金庫株取得のための評価額の算定



1.金庫株とは

その株式を発行した会社自身が取得した自己株式のことをいいます。

この会社の発行している株式をその会社が取得することを自己株式の取得といいます。

2.経緯

平成1310月施行の商法

            自己株式の取得・保有が原則自由になった。

平成185月施行予定の会社法

自己株式取得の決議が臨時株主総会でも可能となり、譲渡人を指定しない方法も新設されるなど、自己株式の取得方法が多様化される。

3.事例

相続によって株式が分散している会社で、関係が薄くなった株主から会社が金庫株として株式を買い取ることによって今後の事業承継をスムーズに行う。また、複雑となってしまった株主関係の整理の方法として金庫株の活用をする。

4.金庫株の評価方法

会社法の施行によって自己株式の取得手続が容易になったことから、自己株式の取得の場合の価格を決定することが必要になっています。そこで収益還元正味現在価値による評価を行います。

 

対象会社

中堅企業のうちキャッシュフロー計算書の経常収入が継続的に相当額生み出されている会社

目的

@ 株式会社が株主の相続人その他の一般承継人からその相続その他の一般承継により取得した当該株式会社の株式を取得する場合における、その価格を決定するため。(会社法162条)

 

 

 

 

A株主総会の決議によって、取得株数、交付する金銭等の内容および総額並びに取得することができる期間を決める旨を定めるのに併せて、特定の株主に対して取得するため。(会社法1601項)

 

 5.条件

財源規制

 株主総会の授権に基づいて取締役会が自己株式の取得を決定する場合、当該自己株式の取得等において交付する金銭等は「分配可能額」(会社法461A)を超えることができない。(会社法461@三)

上記の場合

分配可能額=資本合計−(資本金+資本準備金+利益準備金)

 

6.評価方法

収益還元正味現在価値評価方式
 手順
@     評価対象会社のキャッシュフローを算定
A     将来の各事業年度の予想収益額を現在の時点での価値に引きなおす。
B     その現在時点での事業価値に、評価対象会社所有の現預金(使途が決まっていないもの、余裕の金融資産)や遊休資産等を加え、評価会社が負っている借入金の元本を差引いて株式評価額を算定する。

 

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