優しさの花を咲かせよう
伊 庭 郁 夫

 現在、社会福祉法人「虹の会」「大地」で第二の人生を送っている。
 男女25名、20代から70代の利用者のみなさんが「土づくり」「花・野菜作り」「メンテナンス」「アルミ缶回収や缶仕分け」「シール作業」などの仕事に汗を流している。
 日々、笑ったり泣いたりストレートに感情を出し、その純真な心に元気をもらうことも多い。

 私が、用事で休むと「寂しかったわ。」「明日は来るの。」また、少し腹痛があると早くに治っていても「お腹大丈夫」と聞いてくれる。
 この優しさを、より広げ職場全体が温かい雰囲気になることを願い人権学習に取り組んでいる。

 1回目は、言われて嬉しい「ぽかぽか言葉」を紹介しあった。
 そして、2回目は大型絵本「花咲山」を語り「優しいことをすれば花が咲く」ことを確認して、実生活の中で「優しさ」を感じたことを発表していく。全員の優しさを確かめるため、グループごとに事前に職員に「優しさ」を考えてもらう。
 o送迎車の中で、シートベルトがうまくできないとき〇〇さんが締めてくれる。
 o毎朝、日めくりカレンダーをめくったりカーテンを開けたりしている。
 oトイレのスリッパを揃えている。
 o気がつくと、旧施設の掃除をしている。
 これらの「優しさ」を色とりどりの画用紙に書く。模造紙に墨を塗り人権学習をした後も日々張り出していく。どんどん花が咲き乱れ、模造紙が一杯になる。
「たくさん、優しさの花が咲きましたね。」
 利用者も嬉しそうである。目に見えて花が増えていくので一目瞭然である。

 平成が終わり、令和になったのを機会に更に模造紙に墨を塗って継続する。
「伊庭さん、作業棟のスリッパ揃えといた。」
「ありがとう。忘れないようにすぐ書くわ。」
このように、自分で言いにくる場合や、
「食堂の椅子を入れるのを手伝ってくれました。」
「作業の始まる前に軍手を準備してくれた。」
のように他の職員が記入する場合がある。
「優しいことをした人も素晴らしいし、人の優しさを見つける人も素晴らしい。」
と私はつぶやいている。