気もちのよい○○
弓 削 裕 之

 二時間目に参観授業を控えた一年生。朝の会で、「今日はたくさんのお客様がいらっしゃいます。気持ちのよいあいさつをしましょう。」と話をした。すると、一人の児童が、「他にもありますよ。」と手を挙げた。「どういうことか教えてください。」と指名すると、「気持ちのよい授業をしたらいいと思います。」と発表した。すると、それを聞いた他の児童も、「まだあります。」と次々に手を挙げ始めた。これは、朝の会で終わらせるにはもったいないと思った。そこで、一時間目に予定していた内容を変更して「気もちのよい○○」という題名で授業をした。めあては、「気もちのよいものを見つける。」だ。

 (1) 気もちのよい あいさつ    (2) 気もちのよい じゅぎょう
 (3) 気もちのよい 学校      (4) 気もちのよい 気もち
 (5) 気もちのよい こころ     (6) 気もちのよい しせい
 (7) 気もちのよい ありがとう   (8) 気もちのよい はっぴょう
 (9) 気もちのよい こえ      (10) 気もちのよい しずけさ
 (11) 気もちのよい べんきょう  (12) 気もちのよい 字
 (13) 気もちのよい 手のあげかた (14) 気もちのよい ノート
 (15) 気もちのよい きょうかしょ (16) 気もちのよい すわりかた
 (17) 気もちのよい えんぴつ   (18) 気もちのよい えんぴつのもちかた
 (16) 気もちのよい みんな    (20) 気もちのよい こくばん
 (21) 気もちのよい えがお    (22) 気もちのよい きょうしつ
 (23) 気もちのよい マナー    (24) 気もちのよい いけん
 (25) 気もちのよい じかん    (26) 気もちのよい まい日

 番号は、子どもたちから出た順番。26個目で黒板がはしまで埋まった。黒板がみんなの言葉で埋まると、いつも拍手が起こる。「気もちのよい、はくしゅ。」と誰かがつぶやく。授業中は気がつかなかったが、こうして並べてみると、言葉から子どもたちが見えてくる。
 「しせい」と発表した子は、参観授業でがんばるだろうな。「ありがとう」と発表した子は、誰かに言ってもらったのかな。「こえ」と発表した子は、音読を楽しみにしているかな。「しずけさ」と発表した子は、もっと静かに勉強したいかな。「みんな」と発表した子は、お友だちが好きなのかな。「マナー」と発表した子は、登下校のお勉強を覚えているのかな。「いけん」と発表した子は、聞き方上手さんだろうな。「まい日」と発表した子が、毎日楽しく学校に通っているといいな。

 こんな風に振り返ると、一つ一つの言葉がとても愛しくなってくる。子どもたちが選んだ言葉には、きっと意味があると思っている。そう考えると、全員の「気もちのよい○○」を聞きたかったなと思う。
(京都女子大学附属小)