人権作文への取り組み
蜂 屋 正 雄

 本校の四年生はやさしい子が多い。また、とても子どもらしく、素直で、元気である。しかし、その一方で、無自覚に相手を貶める言葉や小ばかにしたりする言葉を使ってしまう場面がある。まだまだ、自己中心的な世界を持っている子が当然ながらいるためである。  本校の四年生は人権月間に人権作文を作ることになり、これまでも取り組んできた、書く活動を通じて、自分の思いや願いを文章にし、学級の課題についてみんなで考えられないかと思い、取り組んだ。

@ 人権作文を読む
 過去の人権作文で入賞している四年生の人権作文の中で、相手をきずつけてしまった経験を振り返っている作品を選び、「例文」として読んだ。
A テーマの話し合い
 「みんなが気持ちよく安心して過ごせるために」、どんなことができればいいか、ということを学級で出し合った。
B タイトルを決め、その理由を書く
C 実際にあった出来事を書く
D 出来事の中から、感じたこと・思ったこと書く
E これからの生活でしていきたいことを書く
以上のことをプリントに書き溜めたうえで、人権作文に取り組んだ。文字数は原稿用紙三枚を目標に取り組んだ。

 その中で、「笑われるのがイヤだ」、「きつい言葉で注意されるのがいや」という意見が出てきた。それまで無自覚に人を傷つけてきた子にとっては、自分のそれまでの言動を振り返る大きなきっかけにでき、話し合いの様子を黙って聞いていた。

 その後に書き始めた作文のタイトルは「あんまりわらわれないようにするには」「ぼくのこと」「なかよくしたい」「わらわない」「学校で楽しくすごす」などである。ふだん、もうちょっとこうしてほしい、もうちょっと気を付けたい、ということを素直な文章で書くことができた。ついつい笑ってしまっていたこと、自分がこれまで言われて実は傷ついていたこと、友だちから助けられたことやその言葉、学校で安心して過ごすためにしていきたいことなどを切々と自分の言葉で書き連ね形にしていた。

 人権作文の取り組み以降「人の失敗や間違いを笑ってしまうのは、良くない。」「安心して失敗できる教室にしよう。」という共通認識ができ、つい、エラそうな物言いをしてしまう子も気をつけるようになった。子どもたち自身の言葉の力を感じる学習にできた。
(野洲市立北野小)