切にしたい言葉
箕 浦 健 司

 「書き表し方を工夫して、経験と考えを伝える文集作文を書こう『大切にしたい言葉』」(光村六年)
 本単元の学習活動は、これまでに出会った言葉を想起し、その中で自分の「座右の銘」と呼べるもの、その理由、エピソードをまとめるというものである。単元導入で、本単元で書く作文は、卒業アルバムの文集に載せる旨を告げたところ、子どもたちのやる気は俄然高まった様子であった。卒業を目前に控え、すでに各教科の学習が六年間の「まとめ」である意識をもっている子どもたち。誰もが意欲を高め、学習に入ることができた。

 これまでの生活の中で実際に出会った言葉と、そのときの経験とを結びつけて書くことができる子もいれば、難しい子もいる。そこで、教師が「名言集」等の図書や印刷したものを用意し、その中で自分の経験と結びつくものを選ぶという方法も提示した。また、いわゆる諺や「名言」と呼ばれるものに限らず、生活の中で出会い、大切にしたいと思った言葉も当然良いと言うことを伝え、学習を進めた。

 以下、ある授業での一場面。
 「先生、『行ってらっしゃい』でもいいですか。」
 「もちろん。それは、ご家族に言われた言葉ですか。」
 「ご家族は、とても喜ばれるでしょうね。」

 この一年間を振り返り、「書く」活動については、特に「カ 推敲」に力を入れてきた。互いの作文を読み合い、良さやアドバイスを、付箋を使って伝え合うことを繰り返してきた。本単元でも、下書きが完了した後、二色の付箋を手に互いの作文を読み合い、良さを伝え合う活動を設定。これまでの経験もあり、スムーズに進んだ。繰り返して取り組むことが力になるということを実感することができた。
 また、卒業アルバムに掲載するということで、保護者にも協力を依頼し、下書きをチェックしてもらった。その結果、家庭で大きく書き直してくる子もいた。こうして友だちや家族の支えも得ながら、身につけた力を発揮して書き、作文を完成させることができた。卒業文集にふさわしい、まさに集大成と言える作品が揃った。  以下、子どもの作文の抜粋。

  「…小学校低学年の時、初めてのピアノの発表会があり、一生懸命練習した結果、本番では何もミスすることなく終えることができました。しかし、二回目の発表会のときには気が緩み、あまり練習をすることなく本番を迎えてしまい、案の定本番では何回もミスをして、散々な結果でとても後悔しました。その後、高学年になり、「まかぬ種は生えぬ」という言葉に出会いました。…私は、努力をせずに悪い結果が出て後悔するよりも、日々努力を重ねて後悔しない、自分にとってよい結果が残せる人になりたいです。『まかぬ種は生えぬ』これを、これからの座右の銘にしたいです。」
(長浜市立南郷里小)