俳句を通して言葉を あじわう
少 徳  信

 6月号で書いた季語探しの後、それぞれの子が 持ち寄った句を もとに句会を開いた。ここでは子どもの作品とそれに対する子ども達の交流の様子を紹介する 。

作品 @ 〈 春の星ヨット静かに帆をたたみ 〉
作者曰く、春の星という季語がお気に入りで、ぜひ使ってみたいと思っていたよう。春の星→空→広い→海→ヨット→・・・と連想を進めていったとのこと。満天の春の星が広がる海を、穏やかに時間が流れるいかにも春らしい句である。
以下、子ども達の会話である。
C1 春の星とヨットって関係なくない ? どういう意味か、いまいちわからへん。
C2 ヨットやからいいんやで。大きい船やったら、どっちかって言ったら 夏の星な感じがするもん。
C1 帆をたたみ 、は?
C3 もう夜になって 、そこで寝ようと思うからたたんだかなって思った !
C2 なるほどな、私は帆をたたんだから向こうまでつづく星が見えたのかなって思ったわ。
C3 そう思うと、「静かに」ってめっちゃいいな。
C2 うん。星が春らしく見える。
C1 みんなの話聞いてると確かに良い句に 見えてきたわ。

作品 A 〈 すべり台落ちて笑って夏の空 〉
〈 友達と 遊具で遊ぶ 夏の空 〉をより具体的にしていくなかで 生まれた句 。 「 落ちて笑って 」のリズムと 夏の空の明るさが良く響き合う句である 。 子ども達の会話は以下の通り 。
C4 ぼくも小さいときこんなことあったわ。
C5 落ちて笑ってっていい。
C4 何回でも読みたくなる感じするもんな。
C6 なんで夏の空なんやろ。
C5 落ちたとき 仰向けになって、そのとき空が見えたんじゃない?
C6 そっか。遊んでる楽しさもなんかわかるなあ。
C4 最後に夏の空が来るから、気持ちいい感じで終わるな。

   このように子ども達が句を味わう中で、口々に言っていたのが「季語ってあった方が良いな!」「 季語がわかってくると句のイメージがめっちゃ広がるなあ」といった 言葉だった。
 言葉は 字面だけで味わうものではない。様々な情報が圧縮された数々の言葉を、自分の感覚を通して広げることで、より豊かに世界を味わうことができると思う。そんな言葉との出会いをこれからも子ども達に提供できるようにしていきたい。
(彦根市立河瀬小)