物語の「特色」をとらえる
北 川 雅 士

 今年度1年間、読み解く力の推進委員として、様々な場所で研修に参加し、学んできた。その読み解く力の伝達講習会を兼ねた公開授業を2月13日に行った。教材は『わらぐつの中の神様』(光村図書5年銀河)5年生では『なまえつけてよ』の学習で人物相互の関係の変化を『大造じいさんとガン』の学習ですぐれた表現について学習を重ねてきた。本教材では『わらぐつの中の神様』の物語を読み、物語の「特色」を友だちに伝える力を身につけ、杉みき子さんの物語から選んだ1冊でも特色が伝えられるように学習を進めていった。

 導入では教科書を読みながら、「特色」とは何かという部分を全員で確認した。特色とは「他のものと目立って違っている箇所。他のものと比べて優れている点」だということからまず、初発の感想を「今まで読んできた物語と違ったところは何か」という視点で書いて交流した。すると「物語の途中から新しい物語が始まる」「会話文の中になまりがある」「最後におばあちゃんとおじいちゃんの話につながる」「神様という言葉が出てくる」などの感想が見られた。そこで、これらの「他の作品と違うところ」にどのような良さがあるのかということを課題にして教科書の手引きを参考に学習を進めた。

 各グループと個人に教科書の全文を打ち出したものを配り、自分たちの選んだ課題に応じて根拠となる文に線を引きながら学習を進めた。学習を進めていくと初発の感想で感じた他の作品と違うなと感じたところが教科書の手引きの言葉を使いながら次のように整理できた。  「物語の途中から新しい物語が始まる」→物語の構成による効果
 「会話文の中になまりがある」→方言を用いる効果
 「神様という言葉が出てくる」→題名、表現の効果

 『わらぐつの中の神様』のまとめでは、「物語の特色紹介カード」に自分が感じた物語の特色をまとめた。また、並行読書を行った杉みき子さんの作品でも同様に「物語の特色紹介カード」に作品の特色をまとめ、交流した。この際に必ず物語の叙述を根拠に特色を伝えるようにまとめた。
 今回の学習で、子ども達は物語のおもしろさを「特色」という言葉でより具体的に話そうという意識が見えてきた。学習後も物語を読んで読書ノートに記録する際には特色を書くようにして継続した取組を続けている。しかし、一方で課題も見えてきた。

 今年度は、この実践のように交流メインの授業形態をとってきた。しかし、このような場合一人読みの力であったり、家庭学習で個人の課題を把握してくる習慣をつけておくことが不可欠になる。
 国語科だけでなく、各教科での日ごろの学習習慣の積み上げも積み上げの大切さを感じた1年間だっ た。
(彦根市立城南小)