[特別寄稿]
教員免許更新講座を受講して
前 田 の ぞ み

○教育力の大きさ
 教員免許の更新が今年でした。京都女子大学を卒業し、家業の和菓子屋を手伝うという事情もあり教員の経験は1年です。しかし今回、教育について学ぶ機会を得たという、嬉しさとわくわくした気持ちで受講してきました。私にとっての教員の思い出は、言葉を大切にすることが人間としての生きる力を育てるという学生時代に学んだことが、そのまま一人の子どもを自立に導いたことです。その子は粗い言葉を使っていました。大人になって困らないように、その子に文末まで丁寧に話す指導を続けている過程で、生活自立が始まり学習意欲が高まったのです。更に、言葉で考える習慣がつくという成長を見せてくれた子でした。初任にして教育力の大きさを感じたものでした。その子が私に教えてくれたもの、今も残っている感動の源は何だったのかが知りたく興味を持って受講しました。

○教員免許更新講座の学び
 講義の中で特に勉強になったのは次の3つです。
(1) 子どもを取り巻く環境の変化・複雑化は教育の大きな課題になっていることでした。スマートフォンの普及やSNS等の情報の伝達は想像以上に子どもの世界に入り込んでいることを知り、方法や対策を考える機会になったこと。
(2) 新学習指導要領が子ども一人一人に応じた「主体的・対話的深い学び」を実現していくために具体的な改善の方向を示したものであるということが理解できたこと。
(3) 講義では演習や参加者の実践等についての話し合いの機会があり、幼稚園から小・中・高校に至る色々な校種の先生方との交流の中で、発達段階による子どもの特性について学べたこと。

○言葉の力を育てる
(4) 講義の中では。10年先の社会はAIが登場するという話題が繰り返し出てきました。10年後がどのような未来になるのかについては想像もつきません。しかし、社会が変化し、どのような時代になっても人が人と関わり合いながら生きていくことは変わりません。いつの時代でも、必要で大事になってくるものは、豊かな感情とそれを伝える言葉(国語)の力なのだと思いました。そう思った背景には、新任の頃に出会った子の成長する姿があったからです。
(2008年度京都女子大学卒業生)