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cd review "C"

Cexセックス / IDM

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Role Model [2000/meow004/#15][Amazon]

メジャーどころではAFXやμ-sicなんかがやってる音楽、IDM(Intelligent Dance Music)のフォロワーとして出発したcexのデビューアルバム。最近はHiphopに目覚めて音楽の方向性が随分様変わりしてしまったとかどうとか。

IDMはその複雑怪奇で変則かつ大量の電波放出っぷりに聴いてるとアテられる事がしばしばあるが、この人の音楽は聴いてて純粋に「楽しい」。音のパワーよりもメロディを大事にしてる人と言うか完全にIDMに没頭してしまう事無くエレクトロニカの道を模索してるような印象で、確かに変化が薄い気がしないでもないけどアク(電波)が無くて聴きやすい音楽だなぁと。まさしく尊敬するアーティストはリチャですと言わんばかりのM1 at least I can say i triedやヴォーカルが格好良過ぎるM7 academy award(cex's radio edit)、あと若干オウテカっぽいM13 riyan kidwell's funeralなんかは実にキャッチーで、面白い。

全体を通して不思議世界を構築出来ているがやはり"コーンウォールのヒトビト"に比べると力不足と言うか構築されたその世界が小ぢんまりとしてしまっている感はある。いや完成度は実に高くてその事は凄く評価できるんだけども、決定打になるような何か「cexらしさ(つまり「アクとクセ」)」と言うモノが感じられないのが惜しい所かなぁ。とか思ってたらこれ作った当時は19歳だってさ。19でこれだけ出来りゃ十分か・・・

入手が面倒だけど音の使い方が面白く、そんなにバキバキいってないのでIDM・エレクトロニカ初心者にもオススメ。


Chemical Brothersケミカル・ブラザーズ / BigBeat, DigiRock

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EXIT PLANET DUST [1995/6157/#11][HMV]

いままでこれだけケミブラマンセーしときながら、実際ちゃんと聴いたのは「Surrender」と「COME WITH US」ぐらいなものだったので、ベスト盤も出た事だしぼちぼち聴いておこうと借りてみた。うーん、やっぱり環境音楽っぽい今とは違ってビッグビート感満点なサウンドだなぁ。ビィービィー唸るこのグルーヴが素敵すぎ。

俺にとってとても良いアルバムである事に間違いは無いんだけども、正直ケミブラの音楽にしては安直(そりゃ勿論古いアルバムなんだから当たり前なんだけど)な音に聴こえるかなぁと。M5 Fuck Up Beatみたいな変則曲があるのは確かに新鮮に聴こえるけど、あらかたが「BBの原型」のような曲ばかりでM8 One Too Many Morningsのような「現在のケミブラ音楽」に慣れ親しんだ人には少々お腹一杯なアルバム。

良くも悪くも彼らのオリジンを探るアルバムだと思うんだけど、M11 Alive Aloneだけは別。今でも通じる名曲。

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dig your own hole [1997/42950/#11][HMV]

言わずと知れたイギリス出身の2人組みテクノグループの2nd。この辺を読んでくれる人には説明するまでもないだろうからグループ紹介は割愛。

荒削りながらも斬新なサウンドを聴かせてくれた1stのExit Planet Dustと、完全なケミカルの音を作り上げた3rdのSurrenderを結ぶ中間点のアルバムという事で期待して聴いてみたら若干肩透かしを食らったと言うか、予想に反して1stと3rdを結ぶラインの上に乗ってなかったのに驚いた。1st寄りでしかし1stより確実にハッキリした音を出しているのに、あの3rdの無重力感に結びつくような「もう一伸び」がまだ感じられない。単発で好きな曲はいくつもあるけど、BigBeatの傑作だなぁぐらいの感想。

確かにM4 Pikeとかで使ってる音はそのまま3rd以降にも持ち込まれた感じはあるし、M10 Where do I beginなんかは1stのAlive Alone・3rdのDream On・4thのStar Guiterへと連綿と続く「心地よいケミカル」なんだけど、どうにも全体の印象としてはイマイチ感動が薄かったかんじだ。いや、クオリティうんぬんではなくて俺の期待してた所に飛んで来なかったと言うのが正しいのか。不思議ゾーンにきてほしかったのにヴィーヴィー節だった、みたいな。

とは言っても、なんだかんだでお気に入りの1枚になりそうだ。グルーヴの面ではケミカルのアルバム中で1番な気がするし。

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Singles 93-03(US盤) [2003/92714/2CD/#24][HMV]

日本盤はCCCDだから何があっても買うまいと心に決めて、まともなCDであるUS盤を先輩から借りて聴いたんだけどDisc1を聴いただけで「これは持っとかなきゃいけないCDだ!」と天啓があったので購入。アルバムとしてのまとまりは無いけど彼等の楽曲が凝縮されてるCDと言うだけで買う価値は十分。と言うか買ってなかった理由がCCCDだけだった訳だし。

Disc1は過去に発表された楽曲の中から有名曲・シングルカットされた曲を選んだ真っ当な「ベスト盤」。Song To The Sirenから始まって概ね発表順に13曲、選曲は有名どころばかりを押さえてあるのでアルバム三枚しか聴いた事がないにわかファンには有難い限り。欲を言えば日本盤だけでなくUS盤にもMusic:Responseを入れてほしかったなぁ。

Disc2はリミックスやライブ音源等、未発表だったものを中心に収録したボーナスディスク。どちらかと言うとバカスカいってる曲がメインなんで、Disc1がケミカルの歴史勉強だとするとDisc2は「勉強終わったしさぁ騒ごうぜ」なイメージ。なんとなく808っぽいM4 Otter Rockだとか会場にいたら絶対耳鳴りしそうなM9 Elektrobank(Live)は必聴。

値段効率も良く、おなか一杯になれる一枚です。

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Singles 93-03 [2003/TOBW3126/#26][HMV]

こないだ同じCDの感想が書いてあった気がする人はもの覚えが普通の人です。えー、以前書いたのはこれと同名のケミブラベスト盤のCD版で、こっちはほぼ同時にリリースされたDVD版です。今までにリリースされたケミブラのPVは全て収録されている上にライブアクトまで収録されていて149分収録と言う本当に内容満点なDVDなのにアルバムに毛が生えた程度の値段なんで値段効率が無茶苦茶良い1枚。ベストが売られてるのを見てケミブラに興味あるけど「CCCDも通販も嫌だ!」という人はコレを買って下さい。

で、中身。すげぇです。いやどのPVもストリーミングとかなんとかで見た事はあるんだけど、改めて高画質高音質で見るとやっぱりセンスの有る無しってのはこのぐらいの事を言うんだろうなぁとか呆けてしまう素晴らしさ。「いい加減star guiterは食傷気味」とか言われるだろうけど、見飽きた物であったはずのそれすらDVDで見たらこうも変わるのかー、とか新しい発見はどこかしらあると思われ。特に俺がwebで見たときと比べて一番イメージが変わったのはThe Testで、音楽のイメージがとか不思議映像具合がとかじゃなくてもう映像そのものの美しさが凄まじい。

映像を作ってるのはアーティスト本人じゃなくて専門の人(PV毎にディレクターが違う)なんだけど、この素晴らしきPV群を見てると何も分からん素人ながら、やっぱり動画ってのは画面の見栄えを作る技術よりも映像としての構成力が大事なんだなぁとか、技術なんてものは新しい技術が生まれる度に歴史の中で劣化してしまうものだけど映像構成の素晴らしさってのはそう簡単には劣化しないもんじゃないかなぁ、とか思うわけですよ。そんでふと、「きっと俺はLet Forevor BeのPVを死ぬまで楽しく見ていられるんだろう」とか思って素敵な気分にひたってみたり。

ライブアクトの方はフジロック'02を中心に6曲。曲とVJがステキすぎるのはまぁ想像の範囲内なんだけど、それより何より会場の照明効果が凄すぎる!M2 HoopsにしてもM4 Star Guiterにしてもピカピカキラキラだけじゃなくて、なんつーかフュージョン色って言うのかな、ぼやーっとした光を使いまくってて一言で言えば「幻想的」と言うアレな単語しか出てこないんだけど本当に幻想的。すごい。

今までケミブラを知らなかった人は幸せですよ。最初からこんなDVDに出会えるんだから!(クサい)

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Get Yourself High [2003/VJCP12175/#5][HMV]

「Singles 93-03」に収録された新曲2曲の内の一つ(2曲ともシングルカットされていて、もう片方は「Golden Path」)。「Golden Path」の方はCCCDだったので買う価値は皆無だったが、こちらはCD-Extraなのでコピーコントロールは無い(CD-Extraは仕様上CCCDにできない)上にPVまで収録されているので非常にお得感が高い。

曲はK-OSと言うラッパー(カナダの新人だとか)をフィーチャーした物で、「Golden Path」でのflaming lipsとのコラボレートが秀逸過ぎた事を思うとイマイチ力不足と言うか音楽負けしている感は否めないものの、その曲自体は「ラップをやってみましたけどどうでしょう、と言うケミカル臭さ」が出ていて良いのであんまし気にならない。M2 Electronic Battle Weapon 6(Come With Usに収録されていた「hoops」のリミクス?)以外は全てGet Yourself Highのミックスなんだけど、M5のswitches rely on rub mix以外は面白いミックスではないのでダレる感じ。

特筆すべきはCD-Extraに収録されているPV。今回はJoseph Kahnと言う監督(「Without Me/Eminem」とか「On A Day Like Today/Bryan Adams」とか撮った人)が撮ったらしいんだけども、昔の中国映画を買い上げて適当に切り貼りしてCGでウソ口パクとラジカセとか合成して出来上がりましたーな感じのワケの分からないPVに仕上がっていて、ワケの分からない物語なんだけどウソ口パクとかの技術が無駄に高くて面白い。公式サイトでの視聴も出来るけど画質はイマイチなんで、興味がある人はいっそCDを買ってみてはどーでしょうか。

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Push The Button(US盤) [2005/63282/#11][Amazon]
Come With Usから3年、ベスト盤やらシングルをはさみつつ(結局Golden PathとGet yourself Highはベストに収録されただけでこっちには入っておらず)ようやく届けられた5枚目のオリジナルアルバム。04年の末ぐらいに新アルバムでるよーと言う話を聞いて以来全然情報が入ってこなくてすっかり忘れてたんだけど、ふとみたAmazonのおすすめページですでに国内盤が発売されていた事を知り、商品紹介ページをみるとCCCD表記がない!ついに東芝EMIもこころを入れ替えてくれたかと安心して注文したんだけど、日本盤を買った人のレビューとか見てたらどうやら普通にCCCD製品だったみたいで、届いたらCDじゃないことを確認してから送り返してUS盤を注文しましたとさ。

すでに色んな所で言われてるしベスト盤に向けて発売された先行シングル二枚からもそれがひしひしと感じられたんだけど、M1のGalvanizeとか聴いてもらったら分かるとおりこの人たちはどんどんヒップホップの方に向かってて、前情報としてもそうだし試聴してもあんなんだし一体どんなアルバムになってるのかビクビクしてたんだけど、聴いてみたらなんのことはなくちゃんとキラキラしてるし実にケミカルらしい音と声の使い方でsurrender→come with→の流れからちゃんと理解できるアルバムだったので安心した。まぁこれはおれの想像の範疇で落ち着いちゃってるということでもあって、アーティストだったら凡人の想像の域なんかぶっちぎんなきゃいけないんじゃないかーみたいな部分もあるんだけど、楽しめたのでいい。

一通り聴いてみたら、ラッパー使ったり声ネタでヒップホップ色を前面に押し出してる曲はM1以外にも確かにあるんだけどそれも「Push the Button」と言うアルバムのなかにうまい事溶け込んでて、一曲だけ取り出したらうげーなんだこの「ァオー、ァオー」は!とか思うのもあるんだけど最後まで聴いたらなんだそう言うことだったのかーとか、ともかく調和がとれてるイメージ。それよりもM4とかM8みたいなケミカルのアルバムには必ず1曲は含まれている「心地よいケミカル」が今までの例に漏れずちゃんと含まれてて、特にM8なんか最大音量で聴きたくなるぐらい良い曲だったのがヒィーハァー!この心を揺さぶるリフレインはラストに持ってきてくれても良いぐらいの盛り上がりなんだけど、そこはちゃんとラストのM11がGolden Pathみたいにすがすがしい曲で、締めがストンと終わってるのは意外だったけどああやっぱりケミカルは良いなぁーと思えるアルバムに仕上がっとるわけですよ。

今までのケミカルのアルバムのどれとも違う雰囲気なので、ケミカルのファンだったんだけど先行シングルであるところのGalvanizeだけを聴いて敬遠してたひとは1500円なんだしとりあえず買ってみて、当たりだったらハッピー・もしダメだったら売っぱらうぐらいの事をしたら良いと思います。本人達はあれがもっともキャッチーだと思って出してるんだろうけど、やっぱりあれをケミカルの新アルバムです!っつって前面に押し出すのはなんか違う気がすると言うか、実際アルバム中でそんなにヒップホップしてないんだからなーとか。余計なお世話か。

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We Are The Night(US盤) / The Chemical Brothers [2007/ASW94158/#12][Amazon]
前作「Push the Button」から早2年、みんなが忘れかける丁度良いころに新アルバムを出すケミカル兄弟の6枚目のアルバム。国内では先月末ぐらいに発売されてるんだけど東芝EMIには良い思い出が無いので無難にUS盤にしといた。特にシングルカットされた曲の話なんかを聞いてなかったのであんましあれなのかなと思ってた(※一応「Do it again」がシングルカットされてはいる)んだけど冷え込んでるデジロック市場から考えればこの話題性の薄さはさもありなんと言ったところか。

前作「Push the Button」では前々作「Come with us」から考えるとちょっと毛色の違うビッグビート新境地というか、積極的に「歌」を取り入れていたその路線を基本的には引きずりつつ、なんか妙に遊び要素が盛りだくさんの内容に仕上がっている。イントロからライブアクトをそのまま収録したかのようなごちゃごちゃした音でスタートすると、続く「All rights reversed」では一転して妙に重苦しい歌モノ(※KLAXONSをフィーチャーしてるそうな)。シングルカットされた「Do It Again」も同じく歌モノなんだけどその他のインスト楽曲が素晴らしすぎるので霞んでしまっているかんじか。流れの中でもちょっと浮いてる気がするし。

色んなレビューでも言われてるけど特筆すべき点(?)はやはりM7「The Salmon Dance」だろう。もちろん中島みゆきではない。ファーサイドのfatlip、と言ってもおれも説明できるほどよく知らないので、spike jones氏が製作した「what's up fatlip」のひとと書けば分かるひとも居るだろうか、あのおっさんが幼児向け科学番組よろしく自己紹介と相棒の紹介から始まってシャケの一生(あとシャケの種類とかも紹介してる?)をモチーフに延々と歌ってくれる。メロディも妙にコミカルと言うか明らかにお遊びで作ったとしか思えないこの軽さがたまらない。

ふざけた後は数曲しっかりと重厚なビッグビート路線(しれっと書いてるけど、「Burst Generator」は10年前のケミカルを彷彿とさせる重低音炸裂の正統派ビッグビート、「Battle Scars」は内容もあいまってまた更に毛色が違う)に戻した後、ケミカルのアルバムにおいては例によって例の如くの壮大な締め曲であるところの「The Pills Won't Help You Now」に突入。ケミカルはこの浮遊感っつーかWindowsスクリーンセーバー「宇宙飛行」を見てるかのようなフワフワした曲を作らせると余りにステキすぎるから困る。こう言う曲ばっかだったらそれはそれでヒーリングミュージックみたいになっちゃうんだろうけど、大枠はビッグビートの中でこれだから毎度のことながら上手くやってるなぁと思う。

割とオススメ。

Clifford Gilbertoクリフォード・ギルバート / Drum'n'Bass

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I was young and I needed the money! [2001/ZENCD37/#14][HMV]

coldcutが主催するNinja Tuneレーベル所属アーティストの「Clifford Gilberto Rhythm Combination」による1stオリジナルアルバム。全く知らなかったんだけど、以前Aphexスレに上がってたドリルン系ばかりの70分ミックスに「この曲聴いた事無かったけど良いなぁ」と思ったパートが7箇所あって、内5曲がこの人(他2曲はjaga jazzistとaCidの曲)だったので購入。

あー、すごいジャズ。ある程度「寄って」はいるけど、これはもうエレクトロニカじゃない。なんだろう、スピードジャズなんてジャンルがあったらまさしくそれなんだろうけど、電子音を使いながらもあくまでベースがメイン(M9とかM12とか、ちょっとエレクトロニカ意識しすぎな曲があったりもするけどそれはそれでまた良い)で、「ドリルンの変則さ」を持ちながらも基礎に「ジャズの変則さ」をちゃんと持ってる感じで凄く新鮮だし、Ninja Tuneらしい生音コラージュの使い方も実に気持ち良い。M14 ridicuioは歴史に残るサヨナラっぷり。

全体通して聴いても全くアルバムの印象が崩れない素晴らしい完成度のアルバムなんだけど、ジャケに「14 junk classics」とか書いてる辺りがほほえましい。「拙作」だなんて、ヒゲ面なのにシャイな人だなぁ。


Coldcutコールドカット / Electronica

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Let Us Play! [1997/ZENCD30/CD+DATA CD/#12][Amazon]
生音エレクトロニカレーベル「Ninja Tune」の設立者であり、やたら日本びいきしてる割に結構間違った日本文化を習得してるイギリス人2人組みユニット「ColdCut」の97年発売アルバム。流石はNinja Tuneの創設者なだけあってサンプリングした生音の使い方が非常に上手い。違和感が無いと言うかまるではじめからそうであるかのような電子音との親和っぷりがステキ。

基本的に根底にあるのはエレクトロニカなんだけどもやたらと芸風が広くて、M3でHipHopまがいのエレクトロニカをやったかと思えばM4ではドラムンベースだったり、M6でアンビエントをやったかと思えば、M8はソニック3の空ステージを彷彿とさせるポップなハウス。そしてM9はコラージュをふんだんに織り込んで作ったテクノの大傑作Timber!。このへんすごくゲーム「Rez」のラスボス曲と親和性があって、もちろん作ってるの同じ人なんだけどあれをイメージして聴くとすごくなじむと言うか理解できる。まぁラストのM12だけが喘ぎ声満載で頂けないと言うか最後の最後でこれかよーみたいな、「セックスは悪い事じゃないよ!」は分かるんだけど聴きにくい事に変わりは無いし。んあー

Disc2のオーディオトラックには「atomic moog 2000」の別リミックス、データトラックにはMVが6曲(アルバム未収録の曲もあり)入ってて画質はアレだけど「Timber」のMVも収録。Coldcutは「映像ありきのエレクトロニカ」を確立させたアーティスト(VJソフトも作ったらしい)なだけあってMVはサイケな生映像サンプリングをふんだんに取り入れており、一群の映像を見てると一曲一曲のイメージの広げ方がかなり独特で面白い。あと英語だしまともに動かないからワケが分からない謎のゲームとか、写真のデータ集?が入ってた。

Coldplayコールドプレイ / AlternativeRock

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A Rush of Blood to the Head [2002/40504/#11][Amazon]
1st「Parachutes」がバカ売れして2001年のグラミー賞にもノミネートされるぐらいになってしまったUK出身の4人組オルタナティブロックバンドの2ndアルバム。いままで全然このバンドのことを知らなくて「Coldcutと間違えやすいひとたち」ぐらいの認識だったんだけど、Radioheadを知りそろそろUKオルタナを聴く耳ができはじめたのでそれじゃあ有名どこだしと試しに聴いてみたらものすごく良かったので興奮した勢いで購入。

アルバムを通して聴いてみたら音を凄く大事にしてるイメージで、いい加減な部分がみられないと言うかこれはこれで偏重のきらいがあるんじゃないかと思うけど、凄く慎重に作ってあるから一曲一曲の細かい所にすごく耳が行くので、ロックなんだけどできれば高解像度環境で聴いて欲しい。他のオルタナ系のバンドから比べると随分音自体が軽い印象も受けるんだけど、ヴォーカルの繊細さも相まってトータルマネジメントされてる(調和がすごい)かんじで、むしろここに重圧な楽器が一つでもまざれば悪い方向で全然違う印象になってたんじゃないかとおもう。そのへんのバランスも含めてすごくよく練られてる。

「High and Dry/Radiohead」とのマッシュアップで初めて聴いたM4とか、シングルカットもされたM5や表題曲のM10なんかは神懸り的なメロディに意味軽めの歌詞(でも意味不明ではない)で、これだけ素晴らしい曲はなかなか100%楽しめる状況ってのが思いつかないのが悔しいんだけど、1日中かけっぱなしにしても1時間しっかり聴いても良いアルバムです。ちなみに今の所、台所で作業してるときに流すのが一番しっくりきてるかんじ。

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X&Y(US盤) [2005/74786/#13][Amazon]
1stと2ndが売れまくってグラミー賞も取ったしそれなりの地位を築いたかなーと言うところでコレが発売されるやいなや、本国であるところの全英で一位は勿論全米チャートでも一位に輝いて、radioheadがHail to〜で失速したのを尻目?になんか破竹の快進撃を続けてる陰鬱集団ことcoldplayの3rdアルバムでございます。いや2nd1000万枚売れてるから全然いきなりの人たちじゃないんだけども。国内で流通してる東芝EMI盤はあろうことかまだCCCD規格でリリースしてるので、ボーナストラックが割かし良いと言う評判だったり日本盤に比べて発売日が1週間近く遅かったんだけどここはUS盤を。前回のケミブラで学習したからな!学習してこそ人間だぜ。

んーーーーーもーーーーーなんてこう、おれの微妙なところを突いてくるアーティストなのかと!いや素晴らしい、素晴らしいんだけど、実にむずかしい。父親を亡くした友人に贈った歌であるM4みたいな直球もあるし、表題曲でありながらレディへばりの電波歌詞を並べるM6のような変化球もあるし、シークレットトラックであるM13の美しさは異常だし、こりゃなかなか一筋縄ではいかんでしかし。1stはともかく2ndなんかはポストレディへと揶揄されるぐらいには陰鬱路線まっしぐらだったんだけど、今回陰鬱から多少は静かなロックにシフトしてってるイメージ(1st寄り?)か。んーでもそれもなんか違う気がするんだよな、別に大きく変わってるワケじゃないし実際そんなに変化を肌では感じないんだけど、響いてくるものが今までと違うみたいな、一言で言えば味とか印象の部分で、なんつーか唐揚げは唐揚げで変わってないんだけど中の鶏肉が変わりましたみたいなかんじ。分かりにくい例示は悪だと気付きながらやめられないこの歯がゆさよ。

前作であるところの「静寂の世界」は、いまだに炊事中に垂れ流す以上にマッチした聴き方を見つけられていないんだけど、今作は大好きな曲の内容が重かったりするので「ながらリスニング」には向いてないかも。しっかりスピーカの前に腰を据えて目を閉じて音を聴くイメージ、となると今度は静かなロックと言うより一音一音を大事にするクラシック寄りに捉えてるのかと言う考え方も出てきてー・・・。そんな感じで、この人たちのアルバムは毎回スルメスルメと言われるんだけど今回のスルメ度は従来の2倍ぐらいありそう。

ところでこのジャケット、謎の記号が描かれててなんのこっちゃと思ったり、アルバムタイトルがX&Yってなんの事かいなと疑問に思ってしまうんだけど、ジャケ絵はボーコードで書かれた「X&Y」で、そのX&Yってのはつまり「方程式の回答ってXとかYでしょ→XとかYってのは問題に対する解答」とかそんなことらしい。数学系のひとが聞いたら倒れそうなコメントだけど本人が言ってるらしいんだから仕方ないとして置いといて、収録曲のSpeed of Soundの歌詞がタイトルの意図するところともリンクしていて面白かった。日本公式ページで戸田女史による対訳つきのMVが見られるので興味のある人はどうぞ。ちなみにこのMVを作ってる監督はMarkRomanekでおれの大好きなPerfectDrug / nine inch nailsやHurt / Johnny Cash(NINのカヴァー)なんかのMVを作った人なんだけど、今度のDirectorsLabelでDVDがリリースされる4人のうちの一人でもあるので覚えとくと得するかも。

Concord Dawnコンコード・ドーン / Drum'n'Bass, TranceStep

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Uprising [2003/IR5204CD/#11][HMV]

Amazonで2ヵ月待たされたアレ。日本での知名度が大変低いので(俺もこのCDまで全く知らなかった)CDはおろかアーティストについての記述まで極端に少なくて情報集めるのが大変なんだけど、発見した数少ない情報によればニュージーランドのDJ2人組みによるユニットらしい。なるほど、どうりで公式のドメインが.nzだったり「Made in Australia」のステッカーが貼ってあるワケだ。

音楽は全編通してトリックステップっぽいドラムンベース(トランスステップと言うらしい)。まぁなんと言ってもM1 Morning Lightがとても印象的。なんせこのCDを探したきっかけが「ぷりーずどーんくらーい」の印象的なメロディが頭の中でリフレインしまくったからだったんだし、この曲だけ目当てで買ったと言っても間違いではないんだけども、M3 Get ReadyやM6 Don't Tell Meのようにラップの多いムンベにおいても中々面白いラップの使い方をしてる曲があったり、後ろでバカスカ鳴ってるのになぜかギターがメインのM5 Raining Bloodやなんかが奇抜でいいかんじにアクセントになっていて、意外にも(?)最後まで楽しめた。

アルバム全体通してはまぁまぁの印象だが、でかいリスニングルームで低音強調かけて大音量で聴いてみたらガラリと空気が変わりそうな音楽ではある。クラブ向けとでも言うのか。基本的にずっと変わらず最初から最後までバカスカ鳴ってるドラムンなんで、こう言うのが苦手な人はまず間違いなく途中で飽きるだろうけど「暗めなのにテンションの高いムンベ」が好きな人は結構イケるのではないかと。