巻頭言
言葉を育て、心を育てる国語教室づくりを
三 上 昌 男

 平成最後の3月に、38年間の教員生活を終えました。たくさんの子どもと出会い、先輩や同僚に支えられ、多くのことを学びながら歩んできました。
 さざなみ国語教室での学びも、自分の教育観や授業づくりの視点、実践の工夫につながっていると言えます。さざなみ国語教室の研究会の中で、「国語教室づくり」という言葉がよく使われてきました。国語科の授業だけでなく、学級経営とも異なる。言葉と心を大事にした温かい雰囲気の中で、確かで、豊かな言葉の学習が展開されるのが「国語教室」だと考えています。
*言葉を育てることは、心を育てること、人を育てることである。
*正直に話すと損をしたり、言い間違うと笑われたりする雰囲気の中では、言葉は育たない。
*荒っぽい言葉で押さえつけていては、子どもは心を開かない。
*丁寧な言葉はよそよそしい感じがすると、砕けた言葉で話してばかりいると、子どもは正しい言葉遣いを学ぶ機会を失う。
*授業中、乱れた言葉が行き交う教室には、互いを尊重し合う話し合いは成立しない。

 そのような思いでこれまで教師を続けてきました。言葉を育て、心を育てるためには、学校(教室)における言語環境の整備が大切であると考え、折に触れ話をしてきました。言語環境の整備に関する具体的な実践では、次のような取組があります。

◇あいさつ・返事の指導
◇望ましい言葉遣いの指導(「ふわふわ言葉」と「ちくちく言葉」の学習等)
◇話す・聞くことのルール作り(話し方・聞き方名人、話し合いの手引き等)
◇今月・今週の詩(季節にあった詩・俳句等を掲示し、音読・暗唱する)
◇書くことで考え、伝え合う(ノート作り・日記・手紙)
◇辞書の活用(語彙を拡げ、言葉に関する知識を深める)
◇朝の会や帰りの会でのスピーチ活動・トーク活動
◇図書室の活用と読書の習慣化に向けた取組(図書室での授業・図書紹介の場作り・読み聞かせやブックトーク・朝読書や親子読書・読書記録等)

 学校全体で、子どもや保護者・地域の方と一緒に言語環境を整え、言葉を学び、人と豊かにつながる国語教室づくりの実践を推進していきたいものです。
(さざなみ国語教室同人)