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著 書
カイユボット 神に挑んだ画家

単著
青山社
2018. 12
ISBN 9784881791530
真俯瞰は神への挑戦! ルネサンス以来,〈人間の視点〉を当然とした領域にあらたに空からという〈神の視点〉をもちこみ,絵画の歴史を一新したフランス印象派の画家カイユボットの画期的な業績を,背景となったモダン・パリを重ねあわせながら巨細に分析した絵画評論の第2弾.関連図版310点以上.装幀も筆者による.

マネ◎パリ愛とふしぎの絵画
19世紀アヴァンギャルドを読み解く3つの鍵
単著
青山社
2016. 02
ISBN 9784881791509
19世紀フランス画壇の異端児にして近代絵画の父,エドゥアール・マネが描いた“ふしぎ感”たっぷりの3作品を主要なターゲットに,第2帝政期を中心としたパリの社会や文化を視野におさめながら,あらたな視角から絵画の“ふしぎ”を解明し,マネ芸術の表現手法〈マネ・システム〉に迫った.みずから装幀も手がけた書き下ろし評論の第3弾.

マネ パリ愛とふしぎの絵画 19世紀アヴァンギャルドを読み解く3つの鍵 元田與市著

西洋美術界で多彩な才能が開花した19世紀,ひときわ異彩を放ったエドゥアール・マネ(1832〜83)の絵画に焦点を当てて,新たな視角から解明する.ここで取り上げた作品は,第二帝政終焉直後に制作された『鉄道』,身体観をコラージュした『オペラ座の仮面舞踏会』,四次元的虚構空間を構築した最後の大作『フォリー・ベルジェールのバー』の3点.いずれも絵画の伝統や常識を打ち破る独特な表現手法と鋭い批評性で,当時のパリの社会・民衆の実相を見事に浮き彫りにした.さらにマネの芸術の核心は「過剰」にありアヴァンギャルドとして絵画の方向を決定づけたと,その意義を説く.(「出版ニュース」ブックガイド,2016年4月上旬号)


ぼくらは現代社会でゼロ化する
かぎりなく個人が消えてゆく
単著
双文社出版

2010. 10
ISBN 9784881645963
経済的・物質的なゆたかさが国を衰えさせ,ひとの心を卑しくする.そんな皮肉な現実に日本社会は蝕まれている.フランスの画家ゴーガンが「われわれはどこから来たのか,われわれは何者なのか,われわれはどこへ行くのか?」と投げかけた問いときりむすびつつ,現代日本人の生きてゆく力の根源を手さぐりした.書き下ろし評論の第2作.

日本的エロティシズムの眺望
視覚と触感の誘惑
単著
鳥影社ロゴス企画
2006. 9
ISBN 9784862650177
書き下ろし評論の第1作.日本と西洋,そして,古代から日本列島に甚大にして,さまざまな影響をあたえつづけてきた中国大陸,この三者を視野におさめて,古代から描かれてきた女性像をおもな材料として,日本と日本人にとっての美と美意識,そしてエロティシズムを追求した.>>「朝日新聞」書評

日本的エロティシズムの眺望 視覚と触感の誘惑 [著]元田與市  [評者]陣内秀信(法政大学教授・建築史)

■伝統にみる余韻・余白の美学
 美の基準は民族によって違うし,時代によっても変化する.エロティシズムもしかり.今や西洋的価値観に洗脳された我々が失った日本独自のエロティシズムを著者は正面から論ずる.
 本書は問う.日本人は裸体に関心がなかったか,と.
 西洋美術では,神の時代の中世を除けば,美しき女性の裸体のオンパレード.理想の美が追求され,エロスの世界が表現された.一方,前近代の日本では,女の乳房は男にとって,エロティックでも美の対象でもなかったというから驚きだ.日本の男の乳房への性的な視線は,西洋への憧(あこが)れの結果だという.だが日本には,西洋のあからさまなそれとは違う独自のエロティシズムが育まれたのだ.
 日本には古くから肉体拒否の思想や余韻・余白の美学の伝統があり,そこから女達(たち)の表情や容姿から滲(にじ)み出るほのかなエロティシズムが発達した.それを最も巧みに描いたのが江戸時代の浮世絵.ふくらはぎや太ももの一部を露出させる鳥居清長の女の姿表現に日本的エロティシズムの神髄を見る著者は,次に近松門左衛門の『曽根崎心中』で,男の人形の手が女の人形の素足や肌を触るエロティシズムを艶(つや)やかに描く.日本人の心の深層に迫る刺激的な文化論だ.(「朝日新聞」書評,2006年11月19日 )


秋成綺想十八世紀知識人の浪漫と現実

単著
双文社出版

2003. 12
ISBN 9784881645574

江戸時代中後期の小説家で歌人の上田秋成が倦むことなく生みだした小説,随筆,俳諧,和歌,『万葉集』や『源氏物語』などの古典研究,歴史や言語の研究などさまざまな作品と人生を俎上にのせ,かれの創造力と想像力,そして思索の土壌にメスをいれた.>>「出版ニュース」

秋成綺想十八世紀知識人の浪漫と現実 〔著〕元田與市

〈『雨月物語』を真の傑作に昇華させたのは,まぎれもなく現実社会とそこに生きる人間(自分自身)を凝視する秋成の冷徹な目にあった〉上田秋成の想像力と自意識の深層に迫る作家研究.秋成の代表作といえる『雨月物語』は,怪異小説の形をもって,封建社会に生きる人々の思いや運命の不合理をたくみに描いてみせたが,著者はまず秋成を現実の観察者(リアリスト)と捉え,ここから初期小説の水脈を探る中から,家や共同体への視線を導きだす.ここから,『雨月物語』を多様な角度から読み解き,続いて晩年の代表作『春雨物語』の解釈を通して,晩年における文学の視点を定める.作品世界の解読から秋成の精神の軌跡を鮮やかに描きだした労作.(B6判・364頁・3400円・双文社出版)(「出版ニュース」ブックガイド,2016年4月上旬号)



『秋成綺想十八世紀知識人の浪漫と現実』元田與市(双文社出版,2003年)

 上田秋成に関する論稿13本を4部構成でまとめたもの.第T部から第V部には初期浮世草子と『雨月初語』を,第W部には『春雨物語』を中心とした論稿か並ぶ.
 第T部は,『世間妾形気』「玉手箱女房説話」から『雨月物語』「吉備津の釜」「’蛇性の婬」へと貫流する「家」や「共同体」への視線という水脈を辿ることで,深化の痕跡を照らし出す.また,「玉手箱女房説話」の背景に女嗚神物の趣向を指摘した点も新見として注目.第U部は,単語や措辞の分析を起点として作品読解を行うという注釈的手法を用い,「吉備津の釜」「蛇性の婬」「青頭巾」へのアフローチを試みる.ここから,「吉備津の釜」と『太平記』「大森彦七が事」,「蛇性の婬」と岩橋伝説など,有益な成果か生まれている.第V部は,和漢の多様な典拠を持つ『雨月物語』の本文や挿絵の素材・典拠を探るべく「青頭巾」と「貧福論」について,本文の構成や話型,挿絵を対象として検討を行う.「青頭巾」と『諸国百物語』巻3の19,「貧福論」と『玉箒木』巻3の1との関連を指摘したほか,「青頭巾」の挿絵と室町期の絵巻『武蔵坊絵縁起』との図柄の類似を証明した点は,挿絵と絵巻との関連性を見出したものとして,今後更に深められるべき問題であろう.第W部は,『春雨物語』の中でも難解な序文を丁寧に分析し解釈することによって,そこに古文献や同時代の著述に対する懐疑と自己の学問への禁欲的熊度,また宣長に対するアンチテーゼを読み取るとともに,創作開始期から晩年に至る過程で獲得した「内向的な自己告白を吐露するための趣向」が集約されたところに序文が生まれたと結論付ける.
 本書で扱われたテーマは,古くて新しい問題ばかりであり,著者の問題意識や手法など,今後の秋成研究に活かされるべき点は少なくない.(高松亮太,『上田秋成研究事典』笠間書院,2016年1月)


雨月物語の探求

単著
翰林書房
1993. 8
ISBN 9784906424078

宝天時代の前衛である上田秋成の『雨月物語』が中国小説の翻案,および〈怪異〉という虚構と荒唐無稽な世界の姿を借り,さらには時代を〈過去〉に設定することで作者や江戸時代の現実とは直接かかわりないかに見せかけながら,そのじつ,作者自身と社会との接点で創作された,私的で現実的な作品であることを考究した.単著としての処女作.

『雨月物語の探求』元田與市(翰林書房,1993年)

 『雨月物語』全9篇の作品論を収める本書は,すでに膨大な研究が蓄積されているこの作品の,従来の読みを乗り越えようとする旺盛な意欲に満ちている.著者の基本的な姿勢は,『雨月』という作品が生み出された〈時代〉の意味を考えながら,各篇を読み解こうとするものである.そうした態度が特に顕著に見られるのは,高野山の静けさに近世という時代の姿を見,そこで聞こえる仏法僧という不確かな存在の鳥の声に時代の不安定さを看取する「仏法僧」論や,左内と精霊との対話に近世中期の矛盾に満ちた現実のありようを見る「貧福論」論などであろう.その他,西行と崇徳院の論争を,中央から辺境への視線と辺境から中央を侵そうとする力の対立と捉える「白峯」論,『英草紙』第4篇と比較しつつ通説を反転させ,作品の主題を妬婦断罪ではなく淫夫糾弾にあるとする「吉備津の釜」論などにも著者の独自性が表れている.しかし,最も強烈な読みが提示されているのは,やはり「菊花の約」論であろう.著者は,主人公の1人である宗右衛門についての情報が地の文ではまったく説明されず,すべて左門の視点をとおして語られていることに注目し,作品の中で描かれる宗右衛門の姿とは左門によって創られた偶像であると指摘する.そして,宗右衛門が自決に至るまでの過程や,左門との再会の場面の出来事などは,すべて左門の幻想から生み出されたものとするのである.このように左門の言葉を徹底的に疑うことで,信義の物語とされてきた本作の主題は完全に反転させられる.こうした大胆な読み方は,誤読と隣り合わせのものではあるが,作品に正面から向き合い,堂々と主題論が展開される各論考は,多くの刺激を与えてくれる.作品の言葉を丁寧に解きほぐしてゆくことが文学研究の原点であるということを,あらためて認識させられる.(丸井貴史,『上田秋成研究事典』笠間書院,2016年1月)


近世文芸論ロマネスクと変容

共著
翰林書房
1995. 11
ISBN 9784906424597

日本文芸論

共著
おうふう(桜楓社)
1989. 1
ISBN 9784273023348

日本文芸学の体系

共著
弘文堂
1988. 1
ISBN 9784335950193

雑誌論文
すべて単著
26.神に近づいた画家カイユボットの革命(2)/「流域」青山社,第79号,2017. 10

25.神に近づいた画家カイユボットの革命(1)/「流域」青山社,第80号,2017. 05

24.パレ・ガルニエの内臓ガストン・ルルー『オペラ座の怪人』/「流域」青山社,第73号,2013. 12

23.オスカー“サロメ”ワイルド反逆者は葬られる(3)/「流域」青山社,第69号,2011. 11

22.オスカー“サロメ”ワイルド反逆者は葬られる(2)/「流域」青山社,第68号,2011. 4

21.オスカー“サロメ”ワイルド反逆者は葬られる(1)/「流域」青山社,第67号,2010. 11

20.ふしぎの物語春雨物語「二世の縁」/「江戸文学」ぺりかん社,第30号,2004. 6

19.喪われた神「青頭巾」における「院主」と「童子」/「日本文学」第46巻,第1号,1997. 1

18.糾される現在「貧福論」の〈裡なる異国〉/「日本文学」第42巻,第4号,1993. 4

17.美への憧れ,美の孤独「夢応の鯉魚」の主眼/「読本研究」渓水社,第6輯,1992. 9

16.調伏という皮肉「青頭巾」の焦点/「江戸文学」ぺりかん社,第8号,1992. 3

15.外部性への視点「青頭巾」にみる流動のイメージ/姫路工業大学一般教育部紀要「論苑」第2号,1991. 12

14.悲劇を可能にしたもの「心中宵庚申」の読み方/姫路工業大学一般教育部紀要「論苑」第2号,1991. 12

13.逐われたる者と遁れたる者「白峯」における崇徳院と西行の対峙とは/姫路工業大学一般教育部紀要「論苑」第1号,1990. 12

12.形式からの離脱,そして自在へ観念表出装置としての『春雨物語』序/「立命館文学」第515号,1990. 3

11.反宣長としての主題『春雨物語』序の執筆意識とその精神土壌の一端/「姫路工業大学研究報告」No.39B,1989. 12

10.秋成の形象化の方法『伊勢物語』第二十四段を接点として/『日本文芸学の体系』弘文堂,1988. 11

09.変革の被虐「浅茅が宿」論への試み/「立命館文学」第505号,1988. 3

08.「二代目に破る扇の風」の成立書簡の趣向をとおして/「立命館文学」第503号,1987. 10

07. 「確かさ」の不在「仏法僧」の視点/「日本文学」第36巻,第11号,1987. 11

06.神と罪の物語「吉備津の釜」/「論究日本文学」第50号,1987. 5

05.秋成晩年の創作意識(1)素材と表現からの一考察/「立命館文学」第493・494・495号,1986. 9

04.「菊花の約」考末段と主題/「論究日本文学」第49号,1986. 5

03.『世間妾形気』「お春物語」試論/「立命館文学」第485-486号,1985. 12

02.「菊花の約」の人物像左門の孤独と悲嘆/「日本文芸学」第22号,1985. 11

01.「菊花の約」論宗右衛門その聖性と俗性/「日本文芸学」第21号,1984. 12

エッセー・そのほか

03.鐘の音 / 季刊雑誌「日月」日月社,vol.87,2007. 7

02.『流域』中扉デザイン /「流域」青山社,第56号,2005. 9

01.西鶴は眠くない /「出版ニュース」出版ニュース社,2004年3月中旬号

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