収録曲が入ってたりとか全員で合唱してるマスア曲とかあるってことで買ってみたらいろいろと唸るところがありうっかりCD感想とか書きだしてしまった始末。

良くも悪くもっていうか主に良い意味で番外編だなぁー。いやらしい感じの(喜ぶ人も居れば嫌がる人もいるタイプの)パロディ小ネタとかマスアジャケットのネタが随所に盛り込まれてるし、なにより歌が非常に遊んでるかんじがする。オープニングトラックかつ遊び曲の代表「団結」はゲームで聴きまくったから今更、と思いきや、何度聞いてもやっぱしこれこそ団結してないようで実はバランスの取れてる(ように見える)正しいアイマスの姿だよなぁ。そう言えばバックで男が歌ってるんだけどアレ誰?エフェクトかかってる部分とかかってない部分あるんだけど、クレジットに載ってるNBGIのひとかしら。

小鳥さんの歌うアップテンポな「空」はもちろん80年代アイドルソングの現代版(←やいこしい表現)な名曲なんだけど、総まとめ番外編にふさわしくオールシーズン全アイドルの要素とか、アイマスゲーム本編の思い出が呼び起こされる歌詞になってたりしてううむ凝ってるなぁと言うあたり。歌ってるのが小鳥さんって言うこととか、考えるとメタ的な楽しみ方もできる。エンディングにはならないんだけどなー、エピローグの出だしに流れる曲?みたいなイメージ。こうしてこの世にまた新たな小鳥さん好きが生み出されましたとさ。一々漫画的表現なヒャー可愛いよヒャー。

ID:[OL]は思いっきりmoveなのが笑いどころなので良いとして、聞いてたらなんか昔あったエロゲ音声のMADを思い出した。具体的に言うとYogurt。もっと具体的に言うとONEネタで「嫌です」連呼するアレ(←音楽に併せて会話させる手法なんてのは勿論大昔から山ほどあるんだろうけどおれにはあれが最初だったので)。あと歌詞でハナキンハナキン言ってるんだけど、おれの生息してる地域では普通に「ハナキン」と言う言葉が生きているのでジェネレーションギャップワードじゃないんだよね。

唯一残念なのは期待してたiの全員verがすっげぇしょっぱかったことか。イントロでアイマスの底力を感じさせるだけ感じさせたらあとは急転直下、これじゃタダのデジタル合成じゃないかー。こう言うところこそサクラ大戦の真似すれば良い物ができあがるのは目に見えてるんだから堂々とやればいいってのに!かれこれ10年待ってるけど「夢のつづき」のつづきはまだなのかーと言うか夢のつづきをカバーしてくれーと言うのは流石に脳が貧困。

そしてアイマス続編と言うか何だか危ないファンディスクが、

TaQタク / AcidHouse, Drum'n'Bass, Minimal

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bounce connected [2003/ONGQ-00001〜2/2CD/#19][TaQ ...official site]

beatmaniaの楽曲でお馴染みのTaQ氏による、セルフプロデュース2枚組みオリジナルアルバム。アルバムコンセプトが携帯bounce(bounceはTaQ氏のライブイベント名)との事なので、2枚とも全編ノンストップのライブミックスになってます。3000円は割高な感じがしたけど、聴いてみたら値段相応のボリューム。

んで曲。俺はbeatmaniaが「好きだけど下手」な人でゲーセンでは人が鍵盤叩いてるのを眺める事を専門としてるので、TaQ氏の曲をちゃんと聴く(MADでよく使われてたので曲は知っている)のはこれが初めてかなぁと思いながら再生。俺が知ってる曲から思えば、もっとキャッチーでカチャカチャ鳴る電子音を連発する人だと思ってたんだけど、いざ聴いてみたらもうミニマル一歩手前のドカンドカンっぷりで大興奮。初代ビーマニの4thでプレイしまくった「paranoia」のリミックスも容赦なくドカンドカン鳴ってて予想外に、良い。

裏を返せばオリジナルのままの収録を期待してた人はションボリするかも知れんと言うか、テクノアーティストのライブ音源を好きになれない(なんだこれ同じ音のリフレインばっかじゃねーかつまんねー、な)人が買ったら拒否反応起こしそうな程ライブ音源っぽいです。それも小手先だけの「手拍子」「歓声」があるだけじゃなく、ライブアクトをそのまんま収録したんじゃないかと思うぐらいの曲構成とミックスっぷり。それがむしろ電子音マニアにはたまらんのだけど、普通のビーマニ好きの人には勧められないやも知れず。

ビーマニヲタよりもテクノヲタに聴いて貰いたい一枚。一般CDショップでは扱ってないので注意。


天誅テンチュウ / TechnoPop

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小林 [2000/UNK-072/#18][UNK records]

「某ギリギリ一流理工系私立大学(「M1 小林は長男である」より)」で結成された3人組によるヲタポップバンド「天誅」の2ndアルバム。とうの昔に廃盤になっているがC65でCDRで再販されたのでここぞとばかりに購入した。収録曲自体はmuzieで聴く事が出来るが、メディアでの入手は困難。

ヲタポップと言うジャンル名で活動してはいるが多くの曲の歌詞が突いてるラインは微妙なヲタ(開き直れてない、と言うか開き直ると言う思考には至っていないヲタ)なので、「ダメ理系大学生ポップ」の方が幾分か近い感じ(「ハイエンドオタク」なんかも「自虐」ではなく、「辛辣な=事実を元にしたヲタ叩き」だし)なんだけど、ジャンルどうこうに囚われないその無茶苦茶っぷり(こんな歌を新入生の前で歌ったりする)が実に面白いグループだ。

んでこのアルバム、天誅の代表曲と呼ばれる「天誅」や「ハイエンドオタク」などのいわゆる有名どころを収録しているのは勿論の事、余りにもあんまりな歌詞が笑えるマカーを哀れむ歌「りんご大好き」や、どう考えても歌っている時のノリがやばい「ぺ」など聴き所満載。アルバム全体を通して異常にテンションの高い構成になっていて飽きさせない、と言うか休ませてくれないのも良く、ラスト3曲のリミックスは若干余計な気がしないでもないが「M15 小林消滅編」までの流れは素晴らしい。変態名盤。

現在は3rdアルバム「LOVE」のみ販売されているが、残念ながらこの「小林」には及んでいない。因みにヒドゥントラックで1発録りっぽい自己紹介ソングが入っている。あと製品ナンバーの読み方は「ウンコ オナニー」であって、決してUNKレコードから出た72番目のCDと言う意味ではない。

サブカルチャーの神髄 [2005/UNK-004/#13][Amazon][天誅オフィシャル]
「某ギリギリ一流理工系私立大学」で結成された3人組によるヲタポップバンド「天誅」の4thアルバム。3rdアルバムのLOVE以降暫く活動休止してた彼らが03年の立命ライブ以来、やれMMOやらハイエンドオタク・マニアックスやらmixiの歌(※このアルバムには未収)なんかで話題に上がってきており、発売予定から半年遅れたこのアルバムはなんと!一般流通に乗っかると言う偉業をなしとげやがった!ウンコレコーズがAmazonで購入できるこのカオス感、ジャケットにPARENTAL ADVISORYのマーク入れなくて良いのかと!童貞包茎風俗レッツゴー!

何故今更このアルバムなのかというと、買った当時はなんだかイマイチ乗り切れなくてあぁ彼らもだんだんへっぽこになってきてしまって悲しい限りだなぁとか思っていたのだけれど、最近CDの山から発掘して久しぶりに聴いてみたら実に考え抜かれ作りこまれている内容だった事に気付いて最初聴いた時から持ってた感想とのあまりのギャップに愕然としたのです。一度聴いたものでもこう言う発見があるから、やっぱし幅広い音楽を聴き続けて色んな土壌を作っていくのが大事だと気付かされるわけですな。

サブカルチャーとは何ぞやとか深く考える事なく(本人達は考えたのかも知らんが)楽しめるサブカル、の姿を歌ったモノっつうか題材はサブカルなのにあんましサブカルっぽくない辺りがさすが天誅。前作や前々作から飛躍的に魔王源さんのボーカルが上手くなっており、頭狂アンダーグラウンドの頃のように「これぐらいならおれでも歌えるぜー」レベルを脱していて、でもいまだもって漫画家への道を諦めてないらしい(※ジャケ絵書いてるのが魔王源さん)辺りを見るとマルチ展開なフリーターなんだなぁとか思った。いや彼をフリーターと呼んだら叩き殺されるか。それにしても、前作から4年近くもブランクがあった分しっかりパフォーマンスが強まってるのが素晴らしい。M10、ボーナストラックを除けばラストの曲である「アイデンティティ・ウォー」の歌声とか完成されすぎ。

特筆すべきはその歌詞。おれはあんまし音楽に歌詞のすばらしさを求めないっつうか、鑑賞する側からして音楽ってのはメロディの良さが大前提で歌詞なんてものは後からついてくるものだと思っているんだけど、このアルバムはメロディも勿論良いのは置いといて歌詞とか曲のタイトルとか途中で一瞬入るヘンな語りなど、音以外の部分に素晴らしい部分が多すぎる。昔はそれこそサブカル的な、反体制だったり世間とはズレてるんだぜおれ達はみたいな曲が多かったのが、一歩上に進んだ所から「観測」した音楽になってるかんじ。しかも歌詞だけ見れば色々と思うところはあれど実際に曲を聴いてみたらメッセージ性なんてのは微塵もなくて、オタクも廃人も無職童貞も全部ひっくるめて笑い飛ばしてやろうぜみたいな爽やかさすら感じられる始末。ライナーノーツでひろゆき氏も書いてるけど、こう言う音楽を作るために相当サブカル研究したんだろうな。

「ダイベニックインフェルノ」とか「底辺」とか歌ってる以上永遠にメジャーになることはできないけど、ひょっとしたら明日にでもフィーチャリング:ピエール瀧とかでメジャーデビューしてるかも知れない人たちなので期待を持って今後の活動を追っかけていきたい。

Third Eye Blindサード・アイ・ブラインド / AlternativeRock

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Third Eye Blind [1997/AMCY2163/#15][HMV]

アメリカ人4人によるVo・G・B・Drと言う典型的な構成のオルタナティブロックバンド。これは1stオリジナルアルバムなんだけども、キャッチーなメロディと結構アレな歌詞により1stにして97年のビルボード年間ランキング35位だったり、日本でもフジロックに呼ばれたりと無茶苦茶流行った(リアルタイムでは全然知らないけど)。

ロックに関して俺は薀蓄垂れるだけの知識が無いから書きにくいんだけども、人の言葉を借りるならばこのバンドは「スルメバンド」つまり聴けば聴くほどどんどん味が出るアーティストなんだと思う。中にはM3 Semi Charmed Lifeを聴いてこのバンドに触れ、そしてそれだけ聴いて後は放置と言う勿体無い事をする人がいるようだが、このバンドの真に味わうべき魅力はM3やM10のようなポップでキャッチーな曲にではなく(いやM3もM10も好きなんだけど)、濃厚なメロディと破滅的な歌詞が涙を誘うM12 The Backgroundのような語り曲にある。

パワーがあってかつ軽快なメロディからは暗さが全く感じられないので英語が不得意な日本人は騙されがちだが、このバンドの曲は大半が痴話喧嘩か失恋した少年かヤク決めちゃってる青年の歌なんで、対訳なり原詩なりを読んでみるとそのギャップに驚く事請け合い。あと、ライブのダメさ加減を見たらCDとのギャップに驚く事も請け合い。