by 草月 炎水 

 「なぁ、草月。ちょっと聞いてや。」

 朝早くからやたら元気に話しかけてくるY田。

 「どうしたん?」

 「俺な、大金持ちになる方法見つけてん。」

 「へぇ、どうすんの?」

 「ふっ、見てろよ〜。」

 そう言ってY田は財布から1円玉を取り出しポケットに入れ、
 ポンポンとたたき出す。
 しばらく叩いてポケットをさぐっている。
 そしていぶかしげな顔で言った。

 「あれー?増えてない???」

 ふと、頭をよぎるものがあり、私は尋ねた。

 「なぁ、お前、昨日NHK教育『みんなのうた』とか見なかったか?」

 「へ?うん、なんでわかったん?」

 (いや、そりゃ無理やろ・・・)そうツッコミ入れかけた、その時。

 「あー、それやり方がまずいねんて。」

 そう言って上から降ってきたのはS上だった。

 「ちょっと待て!!何でお前上から降ってくんねん!?」

 「だまれ!!H美に片思い中の草月炎水20歳!!」

 この言葉に私はただ押し黙るしかなかった。

 「さて、Y田よ、さっきのやつだが、俺のやり方を見ていろ。いくぞ。」

 そうぬかして奴は、万札取り出しポケットIN、
 妖しく踊りながらポケットをたたき出した。
 にしても・・・、奴のポケットがふくらんでいってるのは何故?
 そして10回目を叩いたとき!!
 奴のポケットがやぶれ中から出てきた万札たち!!
 その額おおよそ1千万!!!
 あまりのことに声を失う私をよそに奴ら二人は語り合う。

 「すげー!!俺にもできるかなー、ししょー!!」

 (もう師匠かよ)声が出ない。

 「これはだな、手首の返しこそ重要なポイントなのだ。」

 (妖しい踊りじゃないのか!?)やはり声が出ない。

 私にできることはもう、

 (手品だよな?手品だよな?手品だよな?)
 そう心でつぶやきながら製造番号が同じ万札の山を
 眺めつづけることのみだった・・・。

..2002/12/20(Fri)12:46


by 草月 炎水 

 上記は移転お祝い(にならないけど)のために
 急遽作ったフィクションです。
 実在の個人名、企業、およびH美さんとはまったく関係ありません。
 ホントです。信じて。

..2002/12/20(Fri)12:51


 信じません(笑)。
 素敵なプレゼントありがとうございます。
 かなり笑わさせて頂きました。
 特に(妖しい踊りじゃないのか!?)の箇所。
 ツボに入りまくり。

by 伽那ノ光