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国文学・演劇 書写キャンパス/月曜日/5限目(16:20-17:50)
映画『曾根崎心中』栗崎事務所,1981年

監督:栗崎碧/撮影:宮川一夫
人形遣い:吉田玉男,吉田蓑助(三代目)
太夫:竹本織大夫,豊竹呂太夫(五代目)
ポルトガル・フィケラ・ダ・フォス国際映画祭銀賞
ベルギー国際映画祭市長賞

 この映画は舞台作品ではない.人形と人形遣いを密閉された空間から解放して,京都の下鴨神社でロケをおこなっている.
 見どころは,なんといっても徳兵衛を遣う人間国宝の吉田玉男と,お初を遣う吉田蓑助の名人技であり,織大夫の語りである.理想的な文楽としての『曾根崎心中』ということができる.
 生きているかのような表情と動き,人形に命を吹きこむふたりの巨匠の技には感嘆を禁じえない.
 栗崎監督とは,大阪での初上映時にお話をする機会を得た.なつかしい思い出である.
江戸時代が生んだ女性ドラマの決定版おまえさんをひとりで死なせない
 江戸時代最高の心中浄瑠璃『曾根崎心中』.主人公はなぜ死ぬしかなかったのか? 観客はなぜ感動につつまれたのか? 男女の死のドラマを圧倒的な筆力で描ききった演劇の魅力とその本質をあきらかにします.
講義内容
 講義では,古典文法も古典の知識も必要ありません.
 テキストを用いて内容の理解につとめるとともに,作品が実際の浄瑠璃(文楽)でどのように劇化され,どう演じられているか,映像で確認しながら,演劇本来の魅力と価値を理解し味わってもらいます.世界遺産に認定された,日本の至宝である浄瑠璃のひとつの頂点をきわめた傑作をとおして,日本文化の精髄を実感してほしい.きっとすばらしい体験になりますよ!

『曾根崎心中』の世界

  1. 導入

  2. 江戸時代って,どんな時代?

  3. 元禄という時代(経済・政治)の諸相

  4. 遊女と遊廓(遊里)

  5. 心中(相対死)の流行と心中浄瑠璃

  6. はじめての〈女の劇〉

  7. エロティシズムの意味

  8. 悲劇の定義

  9. 悲劇としての性格

 10. 近世悲劇の成立

 11. 近松の芸能論『難波土産』

 12-14. 映画 『曾根崎心中』 をとおして文楽の実際を体験

 15. まとめ


授業形態:講義形式
テキスト:松平進『新注絵入 曾根崎心中』和泉書院.サブ・テキストも配布します.
参考文献:新編日本古典文学全集74・75・76『近松門左衛門集 一・二・三』小学館.
     元田與市『日本的エロティシズムの眺望 視覚と触感の誘惑』鳥影社.
     どちらも,大学の学術情報館に蔵書があります.
評価方法:期末レポート.毎回,授業に出席し,講義内容を理解しておくことが基本.
開講場所:書写キャンパス/7号館/7101教室
開講日時:月曜日/5限目(16:20-17:50)

国文学・小説 書写キャンパス/月曜日/5限目(16:20-17:50)
  映画『雨月物語』大映,1953年

  監督:溝口健二/撮影:宮川一夫
  脚本:川口松太郎,依田義賢
  出演:京マチ子,森雅之,田中絹代
  ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞

 溝口監督は名女優の田中絹代とともに西鶴作品も映画化して,世界的な賞賛を得た.ここでも田中の名演はいうにおよばず、森も京もただただすばらしい.
 そして理想的なカメラマンの宮川一夫を起用して,圧倒的な美しさと幻想性を獲得した.黒沢明の《羅生門》で,宮川が太陽をレンズにとらえるタブーをおかし,撮影の常識をくつがえしたことは有名である.その独創的でクリエイティブな撮影技術は,ここでもいかんなく発揮されている.主人公たちを乗せた小舟が琵琶湖を行く名シーンは,巨大なガレージのような空間にプールをしつらえて撮影された.ライティングによる巧みな陰影とスモークが効果的に使われ,『雨月物語』の不吉で妖しい雰囲気がみごとに表現された.
 日本映画の古典というにふさわしい名作である.
江戸時代の心理サスペンス人と死者と妖怪がまじわる異形の世界
 江戸時代中期(18世紀)に活躍した,上田秋成の怪異小説『雨月物語』の世界にわけいる.日本や中国・朝鮮の文学や神話,伝説,伝承,説話,演劇など,さまざまな素材を駆使して創りあげた再創造文学の本質をあきらかにし,現代小説では不可能な技巧を駆使して,読者を不安におとしいれる心理サスペンスの醍醐味を味わってもらいます.
講義内容
 講義では,古典文法も古典の知識もいっさい必要ありません.
 上田秋成は文学作品や芸術作品にかぎらず,過去や同時代につくられたさまざまな表現体(テクスト)をいったん解体したうえでみずからの作品にとりこみ,言葉の多義性を駆使しながら綿密な意図のもとに再構築をおこなった,希代の表現者です.日本・中国の文学や学問,文化,歴史などが作品のなかにどのようにとり入れられ,それが再構築されることでどのような命が吹きこまれることになったか,表現手法ともども作品の実態をさぐります.

『雨月物語』の世界

 1. 導入

 2. 概説:江戸時代の小説

 3. 上田秋成の生きた時代

 4. 怪異小説の流行

 5. 『雨月物語』とは?

 6-14. 『雨月物語』各編の解説と講読

  6. 白峯(しらみね)

  7. 菊花の約(きっかのちぎり)

  8. 浅茅が宿(あさじがやど)

  9. 夢応の鯉魚(むおうのりぎょ)

  10. 仏法僧(ぶっぽうそう)

  11. 吉備津の釜(きびつのかま)

  12. 蛇性の婬(じゃせいのいん)

  13. 青頭巾(あおずきん)

  14. 貧福論(ひんぷくろん)

 15. 映画『雨月物語』鑑賞とまとめ


授業形態:講義形式
テキスト:森田喜郎『校註 雨月物語』笠間書院.随時,プリントも配布します.
参考文献:新編日本古典文学全集48『英草紙 西山物語 雨月物語 春雨物語』小学館.
     元田與市『雨月物語の探求』翰林書房.
     元田與市『秋成綺想 十八世紀知識人の浪漫と現実』双文社出版.
     大学の学術情報館に蔵書があります.
評価方法:期末レポート.毎回,授業に出席し,講義内容を理解しておくことが基本.
開講場所:書写キャンパス/7号館/7101教室
開講日時:月曜日/5限目(16:20-17:50)

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