禁煙できないのは遺伝子のせい!?
セロトニンが関係
喫煙や禁煙しやすさなどに、神経伝達物質セロトニンを細胞に取り込む遺伝子
が関係していることを、あおもり協立病院(青森市)の石川はじめ医師と筑波大
遺伝医学研究室(有波忠雄助教授)が見つけた。
たばこ依存症の背景に、ニコチン代謝酵素遺伝型がかかわっていることは知ら
れているが、セロトニン関連遺伝子の関与が分かったのは初めて。
禁煙できないのは意志の弱さだけによるものではないことを示す発見といえる。
研究グループは、たばこ主成分のニコチンが、脳に快感をもたらす「報酬系」
を刺激する事実に着目。この報酬系を抑制するセロトニンの輸送蛋白質の遺伝子
型を調べた。
この蛋白質は、神経細胞の膜に存在して、細
胞膜の外から内側にセロトニンを取り込んでい
る。
その遺伝子には、LとSという2つの型が
あり、LはSより、取り込む働きが強い。
青森市と茨城県土浦市で健診を受けた中高年男
性(平均年齢50歳)計約400人から、本人
の同意を得て血液を採取し、遺伝子型を分析。
非喫煙者と禁煙者がほぼ半々だった。
L型を持つ人の割合は、喫煙者で37%と、
非喫煙者の26%より明らかに高かった。
禁煙に成功した元喫煙者は22%で、逆にS型
が多く、禁煙しやすさへの関与を示した。
喫煙者で一日の本数を見ると、L型だけを持つ人は33本で、S型だけの人の
22本より多く、喫煙量にもかかわっていた。
=スポーツ報知2000年(平成12年)3月20日(月曜日)20面から=