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cd review "G"

Good Charlotteグッド・シャーロット / PunkRock

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The Young and The Hopeless [2002/EK86486/#14][HMV]

基本的におれはメロコアが好きなんだけど、このジャンルは物凄くハズレが多いからあまり自分から新しいアーティストを探したりしない。けどそれだとこいつらみたいな素敵バンドを見逃してしまう事もある訳で、わざわざ「こんなバンドいるでよ」と教えてくれた洋楽アンテナが高い兄に感謝。

で、曲はと言えばM3 Lifestyle Of The Rich & Famousのように凄くポップなものもあれば、M8 Hold Onのようにメロディアス過ぎて泣けるような曲まで多様でポップスと言われても頷けてしまうんだけど、決してパンクらしさと言うかメロコアの心を失ってないのが一貫してて良い。あとパンクバンドにしては珍しくヴォーカルの声質がよくて(それもポップスに思える理由の一つかも)、普通ならがなりとかかすれ声になりそうな所も綺麗に歌えていて印象としてはzebraheadみたいなかんじか。ツボった曲を挙げれば「ほぼ全部!」とかよくあるオビの煽り文みたいな事になってしまうんだけど明るめパンクが好きなんだからしょうがない。

このアルバムは楽曲が「出だしアップテンポ(M3)→中-後半にかけてメロディアス(M8・M10・M13)→ラストで一気に盛り上げて終わり(M14-歌詞が素晴らしい!)」と言う、メロコアの教本なるものがあればそこに載ってそうな王道構成なのも好感度が高いく、これが完成形だとまでは言わないけど非常に高いレベルで形作られたアルバムであると思う。収録時間が46分とやや短いのはCD-EXTRAでメンバーインタビューとM3のMVが収録されてるからなんだけど、折角みみざわりが良い長時間聴いても苦にならないバンドなだけにこれは選択ミスかなー。

ぐちょんグチョン / Electronica

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みんなのうた [2006/mw-007/#16][merry works][鯖缶レコード]
「サンプリング狂いの、サンプリング狂いによる、サンプリング狂いのためのネットレーベル」こと鯖缶レコードの主催(たぶん)であるぐちょん氏による1stオリジナルアルバム(たぶん)。存在すら知らなかったんだけどMusicForestさんのところで同レーベル内の別の人が紹介されていたとき、ふとぐちょん氏の曲を聴いてみたら見事なまでに自分のオタ遍歴と合致するサンプリングチョイスだったことに深く感銘を受け、しかも紹介されてた人よりも256倍ぐらい自分の趣味にあう音楽だったのでこれはCDを買ったら幸せになれるなぁと思いきやホントにCDが出たので購入。入手手段が銀行振り込みの通販限定なのが面倒といえば面倒だけど、送料コミの1200円でこの超ボリュームだったらプラマイでプラス2億点ぐらいだから全然大丈夫!

ネットで公開されてる楽曲はどれも分かりやすいサンプリングっつうかメロディからしっかり転用してるんだけど、CD化にあたって新たに作られた楽曲では結構その辺に気をつけた、かどうかは知らないけどこのアルバムではワンフレーズ利用だとかコマ切れ利用が多くて元ネタの特定がむずかしくなってる。んだけど、ネット公開曲を聴いたおれがぐちょん氏を評価する一因になってると思ってたその「ネタチョイスの妙」を感じ取れなくても全く遜色ないどころか、ネット公開曲群より密度も味も気狂い感も充実しているように感じられるすばらしさよ。VGMっぽさを醸し出しつつ(サンプリング元がVGMだったりするから当たり前か)も通常のゲーム曲では絶対にありえないエレクトロニカ特有の不規則さの連続で聴き手を飽きさせない氏の音楽そのものが好きなんだろう。

M3とかM7のようにメロディから音ネタの使い方まで一貫して格好良い曲もあれば、M6やM8のようにふざけたサンプリングで思いっきり笑わせつつちゃんと曲とし成立してるあたりも油断できない。またM13からM15までの3曲はM5「ザリガニウォーズ」のリミクスなんだけど、外人ミキサーみたいな重厚さでたたみかけるOven Toast Jam remixや丼氏によるchiptuneミックス、最後はdubstep色の強いSylvanianFamilies氏のリミクスで3人とも方向がバラバラでおもしろい。アルバムの最後を飾るのはなにをどう間違えてしまったのか童謡「赤とんぼ」。ここまで全然違ったくせにここだけホントに「みんなのうた」なこととか、一音一音違う音色で奏でられながらもしっかり郷愁を誘う赤とんぼに相違ない不思議さとか、ラストにこの曲を持ってくることで下校の時間なんだなーと思わせる上手さみたいなのもありつつ、非常に綺麗にまとまってる印象。たいへんすばらしい一枚。