▼単元学習「批評の心が生まれるとき」の師範授業を甲斐利恵子先生(東京)が800人を超える教師に公開してくださった。対象は中学生。目標は「日常生活の中で立ち止まれる様々な思いに対して、立ち止まって考えてみようという意欲を持つことができる」

▼「考える」ための切り口を見つけ出し、自分の心にも問いかけ、友だちの意見も参考にしながら客観化し、一つ一つの言葉や考えをていねいに吟味して言葉にしていく。一連の学習を通して批評の入り口に立てる人になってほしい。これは、指導案に示された願い。

▼授業は、モデルグループである4人が中央。周りにクラスの生徒。最初の生徒が、「批評の心がうまれた人」について問いを発表。グループの生徒が質問や意見を述べる形態。話題は、「米朝会談だったが、本当に考えたいのは、美空ひばり」という生徒や、「CM」を取り上げる生徒など幅が広い。意見交流も活発。授業の後には、生徒が自らの学びをインタビューで答えるという方法も導入。新鮮であった。

▼授業資料として配付されたものは、「中間報告会・話し合いのてびき」と生徒の学習過程が分かる一覧表。一人一人に向き合い、育てたい方向を明確に示されていた。

▼日本国語学会田近洵一会長が総括で「授業は教室と教師」とまとめられた言葉が印象的であった。(吉永幸司)