▼学習指導要領改訂の要点に学習内容の改善・充実がある。読むことにおいては、学習過程を整理し「思考力・判断力・表現力」の各領域で明確にし「構造と内容の把握・精査と解釈・考えの形成・共有」としている。文学的な文章においては、場面、様子、人物、行動、変化、性格、全体像を「具体的に想像する」と示している。「想像する」という当たり前にも見える言葉を資質・能力と結びつけるとその意味は重くなる。

▼国語学力と想像を結びつけて考える時、名前が浮かぶのは灘高国語教師・橋本武先生。スローリーディングをされた先生。授業では、明治期に書かれた中島勘助の『銀の匙』を3年かけて一言一句、丁寧に読むという指導をされた。「銀の匙研究ノート」という副教材には、通読・主題・短文の練習等の言葉が並ぶ。加えて学習方法が示されている。例えば、鑑賞では「文の書き出しのうまいと思われる部分 を書き写すといい。そして、どんなところに感心させられたのか考えてみる」というように。

▼想像について、スローリーディングの面からいえば、具体的な学習方法を教えることであろうと考えられる。たとえば、情景を頭の中で絵にするということ。あるいは、想像ができる語を多方面から探す等。いずれにしても文に密着するということだろうか。(吉永幸司)