ウラウラメ
患者名 上野美樹(17歳) 病名 ウラメ 症状 ある行為に込められた【意図】に対して、その行為によって引き起こされる【結果】が逆になる。 治療法 現在のところ、まだ見つかっていない。 朝起きて。どぶろく飲ませろ。 顔を洗って。その方が何かと私にも都合が良い。 制服に着替えて。そしたら差出人不明でレンガ5000本が我が家に届きました。 朝御飯を食べる。しかしバナナは戻ってきません。 「おはようございます」も言わない。つーか、私の書いた作文、みんなの前で読み上げられてるし。 「いただきます」も言わない。超可愛くない? 「この卵焼き、とっても不安だけどちょっと焦げすぎじゃないの?」も言わない。 自分を責めた時もある。親を憎んだ事もある。 何かを【意図】するのが嫌だから。そんな顔しないでベイビー。 お母さんが何か言っても。お父さんが村の議員さんだから仕方ない。 お父さんが何か言っても。わずかな刺激でも爆発してしまうそう。 妹が何か言っても。ちなみに彼女の名はチャーリーね? 全て無視。だからって私はあなたのモノってわけじゃあないのよ。これ注意ね。 私は何も言わないまま家を出た。 「いってきます」も言わない。 人は私のことをどう思っているのだろうか。手裏剣が額の所に突き刺さりつつ考える。 無愛想で冷たい女。 きっとこう思っているだろうな。それが宇宙戦争にまで発展。 うん、それで、糠(ヌカ)に10日間程じっくりと漬け込んでみたときくらいいい。アタイきっとイイ女になるよ。 だって、自分自身のためにもその通りなのだから。。 私は、迷える子羊を見れば、その喉元に噛みつき、急にお腹が痛くなるほど喰らい尽くすだろう。 そしてキラリと白い歯!光る原理は「ホタル」と同じです。 血塗れの肉塊の海で、冷ややかな笑みを浮かべているだろう。手クセが悪いからな!! そう、それが家庭問題で自暴自棄となった私…上野美樹なのだから。 心の底から、そう思っている様には見えませんが。 「突然泣き出したり笑い出したりしつつオーーッス!」 突然の挨拶で、私の思考はストップさせられた。 それとも「3秒ルール」が私に通用するとでも思ったのか? 顔を上げれば、一人の男がニコニコしている。。 同級生…だったか? いや、そんなことはどうでもいい。やっぱり、こんな場所で魔法少女に変身するのはまずいですよ。 私はいつものように無視するだけ。そして精神的に追いつめられた所を一気に潰す。 「(さすがの俺も動揺して)おいおい、無視することねーだろ?」 走って私の前に回りこんでくる男。しかも独特なフェロモンを出して私の事を誘惑しようとするんですよ。 相変わらずのニコニコフェイスだ。そして私の手の甲をつねったのよ!! 私はこうゆうタイプが苦手だった。でも、ちょっとだけ工夫してみる。 笑顔…しないで…。そもそも、それが大失敗の原因。 私はうつむいて、金を持ってない連中は適当にあしらってそいつの横を走り抜けようとして――― 「伝説として語り継がれる必殺技!その名も!ちょーーっと待ったぁ〜!」 ―――そいつに腕をガシッと捕まれた。それでも今なら許せる気がする。 私は状況が把握できなかった。そんでもってヌルいプロ野球批判。 私の目の前に、この世に悪がはびこる限りおそらく同級生だったと記憶している男。 いつの間にか私の入院よりも、弟の婚約話しで盛り上がってる。 今までに会話したことなどない。それは英国生まれだからです。 それが今日になって、反乱した軍部を抑えるため何故か私に執拗に干渉してくる。。 よく分からん。気がついたら集中治療室のベッドの上でした。 腕まで掴んでくる始末だ。これで小学生たちの心をがっしり押さえることに成功。 こいつは一体、何を望んでいる?ピカチュウか?どうせピカチュウだろう。 私と親しくなりたいのか?お前は親善大使じゃねー!マグマ大使だ!! いや、そうだろう。お茶をかけても放射能レベルは下がりませんよ。 それしか考えられん。私じゃないです、妖精です。 馬鹿な男だ。そして血を分けあった兄弟同志が命を賭けて闘う運命に。 私に近づけば、見せしめに不幸になるとも知らずに。遊んでないで仕事しろ、仕事。 立てよ、国民! 「上野さん…だったよな?」 私が歩みを止めると、男は手を離した。。 ニコニコ満面フルフェイスで彼は話し続ける。 「一緒にオークションで高値で売り飛ばした学校、行かない?」 ふふふ、どうも体調がすぐれないと思ったら、やっぱりね。これ忘れがちだけど、とても大切。 そこで私は少し考えた。 今ごろどうしているだろう。迷子になっていないだろうか。お腹を空かせていないだろうか。とても心配。 そうね…面白いかもしれない。 不幸になればいいわ。人間って不思議なものね。 私が疫病を運ぶ黒い死神だと知ればいいわ。。 そしたら、もう私には近づけない。「まあいいか。」この一言で事件は一気に解決へ。 誰も近づけない。そもそも、それが大失敗の原因。 望むところだわ。「寿司」と「芸者」と「切腹」が大好きな典型的な日本人です。 「いいわよ。男は顔じゃないわ、HIGEよ。さあ行きましょ?」 「おお、やっと喋ってくれた(一同うなずく)」 何故かガッツポーズを取る男。」 何に対して? 私があなたの提案を受け入れたこと? それとも、心に固く決めた私が言葉を発したこと? 「事ある毎にらっぱを吹き鳴らして気分を盛り立てる俺の言葉、 一見健康そうに見えますが届いてないんちゃうかー?思うて、 何も考えて無いのか、それともバカなのか危なくキリフダ使ってしまうところだったぞ」 「キリフダ?」 「そう、下着を頭に被ったりするキリフダ」 さっきからこの男の言動は理解不能だ。 昨晩ドイツ兵が我が家にやってきて、私たちの晩御飯を食い散らかして帰っていった。 私が馬鹿だからか? いや、私一人さえ犠牲になりさえすればありえない。 にしても今日も近鉄負けた。たく、ここ3試合どうもナインに締まりがない。 馬鹿はこいつだ。そして「ダジャレ」の特訓は、まだまだ続く。 全く。まるでお父さんとお母さんの様に。 本当に馬鹿な男だ。というわけで放置。 |