「帰り道」に何が起こるか想像しよう
北 川 雅 士

 新年度が始まり「帰り道」(光村図書6年創造)の学習に取り組んだ。昨年度は4月から5月までが休校であったため、この教材も自宅学習と学校での指導が半々であった。今年度は新教科書になり初めて4月から計画的に指導ができる。

 「帰り道」は、1と2で同じ出来事の見方が変わる物語である。導入前にまずは、最初の一文を提示してみた。
T:じゃあ初めの一文を読みます。「放課後の騒がしい玄関口で、いきなり、周也から『よっ。』と声をかけられて、どきっとした。」
 「さわがしい?」「みんな帰る時間かなぁ」「周也やって」「いきなりってことは突然やんな」口々に話が盛り上がり始めたので、いくつかの項目を提示して話し合ってみた。
T:この物語はどのような状況から始まっていますか?
C:題名が「帰り道」なので帰り道かなぁ。
C:でも、玄関口ってことは、帰り道じゃない気がする。
C:これから帰る準備中。
C:周也くん。いきなり「よっ。」って言ってる。
C:なんか軽いよな。自分なら名前呼ぶ。
C:もう一人話しかけられてるのは誰かな。
C:この人が律じゃない。書いてあるし(扉のページに律と周也の名前は紹介されている)
T:じゃあなぜどきっとしたのでしょう。
C:突然で驚いたから。いきなり「よっ。」は驚くと思う。
C:なんか隠し事があるんじゃない。話したくないような。
C:周也君のものを壊したとか。悪口を言ったとか。

 「2」の最初の一文も読んで話し合ったが、抽象的な表現に子供たちは盛り上がらなかったため、本文を読んだ。物語の感想を読んでいると「想像していた内容とあっていたか確かめられた。」「周也と律の関係が気になった。」「予想通り周也は軽かった。」「どきっとした理由がわかった」など、はじめにみんなで話した内容について、物語を読み深めていた様子が見られた。今回は以前に近江の国語で教えていただいた導入を実践してみたが、学年のほかの学級でも、普通の導入より興味をもって文章を読めたという話を聞いた。今後も子どもが自ら「読みたい」と思えるような教材との出会いを工夫していきたい。
(彦根市立城南小)