ことばの宝箱
北 島 雅 晴

 「ことばの宝箱」というノートを作った。美しいことば、温かいことば等を私が選んで、毎日黒板の片隅に書き、そのことばを写すノートである。
○常に前進しなければ、後退が始まる(羽生善治)
○できなかったこと、まちがったことから学ぼう(北島雅晴)
○あかねさす(万葉集)
「みなさん、羽生善治さんを知っていますか。将棋の棋士で、初めて七冠を達成した人です。現在五十歳を超えても、常に新しいことを取り入れようと努力をされています。‥‥」
といったように、そのことばに関わる話をするようにしている。このノートには、好きなことばや心に残ることばを見つけた時は、書き留めておくように働きかけている。

 ノートに自分の選んだことばがたまってきたので、日直が朝の会で紹介することにした。朝の会が始まるまでに、日直が黒板に書いておく。そのことばをみんながノートに写す。朝の会ではそのことばについて、日直が簡単に紹介するという活動を毎日続けている。

○美しいものは、人々にエネルギーを与える。
「このことばは、名言が紹介されている本の中から、一番心に残ったものを選びました。美しいものにふれたり見たりして、心のエネルギーを増やしていきたいです。」
○おそれるな、がんばるんだ。勇気の花がひらくとき、ぼくが空をとんでいくから。きっと君を助けるから。(やなせたかし)
「このことばは、今度学習する国語の教科書から選びました。やなせたかしさんは、震災の時に子どもたちをはげまそうとこのことばを伝えました。」

 自分の読んだ本の中から、身近な人や好きな有名人のことばを聞いて等、子どもたちはいろいろなところからことばを見つけて紹介できている。

 本校はどちらかといえば、言葉遣いに課題を抱えている。「うざい」「だるい」「むり」といったことばが、学習中においても出てくることがある。また、相手を傷つけることばを投げかけても、平気でいる姿も見かける。ことばが乱れてくると、人間関係が崩れる原因になるだけでなく、前向きに行動しようとする意欲も失われるのではないかと感じる毎日である。

 「ことばの宝箱」をきっかけとして、美しいことば、温かいことば、自分の生き方を見つめることばに目を向けてほしい。そして、日々の生活での言葉遣いにも気を配ることができる人になってほしいと願っている。
(栗東市立葉山小)