近江の子ども俳句教室 ~豊かな感性を子どもたちに~
好 光 幹 雄

▼大津市長賞  城跡の ため池泳ぐ はぐれ鴨  葵衣(中2)
▼草津市長賞  富士見の森 たんぽぽ見つけて 自まんする  優斗(小5)
▼大津市教育長賞  葉ぼたんが 太陽みたいに 開いてる  彩葉(小4)
▼草津市教育長賞  青い湖(うみ)  鴨がたくさん 泳いでる  政成(小3)
▼NHK大津放送局長賞  チューリップ あなたが咲く頃 四年生  碧子(小3)
▼びわ湖放送賞  すいせんの においをかいで はるきぶん  真央(幼・年中)
▼朝日新聞社賞  春の風 膳所(ぜぜ)公園を 通る風  千絢(小1)
▼京都新聞賞   さざんかと ゆらゆらゆれて おどりたい  F・紫乃(幼・年長)
▼中日新聞社賞  道の中 ひめつるそばと おともだち  彩香(小2)
▼産経新聞社賞  ビーバーよ 一人でどこ行くの さむくないの  琴椛(小2)
▼読売新聞大津支局長賞  水鳥が すいすい泳ぐ 楽しそう  美咲(小1)
▼毎日新聞大津支局長賞  スイートピー いいことばかり 花丸だ  奏(小2)

【俳句づくりの前に】
 かつて、私がミヒャエル・エンデやぺーター・ヘルトリングの作品の翻訳をされた上田真而子先生(ドイツ文学者)にお会いしてお話を伺っていたときに、今でも忘れられない貴重なお言葉を拝聴いたしました。「子どもを大切にするということは、子どもの〈初めて〉を大切にすることです。」 同じようなことは、かつて講演会にお招きした三原透先生(滋賀大学教育学部附属特別支援学校設立 メンバー)のお言葉にもあります。

 子どもたちにとって、日々「新たに体験するということ」(人との出会いは勿論、初めて目にすること、耳にすること、味わうこと等など日常的な全てを含めて)は、その都度、一度切りです。長い人生の中で二度と「初めて」ということはないのです。取り返せないのです。例えば、初めて桜を見た時の感動。そして桜という言葉を知って、桜の体験が、桜の経験へと意味付けされ価値付けされたとき、「桜」の世界が子どもの心の中に豊かに花開きます。それはたとえ目の前の桜が散っても、永遠に子どもの心に残るのです。心の中に永遠に桜が咲き続けるのです。ですから「子どもの初めて」ということを、できるだけ大切にし、意味あるもの価値あるものとしたいと思うのです。そのために私たちは最大限の労力を惜しみません。学校教育の場は当然ですが、勿論そこだけが子どもの初めての世界なのではありません。家庭、地域、社会の中で、子どもたちは日々様々な「初めて」を体験します。今回のようにその体験を俳句に詠むということもその一つに過ぎません。

 しかし、その一つ一つを大切にするということが、その積み重ねが、子どもの心の豊かさに繋がるのだとも思うのです。ですから、子どもたちの初めての「俳句」体験も大切にしたいと考えました。雪の日、雨の日、強風の日、快晴の日、幼稚園の子どもを思い、中学生を思い、沢山の指導案を考えて臨みました。

主催 NPO法人現代の教育問題研究所(理事長 吉永幸司)
後援 滋賀県・大津市・草津市・滋賀県教育委員会・大津市教育委員会・草津市教育委員会・NHK大津放送局・KBS京都・株式会社えふえむ草津・FM大津・BBCびわ湖放送・中日新聞社・朝日新聞大津総局・産経新聞社・毎日新聞大津支局・京都新聞・読売新聞大津支局・草津俳句連盟(会長 石倉政苑)

 三日月大造滋賀県知事様はじめ、ご後援をいただきました多くの皆様に厚く御礼申し上げます。また実行委員の先生方、本当にありがとうございました。全参加者72名で盛会に終わったのも、偏に皆様のお陰です。深謝。
 季語知るや 子等きらきらと 花菜晴れ  幹雄
(さざなみ国語教室同人)