自 力
弓 削 裕 之

 おねえちゃんってふしぎだな
 めあて
  とう場人ぶつをかくにんする。

  ○ちーこちゃん
  ○おねえちゃん
  ・おかあさん(おうちの人)
  ・おかあさんの妹のきりちゃん
  ・おばけ

  ○=お話の中心人ぶつ

 学しゅうのふりかえり
  とう場人ぶつをかくにんしました。すこし、ちーこちゃんとけんかしたけど、
 もどってきた、おねえさんはえらいなぁと思いました。

 これは、2年生のAさんが書いたノートを写したものだ。国語ノートではなく、家庭学習ノート。Aさんがおうちで作ったノートである。このノートが提出されたのは、ちょうど「スーホの白い馬」(光村2下)の学習をしている時。「スーホ」の2時間目のめあてが「とう場人ぶつをかくにんする」だったので、Aさんは、「スーホ」の学習をもとにして自主学習を進めていることが分かる。
 Aさんが選んだ本は、北川チハルさんの『おねえちゃんってふしぎだな』(あかね書房)だ。

 「スーホ」の3時間目は「白馬をつれてきたスーホの気もちをそうぞうする」というめあてだったが、「おねえちゃん・・・」の場合、Aさんは「もりみちに入ったときのおねえちゃんとちーこちゃんの気もちをそうぞうする」とめあてを考えていた。自分の力で場面分けをしたのだろう。その後も、「はこのふたをあけたときのちーこちゃんの気もちをそうぞうする」「きりちゃんのおうちからちーこちゃんのおうちにかえるときの気もちをそうぞうする」「かえりみちでけんかをして、けがをしてしまったちーこちゃんとおねえちゃんの気もちをそうぞうする」とめあてが設定されている。

 めあてだけではない。「スーホ」の授業と同じように「見つけたことば」が書かれ、「言ったこと」には赤丸、「したこと」には青丸で印がつけられている。「スーホ」の授業では、見つけた言葉から想像した気持ちを子どもが発表し、教師が黒板にまとめていた。家庭学習ではそれができないからか、見つけた言葉の近くにAさんが想像した気持ちがメモのように書かれていた。そして、最後はきちんと「学習のふりかえり」が綴られている。

 子どもたちが学校に通うことができず、家庭学習を余儀なくされる今、前学年までに身につけたことをもとにして、自分で考えて学習を進める力が求められている。
 Aさんの「自力」に学ぶことは多い。
(京都女子大学附属小)