し あ わ せ
弓 削 裕 之

 さざなみ第446号に掲載された、川端由紀先生の「学級会による自治能力の向上」は、改めて学級活動について考えるきっかけとなった。

 2年生になって初めて給食を全員が完食できた日、子どもたちに「何かお祝いがしたいですね」と投げかけ、「給食完食お祝いパーティー」を企画することになった。学級会でお楽しみ会の企画をすることは、1年生の時に経験している子どもたちである。さっそく開かれた学級会では、様々な遊びが提案された。発言の声がいつもより大きくなることは、毎年感じている。「自分たちのこと」について話しているからだろうか。声も表情も生き生きとしているのだ。多数決で選ばれた遊びは、「宝探しと迷路を合体した遊び」だった。準備などのハードルが高い遊びだったが、実現すれば大きな達成感があるだろうと思い、子どもたちに任せることにした。「先生は、みんなからお願いがあるまでは何もしません」ということだけ、約束した。

 どう動いていいかわからない様子だったので、もう一度学級会を開くことに。その時は、迷路はどうやって作るか、宝箱はどのようなものを用意すればいいかなど、より具体的なことを相談し合っていた。その甲斐あってか、学級会後に、いくつかの迷路案が書かれた紙が提案された。当日ゲームに参加するのではなく運営側にまわりたいという児童が何人かいたので、その子たちを中心に休み時間を利用して計画を進めた。準備は一部の子でなく全員が参加できるよう、宝箱の中の宝物をみんなで作った。

 迎えた当日、教室には机を使った迷路ができあがった。「おめでとう」の看板や紙吹雪など、宝箱にたどり着いたクラスメイトを喜ばせるしかけがたくさん用意されていた。たくさん作ったため余った折り紙の宝物は、後日子どもたちの手でみんなに配られた。

 わたしは、今日おたのしみかいをしました。きゅうしょくかんしょくパーティー、と言ったほうが正しいかもしれません。《たからさがしめいろ》をしました。とてもたいへんでした。立つ、うつぶせ、立つ、うつぶせ・・・。いそがしくても、トラブルがあっても、○○さんたちとがんばりました。でも、いいこともいっぱいあるんです。はなしあってやるから、ともだちができます。人ときょう力する力もつきます。そして、そして、あそぶ人のえがおが見られる!(しあわせ。)そうおもいました。おたのしみかいがなければ学ぶことができなかったことがたくさん学べ、今、ほんとうにしあわせだとおもいました。

 『しあわせなおたのしみかい』と題して書かれた日記である。以前は、「休みじかんはひとりですごしました。ひとりの子のさみしい気もちがわかりました。」と日記に書いていた子である。

 その後も週に一度は必ず学級会を開き、クラスの課題などについて話し合っている。自分たちで乗り越えた経験は、指示されてできた経験よりも、生きた力になると信じている。
(京都女子大附属小)