▼小耳に挟んだちょっといいはなし。話題は4月の始業式のこと。「今度の先生、しっかりと教えてくれそう」と笑顔のお母さん。「どうしてそう思うの」ともうひとりのお母さんが質問。「宿題は、学校で覚えた丁寧な挨拶の仕方をおうちですること」「教えてもらった通りにそっくり真似をして私に見せて挨拶してくれたの」とうれしさがこみ上げてくる様子。

▼4月。新年度の始業式。その子の学校では、校長先生が「みなさんで力を合わせてなかよくなる学校にしましょう」というお話をされた。それを受けて教頭先生が具体的に挨拶の大切さにふれ、国語部の先生が壇上で手本を示されるという念の入れようだったという。

▼その子は、今年こそと気合いを入れて登校し、心に届いたのが挨拶だったことはお母さんの笑顔から理解できた。それだけでなく、行動まで気持ちをたかめたのは、始業式の主な学習内容である挨拶を教室で指導をされたであろう「おうちでも挨拶をしましょう」という宿題である。お母さん方の会話や雰囲気から推察すると、担任の先生が改めて、始業式の内容を教え考えさせられたということである。「子どもは理解できたであろう」という思い込みだけでなく、教室でみんなで考える視点を持った学級担任の知恵が子を育てお母さんの笑顔の源に思えた。(吉永幸司)