そこいらのネットで幾らでも転がってるんだしボーカロイドなんて所詮不完全さを楽しむものじゃねーかーとか言う天邪鬼根性で初音ミクのCDは買わない事を心に決めていたおれなのですが、mosaic.wavの「電気の恋人」が収録されると聞いて飛んできました!収録曲の情報見た瞬間に予約してたので発売日がいつかとか知らんかったのでいきなりAmazonから発送メール来たのでびっくりした。それなりに気合の入ってるオーディオ環境で電気消してじっくり鑑賞。結論から言えば全人類が買うべき。
前述のように「電気の恋人」が好きとは言うものの、実はmosaic.wavって全然知らないのよね。CDも持ってない。何年か前、この辺りのアーティストに詳しいYくんと話してて、そこで初めてmosaic.wavのボーカルは桃井はるこじゃない事を知ったとかそんなことがあったぐらい。あと知ってる曲はなんたら虎の巻ってのと貧乳のうたの三つぐらい。ただどれにも共通してるのは、メロディが好きなんだよ。電気〜は歌詞も好きだけど、やっぱりメロディが好き。
これを聴いてると音楽ってメロディが大半を占めるよなと強く思う。初音ミクのボーカロイドボイスにも随分慣れてきたし、それなりに魅力ある声質だと思えるようになってきたし、歌わせる技術も物凄い進歩してきてると思うものの、やっぱりイロモノの色眼鏡なしには評価しにくいモノだと思う。そんな声にちゃんとした色が付くかどうかって、それはもうメロディの力しかなくて、その点このCDの音楽たちは凄く気持ち良く「初音音楽」にできてるよ。元々ミクとか関係なしに作られた曲もミク向けアレンジが成功してて、この箱庭サイバー感ってのをアキバポップ(←定義不明)だとは決して思わんもけど、初音ミクポップだって言われたらあーそうかなって感じてしまう素晴らしさ。初音ミクのための音楽。造形可愛いからキャラクター商売もいいんだけど、やっぱり初音ミクは歌ってナンボやでホンマ。
ぼんやりした話はそれぐらいにして。
M1「みんなみくみくにしてあげる」は例のやつ。原曲shortバージョンはあんまし好きでなかったんだけどlongで大化け。J219とかバカにしてごめんよ。み〜こ氏とのツインボーカルも不思議なぐらい自然。テンション下げどころが分からないから聴き疲れするものの、それこそ初音ミクムーブメントと言うかインターネッターの「勢い至上主義」を表してるようで何となく理解できる。
M2「***にできたかな」はcapsuleって言うかヤスタカって言うかそのへんに、加工して機械っぽくした音声で人間味を無理やり載せまくったかんじ。初音ミク(本体)よりGLaDOSより更に回りくどい人間味の表現。
M3「電気の恋人」70〜75年生まれぐらいの職業プログラマ向けと言う超ニッチな曲。84年生まれのおれはBASIC世代ちゃうけど、5.25インチFDとかMSXとかそういう物は見てた(テープはさすがにない)世代で、こう言うおっさん狙いの曲ってのは琴線に触れてしまって困る。底抜けに前向きでやたら元気なアレンジも素晴らしい!2400円払った価値がある。6年ぐらい前から言われてるけど、これもうコンピューターおばあちゃんと一緒に教科書に載せようぜ。
M4「server error」急にジャングルでびびる。それにしても、activateって聞くと頭にMATLABがちらついて仕方が無い。関係ないか。
M5「キミは何テラバイト?」ここでまさかのアカペラ。そうだよ、ボーカロイドは楽器なんだよ。これがある意味で一番正しいボーカロイドの使い方・・・いやミクに限らず人のボーカルであっても声は楽器だな。アカペラなだけに物凄い丁寧に声を作ってあって、語りかけるようなミクの声に胸が締め付けられる。なんだよこれずるい。
M6「HATSUNEtive」アニソン(わりとどうでもいい)。
M7「Mimic me」最初何言ってるか全然分からんかった。電気グルーヴの「ノイノイノイ」みたいに意図的にやってるのかと思ったけど歌詞カード読んだらちゃんと日本語でフイタ。メロディ秀逸なのでいっそ歌詞の意味無しでも良かったんじゃないのか(母音を全部揃えるために無意味になってる部分あるけど)。これでラストですよー!ってかんじで終わってくれるので、実に清清しくもっかい再生ボタンを押してしまう。
それにしても、いやぁやっぱりこう言うCDってナメてかかって、そんで試しに聴いてみて想像とのギャップに物凄い衝撃を受けるのが楽しいよなぁ。37分とちょい短めなんだけどそれぞれの曲が濃いのであんまし気にならない。カラーがはっきり分けられてるからなせるわざか。最後の曲だけ笑っちゃうぐらい聞き取れなかったのを除いて、あとは概ね歌詞カード見なくても何言ってるか分かったのが意外?だ。もちろん半分ぐらいは人間であるところのみ〜こ氏が歌ってるんだから当たり前かも知らんのだけど、この辺は歌詞の日本語の選び方(つながりが自然な単語を選ぶとかそういうの)に気をつけたのかしら。
あと、電気〜の歌詞である「何それ読めない」って、あれお互いに言ってるんだよな。そのことに気づいた時なんか幸せな気持ちになりました。
恐る恐るスイッチ入れたら 無愛想な“OK”の2文字
「konnnichiwa」って入力しても “Syntax Error”
「何それ? 読めない・・・」
『ナニソレ? ヨメナイ・・・』
BASICの時代からヒトはパピコンと会話してたんだよ。